カテゴリー:中島孝志の不良映画日記

2018年10月10日 (水)

「教誨師」

 大杉漣さん主演、最初にして最後のプロデュース映画。



大杉さんの役は、プロテスタント牧師。拘置所に通いはじめてまだ半年。死刑にも立ち会ったこともない「教誨師」です。

とっても重たい映画です。タイプのまったく異なる、6人の死刑囚(正確には死刑確定者、と呼ぶらしい)と面会を続けます。

なんのためにやってんだろ。神のため? 自分のため? 使命感? いえいえ、ホントの処、私は、『業』ではないか、と思います。いちばん近い言葉はそれだな。

原案、脚本は佐向大監督が書いてますので、まったく別物ですが、同じタイトルの本が出版されてます。これが傑作でしてね。

 半世紀にわたり、「教誨師」として死刑囚と対話を重ね、死刑執行に立ち会ってきた、ある僧侶の物語なんです。
 その僧侶は渡邉普相さん。「わしが死んでから世に出して下さいの」という約束だったらしいですね。

 死刑囚とどう向き合えばいいのか? 死をどう納得させればいいのか? 重圧の中、アルコール依存症になってしまいます。そして病院から通う始末。

大杉さん演じる牧師も同じです。酒に逃げないと死んでしまうほど苦しかったんでしょう。罪と罰。けど、死を納得できる人なんてめったにいませんよ。

 私はいつでも死ねる、もう死んでいるからかまわない、と思ってますけど、いざとなれば、死にたくない、どうしてオレなんだ、ふざけんな、と喚くかもしれません。

 死刑執行直前、長年にわたって付き添ってきた死刑囚に最後の教誨をする。
 仏壇の前でお勤め。「讃仏偈」を大きな声を出す。声を出すことで落ち着く、とか。最後にお茶を出す。

 「執行がイヤだったら大きな声で喚きなさい。泣いても喚いても、浄土往生の妨げにはなりません。思い切り喚きなさい」

 しかし、喚きもせずいい顔をしている、といいます。

 「あの人たちは日ごろから、『死』を心の中に持ち続けています。残酷かもしれません。しかし本人たちは長い間、それを持ちながら生きてきたのです。毎日刑の執行をイメージし覚悟してるんです。
 結局、最後は阿弥陀如来のお慈悲の中に救われていくことを受け取っているんです」

 「あの人たちのことを怖いと思ったら、相手は見抜きますよ。腹を据えて見ていなさい」と師匠から言われたとか。



 「先生、引導を渡して下さい」
 「真宗に引導なんてない」
 ところが、師匠は「死ぬんじゃない、浄土に生まれるんじゃ。喝っ!」とすかさず言ったそうです。
 「ああ、生まれるんですね」とニッコリ。
 「私も後から行きますから。待っててくださいよ」
 たいしたもんです。

 事件のことは話さないし聞かない。調書を一度読むくらいで教誨にはあまり必要ではない。死刑囚は人を殺している。その人の供養のためだけに教誨を受け始めるんです。

大杉さんの牧師はちがいます。

 殺したばあさんが化けて馬乗りになって首を絞めてくる、と幻覚に襲われた死刑囚がいた。本人の心が教誨を受けようと開かれるまでには時間がかかります。

映画はちがいます。ストーカーで一家惨殺した死刑囚はとことん自分に都合のいい解釈をします。

 ある母親は、明日、死刑が執行される息子を抱きしめ、「勘弁してね、許してね」と懸命に詫びていた。産んだ子を死刑になるような人間に育ててしまった。父親はあんなヤツ勘当だと言うけど、母親は違う。
 「自分が悪いんです」
 いつまでも息子から離れない。

 「時間でございます。今生の最後です。お母さん、よく顔を見ておいてください。もし息子さんに会いたかったら、今度はあなたが仏法を聞くんです。それ以外に会う道はありません」
 息子は独房で声を上げて泣く。
 「母をあんなに悲しませた。なんてことをやってしまったんだ」
 何年かかって教誨するより母親のひと言の方がよっぽど大きな力を持っている。



