カテゴリー:中島孝志の日曜読書倶楽部

2013年05月31日 (金)

歴史から経済、軍事、文化文明まで縦横無尽に語る勉強会です。

 先週、東京から博多まで原理原則研究会の巡業に参りましたが、あちらこちらで同じ質問を受けましたので回答しておきます。

 まず、「日曜読書倶楽部は名古屋、大阪、博多ではやらないのか?」という質問。う〜ん。やりたいけど、無理かな。2次会、3次会をやらずに読書会にするわけにもいかんでしょ。できるとしたら博多かな。翌朝できますけどね。
 博多原原は福岡市内よりも熊本、岡山、広島、北九州のメンバーのほうがずっと多いもんなあ。これ、課題です。

 2番目の質問。「読書会でどんなこと話してるの?」
 まあ、いつもの調子です。資料をプリントアウトし、パワポをテレビモニターでご覧頂きながら解説する。ま、話すことがたくさんあるんでつねに脱線転覆。

 そうですなあ。高校時代に世界史、日本史、地理、政治経済というように分類して勉強しましたよね。けどさ、よく受験生に多いんだけど、「日本史を選択してたから世界史はちょっと・・・」ってアホみたいでしょ。歴史ってそれぞれが有機的に関係してるもんね。
 歴史や文学は好きだけど、政治とか経済、金融とか科学、医学、まして軍事なんて関心ないなあ、つうのも困っちゃう。だって、これらも相互に関連してるんだもん。

 たとえば・・・この前の読書会はテーマが「お茶、コーヒー、紅茶、チョコレートの歴史と世界の征服史」でした。で、下記がパワポ資料です。

1カカオの歴史
2エルナン・コルテスとアステカ文明
3ショコアートは「苦い水」
4スペインとポルトガルは勝手に地球を分割していた!
5航海王子エンリケ
6砂糖は奴隷の歴史
7ブラジルとアフリカを押さえて成功したポルトガル
8なぜスペインとポルトガルが新大陸をめざしたのか?
9ペストに襲われたヨーロッパ
10インカ帝国を滅ぼしたスペイン人
11ジェノサイドの大義名分となった「ヨシュア記」
12イスラムとレコンキスタ
13アルハンブラ宮殿陥落とコロンブスの新大陸発見!
14スイスとオランダの独立
15伊万里焼165000組の注文をしたオランダ
16「オランダ風説書」のおかげでペリー来航を知っていた幕府
17ケガの功名で生まれた紅茶
18万病に効く「東洋の秘薬」
19アメリカが独立したからアヘン戦争が起きた!
20裸一貫からのし上がったトーマス・リプトンの才覚
21イギリス文明を拒絶するアメリカ
22なぜ大徳寺なのか?
23一休が憧れた大燈国師
24高桐院の石灯籠
25日本三大茶室 密庵、待庵、如庵(国宝)
26世阿弥、観阿弥が眠る大徳寺真珠庵
27茶を広めた永忠、栄西、隠元
28お茶は覚醒剤?
29先人がめざした茶の心
30藤原定家の歌に寄せる

 たとえば、ココア(カカオ)とかコーヒーをヨーロッパにもたらしたのはスペイン人ですね。
 1492年、コロンブス(ジェノバ人)がスペイン女王の命令で新大陸=アメリカ大陸を発見しました。インドを目指してたんだけど。で、コルテスがアステカ文明を亡ぼし、ピサロがインカ帝国を亡ぼしました。金銀をどっさり奪うと同時にカカオを持ち帰りました。

 スペイン、ポルトガルがイベリア半島からムスリム(ついでにユダヤも)追い出したのは1493年。アルハンブラ宮殿を陥落したわけですね。コロンブス新大陸発見の翌年ですよ。
 
 金銀を大量に奪ったおかげでスペイン経済は大混乱。超インフレで破綻します。私はこれを「アタワルパの呪い」と呼んでます。
 けど、このせいでオランダ(スペインの植民地だったもん)が独立できるわけ。ついでに、スイスが神聖ローマ帝国から独立。世界の歴史はビリヤードゲームですな。

