2017年01月26日稀勢の里横綱昇進!勝った負けたと騒ぐじゃないよ。。。

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 稀勢の里が第72代横綱に昇進しました。19年ぶりにようやく日本人横綱誕生とか。

 たしかにこの間、モンゴル、ハワイと外国勢に綱をとられていたわけですが、白鵬のように日本人以上に日本人力士のお手本になる逸材もたくさんいました。


四文字熟語なんていらないよ。自然体でとてもいい伝達式でした。

 師匠は、元々は13代鳴戸親方(元横綱隆の里)だったそうですが、いつも指導されたことは「勝って喜ばず、負けて悔しがらず。器の大きな力士になれ」とのこと。

 この話を聞いて、ああ、隆の里も双葉山を尊敬していたんだな、とわかります。

 ワレ イマダ モツケイ タリエズ

 これ、双葉山の電報です。モツケイ? それなーに?

 「荘子」達生篇にこんな話があります。

 ある国に闘鶏を育てる名人がいました。王のために闘鶏を養うことになりました。
 
 ある日、「どうだ、もう闘わせてもいいか?」と王が尋ねます。
 「まだだめです。弱いくせに空威張りばかりしています」

 10日後に王はまた尋ねます。
 「まだだめです。ほかの鶏を見たり鳴き声を聞くと、興奮して自分をおさえられません。まだまだ本当の強さではありません」

 その10日後、王はまた尋ねます。
 「まだだめです。相手を睨みつけて気負っています。本物ではありません」

 さらに10日後、王はもう一度尋ねます。
 「もう大丈夫でしょう。ほかの鶏の鳴き声を聞いても泰然自若。まるで木でつくった鶏のようです。ほかの鶏は見ただけで逃げ出すでしょう」

 以来、闘鶏に負け知らず。闘わずして相手を屈服させてしまう。相手の鶏は、いわゆる「位負け」というヤツだったんでしょう。そういえば、負け犬の遠吠え、弱い犬ほどよく吠える、といいますよね。

 泰然自若。無為自然。武道では自然体がいちばん強いそうですよ。

 双葉山にこの「木鶏の境地」を話して、相撲道に活かしてはどうか、とアドバイスしたのは安岡正篤さん。双葉山もよっぼど得心したんでしょうね。以来、座右の銘とします。

 残念ながら安芸の海に破れて連勝は69でストップしてしまいますが、あの白鵬ですら63連勝で止まってますよ。いかに偉大な記録かがわかろうというものです。

 さて、この電報ですが、インド洋の船上で安岡正篤さんが受け取ったものです。

 ワレ イマダ モツケイ タリエズ フタバヤマ

 勝って喜ばず、負けて悔しがらず。そんな人間がいるんでしょうか。勝負の厳しさを知ってる人しかできない芸当ですよ、これは。

 というのも、私のような朴念仁は、勝って喜ばず、負けて悔しがらず、なんて心境にすらたどり着きませんもの。
 勝ちそうになると小躍りして喜んでしまい、負けそうになると絶望のあまりに自暴自棄になって破滅してしまうか、チックショーとキレてしまい、ちゃぶ台返しをするのがオチだからです。

 勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。勝った負けたと騒ぐのが凡人。勝利を超えた世界を楽しむのが天才なのかもしれません。

 腕は磨けば 強くはなるが
 強いばかりが 能じゃない
 人ができれば 相撲もできる
 できりゃ目先の バカな勝負はしなくなる


 さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「日本人にとって聖なるものとは何か 神と自然の古代学 前編」(上野誠著・950円・中央公論新社)です。