 どこでどう道を誤ってしまったのか? 教誨師と死刑囚。入れ替わっていたかもしれません。因縁次第ではだれでも死刑囚になります。

 愛する人を哀しませたくない。これが歯止めかな。

映画では、大量殺人を冒した青年を演じた玉置玲央さんが光ってたね。超お勧めです。

 愛すれば愛される。憎めば憎まれる。
 信じれば信じられる。疑えば疑われる。
 与えれば与えられる。奪えば奪われる。


 さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「今、心配されている環境問題は、実は心配いらないという本当の話」(武田邦彦著・ 1,404円・山と渓谷社)です。

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2018年09月21日 (金)

樹木希林さんの映画「あん」

 忘れないうちに・・・明日は「ぴよこちゃん倶楽部」「中島孝志の銘柄研究会」です。メンバーはご参集ください。。。


いまのとこ最高値更新してるんだけど。。。


 弱い人しか弱い人の苦しみはわからない。
 はたしてそうでしょうか? 現実を見れば、弱い人がより弱い人を苦しめていることがたくさんあります。

 けど、それも一部しか見てないだけかもしれません。弱い人は弱い人のことを慮っています。なにしろ自分のことですから。。。

 「あん」て映画ご存じ? 樹木希林さんが主演した映画なんすけどね。『万引き家族』と『海街diary』は見たけどって?


モッくんの娘さん(内田伽羅さん))も共演。樹木希林さんの孫っすね。

 この映画には弱い人しか出てきません。みな、なにかしら、苦しみ、哀しみ、悩みを抱えています。けどその中で樹木希林さんが演じる徳江さんだけは病気と偏見を超えて淡々と生きているのです。


鉄のような強さはなくても竹のような強さで十分でしょ。

 「働かせてちょうだい」
 「200円でいいわ。時給」
 「ガワはまあまあだけど餡がねえ」
 「これ食べてみて」

 1度は捨てた餡ですけど、気になって舐めてみた。思わず食べてみた。凄い!

 どら焼き屋には学校帰りの女子高生が遊びに来ます。
 「美味しくなったね。腕上げたね」

 「なんでも好きなことをやゆのなさい。生きているんだから」
 「いいわねえ。若いって」
 女子高生たちと徳江は楽しく会話します。

 開店前から行列ができる店になってしばらくは繁盛します。しばらくはね・・・。

 「私も働きたかったわ」と徳江の友人(市原悦子さん)の羨ましそうな顔。

 なんのために生まれたの? なんのために生きてるの?
 なにかの役に立つの? 役に立ちたいの?
 はい、役に立ちたいです!

 あまりにも悲しすぎて、見ているこちらの心が火傷しそうだけど、存在してくれるだけでいい、顔を見られるだけで幸せだから。

 自分を見捨てない。なにかの本のどこかに何回か書いたことがありますけど、この世でいちばん強いのは自分で自分を励まし続けられる人です。他人を励ますなんて簡単ですから。でも、自分を励ますのは難しいですよーー。

 「味方」であるはずの「自分」が、いちばん最初に「自分」を見捨ててしまうことがなんと多いか。

 最期まで自分を見捨てない。


 さてさて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は明日の「ぴよこちゃん倶楽部」のゲスト講師の最新刊=「現役大学教授が実践している 堅実で科学的な株式投資法」(榊原正幸著・1,728円・PHP)です。 

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2018年09月08日 (土)

「彼女がその名を知らない鳥たち」「ユリゴコロ」

 そうか、『アミダサマ』なんか読んでたんだ。へえ・・・。

 いま最高にはまってる映画。映画館でそこそこ観てるんすよ。私。で、この2つともブルブル震えるくらい感動した作品っす。

 ふつう、映画館で観たものってテレビモニターじゃ観ないっす。DVDもそう。「時間がない」と「また観たいつう作品じゃない」つう理由かな。

 けど、これらは別。つうか、どちらもあまりのえげつなさに目を背けてました。ホラーらしいしね。ほら、私ってデリケートじゃん? やなのよ。昔、飛び込み自殺を目の前でされてからね。トラウマっつうの。なんかね。

