2008年06月24日「みんな日活アクションが好きだった」 大下英治著 廣済堂出版 2100円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 これ、最高。なにが最高って、そりゃ、日活アクションだもの。裕次郎(敬称略・以下同)があるわな。旭(あさひじゃないよアキラだよ)があるわな。
 で、浅丘ルリ子? 吉永小百合? まあ、定番だわな。

 もち、スターさんのことも書いてますけど、それ以上にチラッと光る準スターさんをかなり詳細に紹介してるとこ。あと、監督や助監督ね。これがかなりインタビューした雰囲気ですな。
 ということは、そう、裏話のオンパレードなのよ。

 実は、私、宍戸錠が好きなのね。赤木圭一郎なんて、ほとんど彼が演技指導してたくらいなんたからさ。

 宍戸錠といえば、頬に特徴があんたけど。これ、整形手術したりね。
 元々、日活ニューフェースに合格。「警察日記」までは二枚目だったのよ。けど、この人、映画もたくさん観てるし、美学つうか哲学があってね。たんなる二枚目では収まらない。演技派つうか個性派へといつの間にか転向しちゃうわけ。

 で、とんでもないB級映画を撮っちゃった。それが「昼下がりの暴力」。とんでもなくアクの強い殺し屋の役。いままでの映画には登場しないタイプなのよ。

 で、錠さんが輝いたのは、やっぱ、コルトのジョーでしょ。赤木圭一郎とのコンビ。そう、「拳銃無頼帖・抜き射ちの竜」ね。
 これ、好きでした。大好き。いちばん好き。

 小学生の頃、チャリで山超え谷超え、いっぱしに「スタン・バイ・ミー」やってきて、家に帰ると笑点が始まる前。当時、この頃まで映画やってたのよ。で、旭の渡り鳥シリーズとかこれやってるわけ。

 コルトのジョーはガキんちょにもはっきり印象に残る役だったのね。
 どこが? セリフがめちゃキザなんよ。

「俺のツラに色をつけたのはおまえで3人めだぜ。前の2人は、墓の下でおネンネしてらぁ」
「負けたよ、生まれて初めてな。がっくりきたぜ」
「初めで終わりさ。これからは、お互いに上を向いて歩けるぜ」

 なによりキザなのは、帽子だよ。帽子。カンカン帽。で、唇に指をもってきて、「チチチッ」と振るわけ。ちがうぜ、そりゃという意味ね。

 私ゃ、親父の帽子持ってきて斜めにかぶって、鏡の前で「チチチッ」。ぜんぜん似てねぇの。

 ほかに、梶芽衣子、渡哲也、金子信雄、芦田伸介・・・やっぱ、芦田さんは「戦争と人間」の伍代喬介をライフワークにしたかったんだね。あれ、名演技だもん。何度も言うけど、「戦争と人間」は日活俳優・民芸俳優総出演大作ですよ、あれは。ソ連の赤軍全面協力。裕次郎さんは軍部の前に無力な青年外交官役で登場してます。
 これ、前にご紹介してますけど、観て欲しいなぁ。300円高。