 さてさて、そもそも、イベリア半島の連中がどうして新大陸発見なんて冒険しようとしたか?
 金がないからね。失う物がなにもないヤツしかやらんわな。地球は丸いなんて信じられてなかったんだからさ。けどね、ホントの動機はね・・・ペストから逃げるため。

 3人に1人が死ぬほどのパンデミックが繰り返し繰り返しヨーロッパ大陸を襲うわけ。こんなとこいたら死んじゃう。そうだ、海の向こうに逃げちゃおう。ペストが追いかけてこない土地を探そう。まあ、そんなわけです。

 インカもアステカもスペイン人の武器で殲滅されたというより、連中がもってきた病原菌で滅んだわけで。免疫力ないからさ。
 じゃ、どうして免疫力なかったの? 南北大陸には牛とか羊、馬や豚といった大型家畜がいなかったから。豚インフルとか鳥インフル、SARSだって、何世代も過ぎれば耐性菌=免疫力がついてきますもの。そういう「DNA」がなかったの。

 それにしても、当時のスペインとポルトガルつうのはとんでもない国でしてね。ローマ教皇を見届け人にして地球をまっぷたつに分けて、自分たちの縄張りにする取り決めをしちゃう。んなこと、だれも許可してないのにね。
 けど、これが大航海時代なんですね。植民地の分捕り合戦てわけ。

 さて、ここでクイズ。彼らが大海原に乗り出し、侵略と殺戮の限りを尽くします。なんの躊躇もなくね。つうか、喜んでジェノサイドを展開しました。いったいどうしてそんなことができたんでしょうか。いったいだれがそんなことをさせたんでしょうか。

 どの船団にも必ず存在した人物がいます。それはいったいだれだったのでしょうか? また、彼らが「よすが」とした「モノ」はなんだったんでしょうか?
 正解は次回の日曜読書倶楽部、原理原則研究会の2次会でお話ししまょう。

 さてさて、植民地つうのは搾取するだけ。現地人のことなんてこれっぽっちも考えない。だから教育も医療もインフラも施さない。奪うだけ奪う。
 オランダなんてインドネシアを放棄するとき、インドネシア政府に原油施設の請求書出してますからね。さすがオランダ人。素晴らしい。日本人にはできません。
 日本は朝鮮を植民地にしなかったからね。併合して日本国として扱かった。だから鉄道、電力、教育、病院などのインフラを次々につくったわけ。まあ、日本人の優しさ=甘さですな。いま、恩を仇で返されてるわけ。
 終戦直後に韓国に奪われた日本人の個人資産たくさんあんでしょ。いまごろ、韓国が物言いつけてるんだから、この際、日本政府がまとめて一括請求したらどう? ま、そんな下品なことはしないわな。

 そうそう、この7月3日にスワップ協定が切れるから更新しなきゃいいのよ(告示日の前日ですから要注意)。1年くらい様子見たらいいのよ。あんなもん、日本にはなんのメリットもないんだから。

 ええと、話はポルトガルとスペインでした。スペインは南北アメリカ。ポルトガルはアジアとアフリカをとります。で、南米からも1つだけ頂戴よ、というわけで、ブラジルがポルトガル分に移ります(だから、あそこだけポルトガル語でしょ)。まったくもって勝手な連中でね。
 まあ、そんなスペインも1898年にアメリカから騙し討ちされて(やり口が笑えるほどワンパターン!)無敵艦隊が完敗します。で、大西洋の縄張りをとられちゃう。まさに「仁義なき戦い」ですな。

 17世紀後半はオランダの時代でした。165000組も伊万里焼を発注してくれたのはオランダの東インド会社です。どして? イギリスの東インド会社が中国から追い出されていたからです。だから陶器を日本に注文するしかなかった。

 イギリスが清に2回も仕掛けたアヘン戦争ですが(このおかげで香港を割譲されられました)、なぜアヘン戦争が起きたの? イギリスがとんでもない貿易赤字。とくに中国に対して天文学的な赤字だったからです。中国から買うばかりで売るものがありません。お茶とか陶器とか買ってたからね。

 結局、植民地インドから吸い上げたアヘンしか売るもんがない。中国は17世紀末からアヘンはご禁制。1840年からはじまるアヘン戦争のずっと前からね。そんだけ麻薬が大好きな民族なわけ。