 テレビサイズなら観られるかなってんで。けどさ、立て続けに観るかなあ。ま、いいけど。


『彼女の知らない鳥たちの名前』ね。アベサダヲさん大好きなんすよ。


 「あなたの優しさは容赦なかったです」つうセリフはこちらの映画にこそふさわしいのでは? 主役はアベサダヲさんだと思うのね。この男こそマリア様ですよ。



 何回も言うけど、マツケン好きなんす。他人とは思えないっす。いい役者だよね。映画ぜんぶ観てるかんね。なにがいいって、雰囲気がいい。男前とは言い難いけど、なんかいい。空気かなあ。

 原作も読んでます。で、短編集を「通勤快読」で紹介しよと思ってます。でも、やはり長編の人だわな。

 シナリオライターが巧いね。原作と違うもん。で、原作超えてるもん。よりスレンダーに絞ってるからわかりやすいとこかな。
 
 『白夜行』なんてその典型だわな。あれはシシナリオの勝ちっすよ。『ユリゴコロ』もシナリオの勝ち。どちらもいいんだけどね。

 う〜ん、「生まれてきてすいません」つう「ゴミ」みたいなヤツっているでしょ。でも、そんな「ゴミ」こそ絶望の中に希望を見出そうと踏ん張ってるわけ。け

 こういう人こそ元気にしなくちゃいかんわな。ま、本人次第だけど。

 「容赦ない優しさ」ってわかる? 罰して欲しいのに「優しさ」で返す。これって残酷です。でも、優しい人は気づきません。当たり前の世界だからね。私みたいに「虎の穴」で育った人間には裏切りなんて当たり前の世界だもん。

 なんでもいいけどさ。午前7時40分は飛ばなくて午前7時発は飛ぶってどういうこと? 福岡空港から羽田行き飛行機ってどうして飛ばないの? 福岡の天気いいっすよ。前日、羽田から福岡空港まで届いたけどね。

 「機体がないから」ゆうのんは、先月の出雲に続いて2回目。ま、大量に本持ってきたからね。新幹線でゆっーーーくり帰るべえかな。途中下車してもいいし。山陽道+東海道の新幹線は長いかんねー。

♪帰ろかな 帰るの よそうかな♪


 そうそう、原作は沼田まほかるさんっす。

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2018年08月12日 (日)

「カメラを止めるな!」

 う〜ん、なるほど。そういうつくりなのか。。。

 内容よりもなによりも映画の製作法に関心が行っちゃうのよね。ま、ゾンビ映画なんて関心ないもの。

 FM聴いてたら、アンジャッシュの渡部さんの番組で映画評論家がゲスト。で、この映画を絶賛してたつうわけ。

 納得。入れ子構造になってるわけね。これはよく見ます。あります。で、立体的に理解できるつうか、ああ、なるほど、そうだったね、と合点がいく。



 最近の邦画はヒット漫画か小説を原案にしてるのばっかですけど、映画のために脚本がしかと書かれた、つうのはめったにありませんね。

 リスクヘッジといえばそれまでなんすけど、映画屋なら脚本かけよ、と言いたくなりますわな。テレビのほうがよっぽど真摯に脚本書いてますよ。『グッドドクター』見てちょ。

 いずれにしても大ヒット。たしかにおもしろい。 

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2018年07月01日 (日)

「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」

 喜びと悲しみは同じモノだ・・・最近、なぜか、この手のものばかり見ています。『万引き家族』『祝福 オラとニコデムの家』とかね。

 どうしようもない親としっかりした子ども、つう親子関係。なんの暗示か、導きなのか、まだわからんけど。。。



 映画批評サイト「Rotten Tomatoes」で高得点。批評家から絶賛。けど、アカデミー賞ではウィレム・デフォーが助演男優賞にノミネートされただけ。これがクリエイターとか批評家の間でブーイングになった、つう作品です。

 世界でいちばんの集客力を誇る「マジック・キングダム(フロリダ・ディズニーランド)」のそばにあるモーテルで暮らす子どもたち。

 ホームレスまで落ちてないけどアパートには暮らせない。だって、職もないし、貯金もないし、保証人もしないし、貧困層だからね。

 子どもの一番人気の場所が近くにありながら、そんなものとはほど遠い。でも、子どもは遊びの天才ですから、なにもなくたって遊びに変えちゃいます。
 それが「いたずら」。度が過ぎたいたずら。ものすごいエネルギーの塊だから、電池が切れる夜になるまで周囲の大人は振り回されちゃう。

