2013年06月12日待機児童問題はこんなに簡単に解決できます。。。

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 わたしの地元横浜では待機児童問題がうまく解決してるつうんで、テレビや新聞で凄い凄いと評価されてますな。これはいまの市長さんが頑張ったからで、我田引水・自画自賛の元市長の力ではさらさらありません。

 で、この4月に「待機児童0宣言」をしたわけね。まだまだ「潜在的待機児童」までが0になったわけじゃありません(育児休業取得者の児童203人、自宅で求職中100人)。統計上、これらは待機児童には含まれないそうですね。で、横浜市は13年度も2000人超の受け皿をつくるそうですな。

 2012年4月で全国の待機児童は25000人。保育所の定員は224万人。10年から年4.6万人、11年から年3.6万人それぞれ増やしました。でも待機児童の数は2万人台なの。

 「定員を増やすとそれが呼び水となって潜在的な待機児童がやってくる」

 こういうリズムらしいですよ。近所に保育所できたらしいよ。じゃ、うちも預けられるかも。そしたら働けるわ、な〜んてね。こういうのは口コミで広がるからね、われもわれもとドカンと申請するってわけ。

 さて、この10年間、サラリーマンの収入は頭打ちですな。大手企業の役員だけが右肩上がり。で、夫の収入が減った分を損失補填する奥様が激増してます。でないと家計のトータル収入が減っちゃうからね。

 で、待機児童をなんとかしてほしいってわけです。東京都では、待機児童の親は60%がパートさんか求職中。安倍首相は5年で40万人の受け皿をつくると公表。つまり年間8万人は潜在待機児童がいる、つう計算ですわな。

 でね、経済学では「夫の収入が高いと奥様が働く率は低くなる=ダグラス・有沢の法則」という有名な統計パターンがあるわけ。まあ30年前までは当たってたけど、いまの日本にはどうかいな、つうもん。

 いまや「損失補填のために奥様が働く」つうより、自己実現とかキャリアアップを優先する女性が当たり前でしょ。つまり、奥様は夫の収入が多いか少ないかなんてぜんぜん関係なく、働きたいから働いてるわけ。

 結果、共稼ぎで年収2000万円なんてカップルがたくさんいるんだわ。

 高学歴職場とかあんでしょ。外資系金融機関に勤めてます、研究部門ですとか、医師です、弁護士です、とかね。で、こういう人たちが「職場結婚」しましたつうケース。これ、たくさんあるんです。

 仕事も同じようなもんだけど、学歴も収入も「似たもの夫婦」。これをわたしは「パワーカップル」あるいは「ゴージャスカップル」と呼んでますけどね。この人たちも待機児童問題では困ってるわけですよ。

 カネはありまっせ。はよ、解決しておくんなはれ〜〜ってね。

 待機児童数と保育所数はやっぱ「いたちごっこ」になりまっせ。後から後から「潜在的待機児童」が増えてくるからです。
 対策は保育所を増やすこと。保育所の職員を増やすこと。これしかありません。

 で、問題は1つだけ。コストですよ。コスト。コストがかかるから行政はなかなかできんわけでしょ。横浜市が一応、巧くいってるのは民間を活用したからでしょ。
 ポイントはカネなのよ。カネ。カネさえあれば解決するんです。たいていの問題はね。地獄ですらカネでなんとかなるんよ。この世がカネで解決できないわけないじゃない。

 ならば、カネ出してもらいましょうよ。だれに? 受益者負担でっせ。もちろん。

 たとえば家計年収2000万円のパワーカップルにとって、月10万円くらいなんでもないっしょ(どんだけ収入があってもカネは出さない、という筋金入りの吝嗇家もいますけどね)。

 いまの保育費ですけど、公費は月19万円。ところが保育料はわずか3万円。これでは赤字になるの当たり前。保育所つくりたくないの当たり前ですわな。

 で、これ、1人あたり42000円にするだけで待機児童は解消できるんでっせす。わずか12000円でっせ〜〜。

 「わずかじゃないよ。大変だよ」つうご夫婦はしばらく待機してもらいまひょ。で、「うちは月10万円払いまっせ。カネならありまっさかい」つう夫婦からどうぞどうぞ。優先的にどうぞ。月5万円でっか? なら、その次に入ってください、とかね。「ほぼオークションスタイル」でどんどんカネのある夫婦の待機児童から片付けちゃいまひょ。

 「金持ちばかり優遇して不公平だ!」
 たいてい自称「公平主義者」が出てきます。で、こういうバカがしゃしゃり出てくると物事は絶対前に進みません。
 バカはほっといて、パワーカップルから頂戴した資金を原資に保育所をがんがんつくっちゃいましょう。で、次の段階で「大変だよ」「そんなおカネ払えないよ」という層の待機児童を受け入れればいいんです。

 こんなこと、お受験の世界じゃ当たり前でしょ。ケーオーだ、ワセダだって、大学入試ならだれでも入れる学校にもかかわらず、なぜか小学生から入れたがる親御さんがたくさんいますけど、塾の費用は月10万円で収まるわけがありません。もっとかけてるもん。

 カネがあるカップル、カネがないカップル。うちみたいにチビの時代は二度とないからずっと一緒にいて教育するつうカップル、仕事のほうが大切やかんね、キャリア、出世したいんだかんね、というカップル。近くの祖父母に頼めるカップル、頼めないカップル、などなど、「待機児童」と一言でいってもイロイロなわけ。

 各自治体で知恵を絞ってトライしてみたらええねん。バカな公平主義者が出てきたら「ただいま実験中です」と答えておけばいいのよ。
 
 幸い贈与税だけは緩和されてるからこれを活用してもいいしね。政治はね、ぜひこの10万円払う、5万円払いまっせ、つうパワーカップルのコストはすべて必要経費として税控除できるようにしてほしいな。そのくらいやんなきゃ。

 すべて行政がやろうとすると必ずコスト面で袋小路にぶつかって動けなくなったり、実行スピードががく〜んと落ちます。カネはあるところからしか取れないんです。ないところから取ろうつうのは公平ではありませんな。

 「融通」つうのはカネをまわすことでしてね。政治はないカネをどうやったらつくれるかを考えないとあきまへんな。


 さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『天皇と原爆』(西尾幹二著・新潮社)です。詳細はこちらからどうぞ。