2016年09月25日宝塚宙組「エリザベート 愛と死の輪舞」

カテゴリー中島孝志の落語・演劇・タカラヅカ万歳!」

 「戦争という殺し合いは他家に任せ、わがハプスブルグ家は結婚で領土をかちとるんだ」

 700年間、政略結婚で世界を征してきたのがオーストリア・ハンガリー帝国ですわな。

 第一次世界大戦を引き起こした「サラエボ事件」にしても、この帝国の次期皇位継承者フランツ・フェルディナンド夫妻の暗殺から始まったわけでね。

 暗殺はつき物なのよ、この帝国は。。。

 さて、このミュージカル。主役はエリザベートではありません。黄泉の帝王トートなの。だって宝塚なんだもん。

 時代はハプスブルク家末期。ま、大戦で消えちゃいますが。。。

 煉獄ではいまだに100年前の殺人事件で裁判やってます。被告はルキーニ。罪名は皇后エリザベート殺害。

 「望まれて殺ったんだ。エリザベートはトートと恋仲だった」

 証明のためにハプスブルク家の霊魂が呼び寄せられます。

 1853年、バイエルン王国のおてんば娘は綱渡りに失敗して意識不明。臨死体験で冥界に迷い込んだエリザベートにトートは一目惚れしてしまいます。

 「生命を返してやろう」

 以来、トートはエリザベートを追いかける「愛と死のロンド」。

 ところが、姉と結ばれるはずだった皇帝と結婚。エリザベートは皇后になってしまうわけ。つっても、宮廷は皇太后にすべて仕切られていて、子供たちもとられてしまう。

 子供の頃から「自由」を生き甲斐としてきただけに、息もできない窮屈な世界で精神的に追いつめられてしまうけど、トートに唆されても「死」に逃げることだけはしなかった。

 絶世の美貌に気づくと、彼女はそれを武器に世界を動かしていきますが、女の権力争いは熾烈ですな。美女には美女を・・・皇太后は美女を山ほど侍らして皇帝との仲を裂こうとします。

 権力争いに勝ち、子供を取り戻したものの、顧みる時間なんてありえず、結果、孤独に苛まれた皇太子は革命に荷担。事件は隠蔽されたものの王位継承権を失ってしまいピストル自殺。

 宮廷生活にすっかり関心を失ってしまったエリザベート。

 「死にたい」
 「まだ俺を愛していない」

 黒服をまとったエリザベートは彷徨い続けるなか、レマン湖で暴漢に襲われます。いったん振り切ったものの、トートの叫びを聞くや、自ら刃物に向かっていきます。

 エリザベートはトートの愛を信じて空に舞う、ラストは愛と死のロンド。やっぱりタカラヅカ。


92年ウィーン初演以来、各国で上演。96年、雪組(一路真輝さんのサヨナラ公演!)。

 宝塚では・・・星組(96年・男役トップ麻路さきさん)、宙組(98年・姿月あさとさん)、花組(02年・春野寿美礼さん)、月組(05年・彩輝直さん)、雪組(07年・水夏希さん)、月組(09年・瀬奈じゅんさん)、花組(14年・明日海りおさん)・・・ただいま、宙組(朝夏まなとさん)で再演中でございまして。。。

 これまた、さすがタカラヅカつう舞台ですわな。