 ホント、子どもと遊ぶとクタクタになりますよ。「あれ、なーに?」「これ、ナーニ?」と質問の嵐。きちんと調べて正しく教えてあげないとね。

 主人公はムーニーという女の子。天才子役でしょうな。自由奔放に生きてるのは母親譲り。この母親、子どもを捨てずに生きてるシングルマザー。どうやら10代でムーニーを産んでるんで、まだ20歳くらい。

 モーテルは週払い。いつも支払いが遅れる。で、ムーニーと一緒に水着写真を自撮り。実は、ほかに使うためなんですけどね。

 全編、ムーニーたち子どもの視点で描かれてます。あの頃の私はにをしてたんだろう。仲間を連れてはあちこち走り回って陽が暮れるまで遊んでいた。持てあましたエネルギーを消費するために1日中動き回っていた、と思う。

 ムーニーの動きを見ているだけで、実は疲労困憊。子どものエネルギーってのは凄い。母親ってのはこの連中に付き合ってるわけで、そりゅ、クタクタヘトヘトになるわな。

 ムーニーは教会の炊き出しにも、遠慮することなく、あれくれ、これくれ、と注文します。教会の連中もどんどんあげちゃう。

 アメリカほど貧富の差が激しい国はありません。何兆ドルものカネを投資銀行救済に使うけど、貧困層にはフードスタンプのみ。しかたない。働かないんだから。

 でも、働きたくても職がない。拒絶されちゃうわけ。失業率が激減してるのは、正社員のクビを切って、猛烈にパート・バイトを増やしてるからにすぎません。でも、パートやバイトの職すらありつけない。

 ほぼ最底辺の連中。ムーニーたちの親ですよ。言葉遣いも態度も悪い。

 「だから、あんたは貧しいのよ!」と非難するモーテルの女主人に対してムーニーの母親がとった行動。笑いましたよ。

 哀しすぎると笑うしかないね。

 そうそう、ラストシーンでムーニーがはじめて大泣きしたとき、友達のジャンシーは思わず手を取り駆け出します。どこに行くのか? なにを目指すのか?

 驚いたなあ。要注目です。


ホントはこの映画見るつもりだったの。映画館でコロッと心変わり。万事に付けてよくあることです。

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2018年06月30日 (土)

「祝福 オラとニコデムの家」

 世界中の映画賞を総なめにしたドキュメンタリー。
 昨年10月の山形国際ドキュメンタリー映画祭で最高賞ロバート&フランシス・フラハティー賞(大賞)でしょ。ヨーロッパ映画賞も受賞してまんねん。


渋谷の「ユーロスペース」でやってます。周囲はラブホテルばっか。ま、「ついでに見る」つうアイデアもあるわな。

 オラというのは14歳の姉。ニコデムは自閉症の弟。舞台はワルシャワ郊外。なんたってドキュメンタリー。

 アンナ・ザメツカ監督は鏡写しの少女に自分の経験を重ねながら、あくまでも少女の日常を撮り続けています。でないと、ドキュメンタリーではありませんからね。

 オラの家族は弟のほかにアルコール依存症らしい父親。そして、いまは違う男と暮らしている母親&そのベイピー。


なんて美しい笑顔なんだろ。

 昔の日本人はきっとそうだったと思うけど、この少女も、学校に通いながら、弟の面倒、父親の面倒、そして、おそらく、同居はしたものの、この母親にベイビーを育てる能力があるとはとても思えませんので、赤ん坊と母親の面倒までみなくちゃならないんでしょう。

 現実はかなり悲惨ですよ。でも、この娘、なぜか明るいんですよ。たまにヒスを起こしますけどね。これはガス抜きでしょう。でないと爆発しちゃいます。

 どうして、この娘がめげないか。実は、弟の初聖体式(「赤い靴」の堅信礼みたいなもの)がうまくいけば、この壊れた家族がもう1度ひとつになれる、と信じてるからです。

 この世界。大人が子どもを慈しみ育てていると考えたら大間違いで、こんな大人がいるか子どもがまともに育たない、というケースが少なくありません。
 そういう意味では、『万引き家族』『だれも知らない』にも近いんですけど、絶対的に違うのは、子どもが絶望してないこと。だから救われる。

 監督は子どもの頃、おとぎ話が大好きだったそうです。とくに『ヘンゼルとグレーテル』。親が親として自分の役割を果たせない、という森の中で、オラとニコデムは自分たちで道を探さないといけない。どのくらい耐えられるでしょうか?

