2017年08月01日「十年」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 お待たせ致しました。お待たせしすぎたかもしれません。
 「十年一日の如く」とか「十年ひと昔」とか、「十年」という単位は長い年月ですな。

 10年経ったらどうなってんだろ? 香港の近接未来。
 共産党に支配された香港。1997年にイギリスから移譲(返還ではなく)された時、「外交と国防以外はいままで通りの高度な自治を与える、と中共は約束した」と言うけど、こんなもん信じる方が悪い。

 中国人はカネのためならなんでもやります。香港でマネロンもしてるからね。都合のいい別口座なんでしょうね。

 しかし、中共、公安がよく製作を許しましたねえ。ま、上映は禁止、ネットも禁止でしょうけどね。海外の中国人が見ればいいわけよ。あと、かつての宗主国イギリスね。

 けど、イギリスも国益最優先。香港人なんて二の次三の次。やはり自国のことは自国でやんなきゃ。同時に、沖縄の人も明日はわが身と心しておくべきでしょうね。



 5人の若手監督によるオムニバス。2015年から「10年後の香港」を描いたSFといえばSF。どれもいいけど、とくに響いたのは『焼身自殺者』『地元産の卵』『地元の卵』の順かな。
 
 『エキストラ』は、真愛連党首と金民党党首が登場するメーデー集会。テロの練習をする2人。生活のために危ない仕事を引き受けた・・・。
 『冬のセミ』は、いまや地球にはかつての2%=870万種しか生物がいない。自分を標本にしてほしいと懇願する男・・・。
 『方言』は、かつて英語、いまや普通話の香港。広東語では仕事がなくなるタクシー運転手。仕事でも仲間と子供との関係もぎくしゃくするばかり・・・。
 『焼身自殺者』は、2025年のある早朝、イギリス領事館前で焼身自殺。目撃者もいない遺書もない。これが中共の工作。学生たちは革命に命を賭けるが、老人も焼身自殺で「共産党NO!」を訴える・・・。
 『地元産の卵』は、店先に置かれたチラシ「地元産の卵」。これが少年団に非難された。「香港産」はいいが「地元産」はダメだ。香港最後の養鶏場も閉鎖され、「禁止用語」は増えるばかり。少年団の息子に「人のいいなりになるな」「自分の頭で考えろ」と父親は諭すが・・・。



 習近平は、トウショウヘイの孫娘の夫を逮捕。天安門事件の総括をいまごろ実施し、すべての責任をトウショウヘイに転嫁するつもりなんでしょう。ご都合主義、カネと権力、ハニー大好き特権階級に蹂躙された香港。

 法律違反で逮捕者が激増してますけど、法律を守っていないのは中共政府のほうです。文革、天安門事件、そして雨傘運動でいったいなにが変わったか?

 なにも変わらない。しかし、文革で行動せず、天安門事件で行動せず、雨傘で行動せず・・・行動しなかったから「いま」があるわけです。「いま」を変えたいなら行動するしかないんですよ。

 「十年」というのはどこの世界でも当てはまります。もち、個人の生き方でもそうです。


 さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「生涯投資家 前編」(村上世彰著・1,836円・文藝春秋)です。