2017年07月05日「さよなら、李香蘭」

カテゴリー中島孝志のテレビっ子バンザイ!」

 北朝鮮が世界に向けて、「みなさん、今日は注目してね。重大なことじゃけん」。。。なにかってえとICBMの打ち上げだと。もし藤井四段が連勝してたら、日本のメディアはスルーしてたかもしれんわな。

 それにしても、わざわざ知らせますかね。普通、秘密でしょ。軍事機密なんやから。いちいち知らせる。完成してないんだからいわば中間報告でしょ。「もうすぐじゃけん」「忘れとったらあかんよ」てね。

 で、これ以上の暴挙を押さえるはずの中国は? トランプに最高の友人扱いされたけど、そもそも、中国が北を止められるわけがないのよ。だって止めないからアメリカは中国に譲歩してくれるわけだからさ。北のミサイル問題が解決したら、為替操作、マネロン、ダンピング、東南それぞれのシナ海、台湾、人権などなど、中国の問題にトランプはいちゃもんつけますから。わかってるからサボってるわけ。

 仏の顔も三度。週末、いよいよプーチンと会談でしょ。北より中国を的にかけた話し合いね。オバマ、ヒラリーと違うのがここ。ネオコンと中国ロビーはトランプ潰し、プーチン潰し、安倍潰しをしたいけど、すでにお話してるように6月9日にロシアゲートは終わり。金融株は高騰、金価格は下落。日本のメディアはじり貧野党と一緒になって「加計・森友」を騒ぎ立ててますけど、北は着々とミサイル開発にいそしんでるわけでね。。。平和ボケもいい加減にしてもらいたいわな。ま、それでも南朝鮮の大統領よりはマシだわな。

 太平の眠りが覚めぬ ムンジェイン ソウル火の海 それでも和平

 半島がフラフラしてるから、自国の安全のために対清戦争、対ロ戦争に出ざるをえなかったのが維新政府でね。このままでは南は北に呑み込まれます。ま、南の大統領はそれが望みかもしれんけど。いつも粋な帽子かぶっる知事さんと同じ。

 それと、これ、内緒にしとくつもりだったんだけど。。。前回「4発のミサイル撃った」つうけど、着弾想定カ所で操業してた漁民はだれ1人として見てないのよ。ホントに撃ったん? 加工した動画を放送で流したんちゃうん? で、米中は知ってる、つうカラクリちゃうの? メディアが使ってるデータにしてもすべて北の発表データやんけ。まあ、よう知らんけだとーー。
 

 さて、日本が英米蘭相手に戦争に突き進もうとする中、1人の満洲娘に日本中があれほど夢中になったのはいったいどういうことだったんでしょう?

 イー・シャンラン。なんと美しい響きでしょうか。蘭は満洲の花。季節を迎えていま香りが匂っている、というイメージが湧いてきます。
 リコーラン・・・こういったほうがわかりやすい。記憶に残ってる人もいるかもしれません。



♪髪に飾ろか 接吻しよか
 君が手折りし 桃の花
 涙ぐむよな おぼろの月に
 鐘が鳴ります 寒山寺♪
 
 李香蘭=山口淑子。数年前に亡くなられましたが、その数奇な人生はそのまま映画になる人でした。戦争に振り回された半生。後半は参議院議員として活躍されました。

 満洲に炭坑の町憮順があります。奉天生まれの憮順育ち。正真正銘の日本人ですが、父親は満鉄勤務。北京語ぺらぺら。声楽をやり、美貌で中国語と日本語に堪能だった。

 これが正真正銘の「日本人」でありながら、五族共和のためと説得され「満洲人」として映画に出演、ヒット曲連発。敗戦で一転。どちらからも恨まれる存在になってしまい、「処刑」寸前で命拾いという人生を歩んだわけです。

 満洲名の李香蘭の名付け親は李際春。親日派満州軍閥の元将軍にして、当時は瀋陽銀行総裁。戦後は「漢奸」として処刑された人物です。やはり処刑された男装の麗人川島芳子とも親しく付き合っていたようです。