 母親が戻ってきて家族が再び一緒になること。この願いだけがヘンゼルとグレーテルの「エネルギー」なんですね。

 父親がいて、母親がいて、子どもがいる。これで「家族」というチームが成立するわけではありません。この家族には父親がいないほうがいい、母親がいないほうがいい、どちらもいないほうがいい、という家族もたくさんあります。けど、哀しいかな、子どものほうはというと、そんな父親や母親でもいて欲しい、と願う。
 だから、どんな理不尽な折檻を受けても、自分が悪いからだ、と信じ込んでしまう。

 こういう「森」から救ってやるには周囲の大人が気づいてやらんといかんわけ。ある意味、「関係ないね」という社会的無関心が子殺し、幼児虐待を生んでるわけでね。
 子どもが欲しいけどなかなか恵まれない家族はなんとも歯がゆい思いをされてるのでは。

 世の中は矛盾ばかり、不条理なことばかり。でも、そんな環境や条件をわざわざ選んだのは自分だ、ととらえたほうがいいかもしれませんな。

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2018年06月20日 (水)

「ラッキー」

 「孤独」と「1人暮らし」とは違うんだ、とさ。まあ、死ぬ時に周囲にだれかいるのといないのとの違いかしらん。

 人間、1人で生まれて1人で死んでいく、とはいうものの、孤独死か増えてるとはいうものの、たいていは病院で死ぬわけで、そうすると、家族には看取られないけど、看護士さんとかが気づいてくれるかもしれんし、孤独死に付き合ってくれるわけじゃないしね。

 そういえば、妻と複数の愛人が病室で鉢合わせして、「あのまま死んでしまいたかったね」と以前、NYCで大成功した有名レストランのオーナーが言ってたなあ。

 さて、この映画。見たかったんです。あまりやってないのよ。ギリのギリで、阿佐ヶ谷の小さな小さな小さな映画館。これなら家で見た方がでかいんじゃね、という映画館まで見に行きましたよ。


阿佐ヶ谷駅北口。午後6時過ぎから1回だけの上演。1日6種類くらい上演してます。阿佐ヶ谷って住宅街と飲み屋が混然としててサイコーっすね。



 90歳のジジイを演じるのはこれまたジジイのハリー・ディーン・スタントン。残念ながら公開前に亡くなっちゃいました。最後の主演作品つうことですな。

 友人の監督デヴィッド・リンチまで共演してんの。いい役なんだよね、これが。「ルーズベルト」って命名したリクガメに遺産相続させるつもりが逃げられちゃった、つう役。

 90分程度の映画ですけど、とても良くできてますね。

 このジイさん、めちゃくちゃクセが強いんよ。朝はミルク。それからヨガ。で、馴染みのコーヒーハウスで悪態ついて、自分を出入り禁止にした店に大声でこれまた悪態ついて家路につく。

 この繰り返し。

 フラッと倒れて病院に。

「あなたの場合、禁煙は体に悪いから許します」
「どうして倒れたんだ?」
「加齢ですよ」
「いまさら?」

 笑いましたよ。90過ぎて加齢もないわな。とっくに加齢じゃん。

「病気なら、あなたの年ならとっくに死んでます」

 たしかに医師の言う通り。ヘビースモーカーでもどこも悪くない。ピンピンしてるわけ。あとは加齢で動けなくなり、そして死ぬ。それまでに呆けてしまうかもしれんし、呆けなければ悲劇だし。