 で、アヘン戦争が起きた理由? アメリカが独立しちゃったから。つまり、イギリスはでっかい植民地を失っちゃった。金のなる木が消えちゃった。困った困ったこまどり姉妹。もしアメリカが独立しなかったらアヘン戦争は起きなかったかもね。

 あのさ、誤解が多いからいっとくけど、イギリスとアメリカほど仲が悪い国はありませんよ。たしかに2国の利害が一致すれば、その件だけでは協力するでしょうがね。つねに騙し合い。握手しながら蹴っ飛ばし合ってます。

 アメリカがどうしてスペインを騙し討ちしたか。どうして日本と戦争したかったのか? どうして日英同盟を潰したかったか? それはいずれ日曜読書倶楽部で詳しくお話したいと思います。

 イギリスの東インド会社は在庫がだぶついたお茶1700万ポンドかかえて経済危機に陥ってました。
 で、ニューアムステルダムに住んでるオランダ系アメリカ人相手に押し売りしようとするわけ(その後、ここをイギリスは奪い取って「ニューヨーク」と命名します)。
 ボストン港に船をつけ、大量のお茶を大増税して売るつもりでいたの。これがトラブルになって「ボストンティパーティ事件」が起きちゃった。1773年のことね。それから3年後ですな。アメリカが独立宣言出したの(1776年7月4日)。

 さて、日本はというと、このニューヨークでお茶を売ろうとするんだけど、以前は、茶文化に関心を示してくれて買ってくれたけど、幕末維新の頃になるとぜんぜん売れない。セイロン(スリランカ)は美味しいウバにミルクや砂糖を入れて大ヒット。文化云々ではなく、味で勝負の時代になってたんでしょう。
 文化を売るなら売るで考えなくちゃ。マーケティングの視点がありませんでしたね。

 で、日本のお茶はポルトガルやイギリス(アフタヌーンティの習慣を持ち込んだのはポルトガル王女)、オランダの上流階級から庶民へと広がります。サー・トーマス・リプトンが大活躍します。

 コーヒーハウスには、貿易投資から科学まで広くその道のプロが集まっていました。お互いに情報交換してビジネスに活かしていました。相変わらず7つの海で大暴れ。で、海上保険が生まれました。世界最大の保険会社ロイズの発祥の地はコーヒーハウスですからね。

 お茶も紅茶も烏龍茶、黒茶も元は同じ茶葉です。日本に持ち帰ったのは永忠でした。最澄と一緒に唐にわたった僧です。その後、栄西が木まで持ち帰ります。鎌倉幕府の実朝に献上します。2日酔いの薬としてね。
 栄西は本まで書きましたが、お茶もコーヒーも紅茶もチョコドリンクもチョコも「神秘の薬」として注目を浴びました。また、そういう売り方をしました。

 栄西は日本の臨済禅創始者です。お茶で頭スッキリ。禅に集中できます。お茶を極めたのは大徳寺中興の祖である一休です。彼は大徳寺を開いた大燈国師が大好きでした。大燈国師についてはブログですでに紹介済みですね。
 一休は村田珠光に禅と茶の心を教えます。珠光の弟子の弟子があの利休です。利休が理想とした「わび・さび」の世界が歌でみごとに表現された、として知られるのが藤原定家。

 見渡せば 花も紅葉もなかりけり 浦のとま屋の 秋の夕暮

 日曜読書会では、日本史だとか世界史だとか、歴史とか政治、経済、科学、医学、文化とか、すべての枠を取っ払って、縦横無尽に宇宙観と人間観をおおづかみにできればな、と考えてます。


 さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『岸信介 権勢の政治家』(原彬久著・岩波書店)です。詳細はこちらからどうぞ。

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プロフィール

中島孝志(なかじまたかし)
 東京生まれ。早大政経学部政治学科、南カルフォルニア大学大学院修了。PHP研究所、東洋経済新報社を経て独立。経営コンサルタント、経済評論家、ジャーナリスト、作家 (ペンネームは別) 、出版プロデューサー、大学・ビジネススクール講師等ビンボー暇無し。「キーマンネットワーク定例会」(33年の老舗)のほか、
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