 北京のミッションスクールでは民族としてのアイデンティティを思い知らされます。「抗日運動」に参加するクラスメートたちとは一線を隔さざるをえませんでした。

 「日本軍が北京を攻めてきたらどうする?」
 「国民軍に参加する」「共産軍に参加する」と言えない。
 「私は北京の城壁に上がるしかできません」

 日本軍の銃弾か、反撃する中国軍の銃弾か、どちらかに撃たれて死ぬことが自分にはふさわしい・・・日本人であることを強烈に意識させる大事件でした。

 李香蘭が所属する満洲映画は男優45名女優35名。唯一の日本人が淑子でした。


昔の女優は美人でした。『さよなら、李香蘭』(フジ)では沢口靖子さん、『李香蘭』(テレ東)では上戸彩さん。

 前者はYOUTUBEで。横澤彪さんが製作してたとは知りませんでした。たぶんその頃、主宰する勉強会にゲストできてもらったんだよなあ。もち無料。「遊びに行くよ」と笑顔でね。
 後者はDVDが出てますが、彼女の恋愛について誠実に描いてますね。

♪あわれ春風に 嘆くうぐいすよ
 月に切なくも 匂う夜来香 この香りよ♪

 『白蘭の歌』『支那の夜』『熱砂の誓ひ』 はいずれも長谷川一夫との共演で大ヒットします。『支那の夜』は歌も大ヒットしましたけど、日本人の男に殴られて逆に愛してしまう中国娘という役。
 日本人には溜飲が下がるでしょうけど、後日、記者から、どうしてあんな映画に出演したのか、と問いつめられてしまいます(ドラマでは裁判官から問いつめられていましたけど)。

 もちろん満鉄の子会社ですから、完全に国策映画なんですけどね。長谷川一夫は日本代表、李香蘭は満洲・中国代表というわけです。

 『萬世流芳』は中国で大ヒットしました。アヘン戦争100周年記念で制作されただけあり、主人公は林則徐です。彼のことは未来永遠芳しく伝えられる、という意味です。淑子はアヘン窟でアヘンのかわりに飴を舐めなさい、と歌って回る娘役です。この歌も大ヒットします。

 淑子は満映を退社した後も上海に住んでいました。しかし戦局は日本に不利になるばかり。映画はもう作れない。そこで歌謡ショーをしようという話が持ち上がります。制作は川喜多長政。音楽は野口久光。演奏は上海交響楽団。指揮は服部良一。

 そこで歌ったのがあの「♪夜来香」です。完全にジャズにアレンジされていました。♪上海バンスキングですよ。

 1945年8月15日。淑子は漢奸として逮捕され裁判。容疑は「中国人でありながら日本に加担した罪」です。新聞には「上海競馬場で処刑される」と出ていました。

 裁判でモノを言ったのは「戸籍謄本」です。北京にいる両親が内密に届けてくれたのです。

 しかし、命を取られるかも知れない、という時に、国民党政府から共産党のスパイをするならすべての罪を赦し、財産も与えよう、という条件を出された時に「拒絶する勇気」に驚きますね。

 はじめて祖国の地を踏んだ時、「一等国民の大日本帝国臣民のくせに三等国民の服など着てなにを考えてるんだ!」と下関の税関で怒鳴られた仕打ちを受けましたが、引き揚げ船に乗ると、途中から音楽が「♪夜来香」に換わります。

 さよなら、私の満洲。
 さよなら、私の中国。
 さよなら、李香蘭。

 日中国交回復で田中角栄訪中の時、北京からレポートしたのは参議院議員となっていた山口淑子でした。

♪なにも見えない なにも
 ずっと泣いてた
 だけど悲しいんじゃない
 温かいあなたに
 触れたのが嬉しくて♪

 う〜ん。。。いったい何人分の人生をおくったのか・・・波瀾万丈。凛とした日本人女性でしたね。


 さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学」(中野剛志著・864円・講談社)です。