「秘密があるんだ。聴いてくれるか」
 心配になって見に来た看護士に告白します。
「怖いんだ」
 
 だれだって死ぬのは怖い。はじめてのこと。リハーサルもきかないしぃ。覚悟してたって怖い。一休さんみたいに、死にとうない、死にとうない、と叫びたい。

 生きるのが辛いほど苦しい。早く死にたい。楽になりたい。それほど辛い、苦しい。ここに来てどうして難行苦行せんとならんの?
 愛しているから楽にしてやりたい、と殺してしまう。それほど辛い。
 死に顔が優しい。とっても穏やかな顔になった。そういうことってあります。

 呆けたら顔は穏やかになります。これ、ホント。呆けは神様からのプレゼントなんです。

 頑固で意固地で攻撃的で傲慢で・・・このジジイ。怖さを告白したらとっても穏やかな顔になります。

♪素直に生きれば良かった。君とやりなおしたい。
 招待されたメキシコ人のパーティで思わず愛の歌「Volver Volver」をアカペラしちゃうジジイ。歌に合わせて演奏がはじまっちゃう。やんやの喝采。

 結婚せず、家族もいない。恋はしたかもしれないけどもう忘れた。男としては役に立たないし。素直に生きたかった。もっと自然に。ああだこうだと決めつけないで、あるがまま、すべてを受け容れればよかった。

 いまとなっては遅いけど、いまからでもそうして生きていこう。後悔はしない。自分の人生だから。ジジイ、カッコイイぜい。

 ホントに脚本よくできてるわな。原作読んでみよっと。

 でも、どうして、これ、見たかったんだろ? 呆けてきたな。


 今日の「通勤快読」でご紹介する本は「Jimmy 後編」(明石家さんま著・702円・文芸春秋)です。

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2018年06月11日 (月)

「万引き家族」

 忘れないうちに・・・明日は東京原原です。早いモノでラス前ですよ。いよいよ来月でオーラスです。今回のテーマは「売上を10倍増させるマーケティングの原理原則」です。「ま・く・ら」もそうですが、ネタにちょっと気になる銘柄をいくつか入れました。ご参考になると思います。

 いよいよ来月スタートします「ぴよこちゃん倶楽部」。第5期メンバーを熱烈募集してます。とくに「銘柄研」は要注目です。「銘柄研だけ参加したい!」というご要望がたくさんありますが、ダーメ。これは「通学コース参加メンバー」へのサービスでやってるんです。1回1万円であれだけの情報提供ですよ。いかに利益度外視かおわかりでしょ。


 さーーて、「血は水よりも濃い」といいますけど、あまりに濃すぎるとドロドロで、かえって、水のようなさらさらした関係のほうがいいように思えます。

 ここに集まる「万引き家族」。だれ一人として血のつながりはありません。


理想的な家族ですよ。1つを除いてはね。

 住んでる家にしても年金暮らしのババアのもの。で、このババアにしたって、まったく血の通わない、すなわち、死んだ夫の後妻(故人)の息子のとこに、たまたま月命日なんで寄った、と言っては3万円のカネをせしめる始末。

 で、ここの長女が精神的にやばくて、自分の処で暮らさせているわけ。長女は海外留学してることになってんだけど、ホントはJKフーゾクでバイト。家に居づらいようでね。



 フーゾク嬢の亜紀役を松岡茉優さんが演じてたんでビックリ。一度、J-WAVEにゲストで呼ばれましてね。彼女がMCしてました。頭の回転の早い娘でしたね。

 「万引き家族」てのは、ババアの年金で足りない分を「万引き」で補ってるから。日雇いとかパートとかもやってるけど、極めて不安定で計算に入れられない。つうことは、万引きは計算尽くでやってるわけですよ。

 高層マンションの谷間のボロ家。治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹亜紀との4人暮らし。家の持ち主は初枝。

 ある日、団地の廊下で震えていた幼女を見かねた治が家に連れ帰ります。誘拐になる、と帰らせようとする信代ですが、体中が傷だらけで、翌朝、家に送り届けようとしたものの、マンションに近づくと大声で叫ぶ妻の声。夫のDVが激しい様子をみてとると、信代は幼女を自分が育てる決心。
 
