2016年02月05日「志の輔らくごinパルコ」最後の最後の楽日。。。

カテゴリー中島孝志の落語・演劇・タカラヅカ万歳!」

 「いえね、地球の大きさを知りたいんです!」

 これだから落語はたまらない。演者と客のコラボ。洒落が通じなけりゃ落語じゃないし、阿吽で通じなきゃこれまた落語じゃないし、解説しなけりゃわからん野暮は落語じゃないし。。。



 今日で最後の最後。楽日だからではなくて、ビルごと工事で閉まるわけ。で、11年間続けてきた「志の輔らくご」もいったん終わり。

 いやあ、力はいってましたなあ。林真理子さんほか、皆さん、大絶賛。けど、長年聴いてきた「耳利き」には、もっと力抜いていつものように・・・と感じたのではないかしらん。

 ま、最後の最後。映像まで入ってればそうなりますわなあ。ガッテンしちゃいました。



 圧巻は伊能忠敬ですよ。「大河への道」ね。大河つうのは大河ドラマにしよ、って企画をなんとか通そうと懸命な役人。で、若い脚本家が四苦八苦。ベースはもちろん伊能忠敬つう桁外れの人物談なわけ。

 なぜ落語にしようと思ったか? 千葉県は佐原を訪れて、もう帰ろうかつうとき、何の気なしで、ホントに空いてなきゃそれでもいいや、ってんで、ちょいと覗いた伊能忠敬記念館。

 入口でとんでもないとこに来たのでは・・・と直感。宇宙からとらえた正確無比なデジタル地図。しばらく経つと、モニターに重なるように現れた「伊能地図」。そうでげすよ、伊能忠敬が日本中を徒歩で測量した地図が寸分違わずピタッと重なる・・・「鳥肌がたちましたよ」とのこと。

 17歳で婿養子に入った店。どん底からみごとピークを乗り越えて再建。天明の大飢饉でも佐原では餓死者が出なかった。伊能家が蔵から米や味噌をすべて配ったからですよ。幕府も感心して名字帯刀を許します。
 「もう安心」というところで隠居。50歳になってましたしね。人生50年の時代の50歳。楽隠居。孫を背中に魚釣り・・・。

 「おまいさん、なにして暮らす?」
 「江戸に出たい」
 「・・・」
 「江戸に弟子入りしたい先生がいる」

 幕府天文方の高橋至時に弟子入りします。地球が丸いのはわかっつている。けど、地球の大きさはだれもわからない。世界中のだれもわからない。子午線1度の長さを実測すればなんとかつかめます。けど、何千ものデータを集めないとこれはつかめない。

 世の中を変えるのは、いつもバカと大物。バカが動いて大物が支援する。

 伊能忠敬は大物でありバカでした。幕府も協力しないや、そんなこと。大丈夫、金はある。蝦夷地の南を正確に実測して幕府を驚かせます。以来、幕府がスポンサーになりました。

 実測ってどうやんの? 1年かけて歩幅が一定になるよう訓練したわけ。で、71歳まで地球1周分を歩きます。

 う〜ん。気が遠くなるような・・・。人の一生は重き荷を負うて遠き道を行くがごとし。この話を噺にするまで、志の輔師匠もそんな気持ちだったでしょうね。
 見えないゴールを前にして、目端の利くヤツははなからやりません。ダメなヤツは少し進んで、こりゃいけるえ、とやめちまいます。で、バカなヤツだけが脇目もふらずに淡々と歩いていくんです。

 バカは気づきませんからね。好きでやってんだから。世界を変えるのはいつもバカだけです。

 志の輔師匠、まる4年かかったと言います。噺は、伊能忠敬没後200年の2018年にブームを起こしたい、なんの人物も出していない千葉県に大河ドラマを呼びこむプロジェクト。

 けど、明日がプレゼンの日という直前に、あの脚本家が問題が起きた、と告げに来ます。
 いったい、どんな問題なのよ? ま、こっから先は野暮なんで・・・。

 「大日本沿海輿地全図」、通称、「伊能図」は3万6000分の1大図214枚、21万6000分の1中図8枚、43万2000分の1小図3枚。開国後(1861年)、イギリス海軍の測量艦アクテオン号が幕府を無視して日本沿岸測量を強行します。そのとき、役人が所有する伊能小図の写しを見せられて驚嘆。測量計画を中止して幕府から写しを入手して引き下がります。衛星写真と比べても遜色ないはずだわな。

 え、もう3時間? へえ、早いもんだねえ。あのね、志の輔さん、人間国宝になるね。


 東京原原の5月度(5月24日)は特別ゲスト講師の登場です。もう知らせちゃうけど、ダメじゃん小出さん、寒空はだかさん、つう2人の天才芸人による「競演!人の心を揺さぶる表現力」です。

 漫才ではなく、ピンのトークショーで人気を博しています。ライブはテーマもネタも豊富なんで、どの回もインパクトサプライズの連続なのよね(この2人に2時間フルに演ってもらえるなんてありませんよ)。才能ってのはこういうことを言うんだな、とわかりますよ。ミモノです。外部から視聴申込殺到です。もち、原原のみの公演つうか口演です。東京原原でしかやらないので予定いれといてね。

 爆笑は当たり前。トークのネタ満載。なにより号泣するのではないかしらん。ほらほら、15期がスタートして、いきなり宅間孝行さんの舞台『口づけ』を仕掛けたでしょ。感動よ、もう一度です。


 さて今日のメルマガでご紹介する本は「日本共産党と中韓 左から右へ大転換してわかったこと」(筆坂秀世著・ワニブックス・896円)です。