 2ヵ月後、テレビでは「子殺し容疑」でDV夫婦が取り調べ。

 この間、息子の祥太は「万引き」しか教えるネタがない父親から教わったノウハウを幼女に教えます。
 「妹にはやらせるなよ」と言ってくれた駄菓子屋のジジイは亡くなり、幼女を外で待たせたまま、昭太はスーパーで万引き。

 ところが、店の中に幼女が入ってきて、昭太と同じ仕草で万引きをしようとします・・・起承転結の転から結へと一気に話は展開します。 

 疑似家族のどこが悪い? 偽者でもホンモノを超えられるかも?
 しょせん、超えられませんでしたけど。

 けどさ、「家族らしきもの」を持てなかったからこそ、「家族らしきもの」をこいねがったわけでね。「ある人」は「ない人」の気持ちなんてとうていわかりません。で、「ある人」にかぎっって「ないものねだり」をするもんです。

 「産まなきゃよかった」
 「生まれてこなきゃよかった」

 血は水よりも濃い。しかし当たり前であるがゆえに、血を水ではなく血なのだ、と認識する気持ちがない。だから、水いえいえ人によっては泥水とか汚水と思うヤツも出てくるでしょうな。
 知人で養子縁組した親子たちが何組かいますけど、彼らはスタートは血ではなくて水ですけど、時間をかけて水を血にしようと努力してますよ。

 子ができれば親になる。けど立派な親かどうかはわかりません。どんなバカでも親にはなれますから。資格も免許もいりませんから、だれもが覚悟も自覚もなく親になります。

 「親であること」と「親になること」との間には天地の差があるようです。昨今、残忍な子殺しが話題になってますけど、「精神的に」子どもを殺している親なんてはるかに多いのではないでしょうか。

 父に似て 母に似て この子は神の子 仏の子

 水でも似てくるから、親子ってのは不思議ですな。

 
 今日の「通勤快読」でご紹介する本は「『年金問題』は嘘ばかり ダマされて損をしないための必須知識 中編」(高橋洋一著・864円・PHP)です。

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2018年06月06日 (水)

「29歳問題」

 まったく期待してなかった。というより、観るつもりもなかった映画。
 FBでは何回も書いたけど、そもそも落語イベントには2時間ありまして、「ちょうどええがな」つうんで入っただけのこと。

 大当たりぃぃぃ。



 この映画いいですよ。香港電影金像奨最優秀新人監督賞を受賞したらしいけど、元もとは監督のキーレン・パンが2005年から舞台で演じてたものでしょ。



 すっかりこの人が監督だと思ってたのがダブル主演の1人。クリスティ役のクリッシー・チャウ。あまりにも似てるんで錯覚してました。だって、この監督、めちゃ美形なんだもの。


だれかに似てるなあ。だれだろ、思い出せん。

 で、クリスティがパリ旅行中の間だけ住まわせていた大家がティンロ。この2人、誕生日が同じ。いま29歳。30歳目前つうこと。

 舞台では2役を演じてるんですよ。そのほうが観たいわな。つまり、映画の大ヒットで舞台に客が集まる、つう現象ね。

 05年香港。化粧品会社に勤務するクリスティ。容姿端麗の敏腕女社長をリスペクト。仕事にもやりがいがあるし、恋人や友人もいて順風満帆。
 
 で、部長にも昇進。

 それからストレスの嵐。恋人ともすれ違い。そこに来て、実父が呆けてきた。マンションも立替とかで追い出され、1カ月だけ、大家に紹介されたティンロの部屋に間借り。

 ティンロはコロコロ小太りで明るくて、恋に夢見る乙女。レスリー・チャンの『日没のパリ』が大好き。
 
 なんの悩みのないようにティンロだけど、クリスティは彼女の日記を見つけちゃう。まだビデオメッセージでしか会ったことのないティンロに、クリスティは感動するわけ。
 
 仕事、恋愛、結婚。29歳が抱える問題はたくさんあります。

 どうして彼女たちはパリに行ったのか?

 そういえば、昔、ヘミングウェイだったかな。『移動祝祭日』というエッセイがありましてね。

 「もし、きみが幸運にも青年時代にパリに住んだとすれば、きみが残りの人生をどこで過ごそうとも、パリはきみについてまわる。
 なぜならパリは移動祝祭日だからだ」

 このひと言にガツーンと来ましたよ。ベル・エポックとレ・ザネ・フォル(Les Années Folles 狂乱の時代)の端境期を過ごしたヘミングウエイの絶筆ですからね。

 彼女たちにとっても移動祝祭日だったんじゃないかな。よー知らんけど。


 今日の「通勤快読」でご紹介する本は「お祓い日和 その作法と実践」(加門七海著・352円・ダ・ヴィンチ)です。

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2018年05月21日 (月)

「濹東綺譚」

 忘れないうちに・・・先週土曜開催の「ぴよこちゃん倶楽部」ですが、データ・速記録を午前3時半に一斉送信しています。メンバーはご確認ください。添付ではなくダウンロード方式ですから、極めてボリュームが軽量です。届いてないよ、つう方はまずはスパムメールに分類されてないかご確認ください。


 ええっと、DVDなんすけどね。「荷風になりたい」をご紹介したと思うけど、映画は山本富士子バージョンと、津川雅彦さん・墨田ユキさんバージョンがあるわけ。



 山本富士子バージョンという意味は、荷風役はどうでもいいんでしょう。あくまでもおゆきが主役なんすよね。けど、津川・墨田バージョンはあくまでも「荷風」が主役。どこまでも荷風が主役。そういう意味では「荷風になりたい」チックでいい。


墨田ユキさんは沢尻えりかさんによく似てます。もっと女優続ければよかったのにね。相も変わらずつまらんメディアが潰してしまいましたな。

 墨田ユキという女優名は「墨東のユキ」という意味なんでしょうな。

 墨東。かつての玉ノ井。いまの東向島あたりかな。

 『濹東綺譚』は朝日新聞の連載なんだよね。舞台となった玉ノ井にしても荷風が住んでいた偏奇館にしても、3月10日の東京大空襲ですべて消え失せました。荷風曰く、「万巻の書も焼き尽くされた」。

 「ぬけられます」で知られる玉ノ井は私娼街。荷風が歩いた麻布、銀座、三田、浅草、玉の井・・・。新藤兼人監督は原作に忠実ですけど、偏奇館のロケ地は鎌倉じゃないかなあ。御成町のあの屋敷じゃないか、と思うんだよね。



 好きなように生きた男。荷風のような男が生きられたんですから、日本は戦前も戦中も自由なお国柄だったんですよ。

 ああ、荷風になりたい。 


 今日の「通勤快読」でご紹介する本は「なぜこの国ではおかしな議論がまかり通るのか メディアのウソに騙されるな、これが日本の真の実力だ 後編」(高橋洋一著・1,512円・KADOKAWA)です。

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プロフィール

中島孝志(なかじまたかし)
 東京生まれ。早大政経学部政治学科、南カルフォルニア大学大学院修了。PHP研究所、東洋経済新報社を経て独立。経営コンサルタント、経済評論家、ジャーナリスト、作家 (ペンネームは別) 、出版プロデューサー、大学・ビジネススクール講師等ビンボー暇無し。「キーマンネットワーク定例会」(33年の老舗)のほか、
「原理原則研究会in東京」
「原理原則研究会in大阪」
「原理原則研究会in博多」
「原理原則研究会in名古屋」
「原理原則研究会in神の国出雲」
「原理原則研究会in新潟」
「原理原則研究会in札幌」
「松下幸之助経営研究会」
「中島孝志のスピリチュアル研究会」
「日曜読書倶楽部」
「濡れ手で粟!中島孝志のビジネス研究会」
「黄金の卵を産む!ぴよこちゃん倶楽部」

 講演・セミナーは銀行、メーカー、外資系企業等で大人気。全国紙をはじめ専門誌、永田町メディア、金融経済有料サイト、大手企業広報誌から宗教団体機関誌などの連載を20年以上続ける。
 著訳書は480冊(電子書籍100冊含む)。大臣や経済団体トップなど政財界をはじめとした要人プロデュース延べ500人超。読書は年間3000冊ペース。落語と宝塚歌劇、大衆演劇、そしてシャンソンの熱烈なファン。
 日本青年会議所の「TOYP(人間力)大賞」を87年から3年連続受賞の快挙(横浜JC推挙)。
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