2008年09月19日正確に間違える人、漠然と正しい人

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 連日、株価が乱高下してますな。金融機関の破綻や危機と財務当局の対応の報道で、猫の目のようにクルクル変わる。
 マーケットがダッチロール。こうなると、プロもアマもなかなか投資はできません。
 NYダウが400ドル超の高騰? 空売り規制してんだもの、このくらい当然でしょ。
 「RTC(整理信託公社)設立」というけれども、時間と規模の勝負でしょうな。80年代のあんなせこいもんじゃあきまへん。少なくとも10倍、できれば20倍くらいの規模でやらんとな。

 ということは・・・。以下に述べる通りです。


すべては本書から始まった!

 さてさて、「I'd rather be vaguely right than precisely wrong.―正確に間違えるよりも、漠然と正しくありたい」という言葉があります。
 この7月のブログでもご紹介しましたけど、ケインズ経済学で知られるジョン・メイナード・ケインズ卿の有名な言葉ですな。
 米国FRB(連邦準備制度理事会)議長のアラン・グリーンスパンが、上院ファイナンス委員会でこの言葉を引用したことで一躍、有名になりました。

 この14日、アメリカの財務当局はリーマンブラザーズを破綻させました。
 サブプライム問題とレバレッジ投資の失敗によるダブルパンチでいまにも死にそうな患者を前に、救命医たちはICUに入れるかどうかで議論百出。この間、バンカメ医師もバックレ医師も手術を躊躇し、だれもオペをすることなく時間切れ。
 結果、患者は突然死・・・と、まあこんなわけです。

 まあね、リーマンほど致命的ではないにせよ、不良債権をヤマほど抱えているバンカメとバークレイズにしてみれば、「財務当局が支援(=融資)をしてくんなきゃ嫌だよ」というのはわかりますな。
 「そんなことしたらモラルハザード(倫理崩壊)につながっちゃう。困った金融機関がわれもわれもと駆け込んでくる。図々しくも、ほかの業界もこぞって押しかけてきちゃう。だからできない」
 「なら、や〜めた」

 正しい判断ですな。けど、これ、正確に間違えてます。

 モラルハザードの回避? 正論ですな。けど、こういう危機の時に、しかも世界に波及することが見えてるときに正論、振り回したらあかんがな。アメリカ人というのは基本的に単純バカで二進法しか使えませんけど、東洋の叡智ともいうべき、「漠然」と「曖昧」に正しい選択をしてほしいですな。


第3章では目からウロコの超常識の投資法を指南してます。

 リーマンを破綻させたらどうなるか、これから地獄を見まっせ。
 突然死と同時に、リーマンが発行(保証)した債券は不履行が確定しました。
 究極の金融資本主義の総本山アメリカにはいろんな金融商品があるわけ。なんと、債券保険としてCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)がついてた。
 CDSっちゅうのは、ざっくり言うと、万が一、相手先が債務を払えないときは肩代わりしまっせ。その代わり、「まさか!」の時の保険料を定期的に払ってね、というもの。

 その「まさか!」がドカドカ現実化しちゃったんだけど、なんのことはない。「まさか!」に対応する準備金を用意してなかった(いわゆる「流動性の危機」というやつ)。
 保険屋なんて、みな、そういうもんよ。だって契約者が一斉に死ぬことなんてだれも想定してない。そういうビジネスモデルだもんね。

 で、こうなると金融機関は連鎖倒産しかねない。これまで、そしてこれからも破綻が噂される金融機関はすべてこのCDSが問題視されると思う。
 ゴールドマンサックスにしてもモルガンスタンレーにしても、そのうちヤフーオークションで「会社売ります!」と言い出すのも時間の問題かも。「サブプライム交響曲」の第3楽章ってとこかな。


シリーズ最終章。日本経済の近接未来がずばり!

 アメリカ発の金融恐慌は確実に世界に波及します。ユーロ暴落も欧州のマーケットがいかに大変なものになるかの予兆でっせ。
 先週までずっと金が暴落してたのも、金融機関、ファンドの連中が生き残るために手持ちの金、金先物を損を覚悟でなりふり構わず売っ払ってたせいでっせ。

 ポールソンさんだけでなく、ブッシュもいまの候補者のオバマ、マケインの両氏も、世界、とくに日本に頭を下げても、資金の融通を頼み込むことですな。
 「日本はいま、北朝鮮による拉致問題の解決に目処が立たなくてね。もし強力にサポートしてくれるなら、困ったときはお互い様だと国民も納得してくれるかもしれませんなあ」
 「おやすいご用です」
 な〜んて、話になるかも。ならなくても、これで拉致問題が解決できるなら「埋蔵金」から100兆円くらい融通してやればいい。やるんじゃないの、超低金利で貸し付けてやんの。
 返してくれない? いいんです、証文さえずっと押さえてりゃ。もち利子つけてね。アメリカが無理難題吹っ掛けてきたら、「あの時の証文、そろそろ返してくれんとあかんやないか。話はそれからや」と言えばええねん。

 いまの日本の総理候補のレベルを見ればおわかりの通り、日本人と日本企業が懸命に稼いだ金しか武器はあらへんねん。ならば、これを使おうやないですか? 金なんてまた稼げばいいんだからさ。

 グリーンスパン前FRB議長がいうように、「今回の金融危機は100年に1度」というもの。つまり、「リーマンやAIGをどうするか?」なんて個別金融機関の問題ではないんです。「世界の金融システムを守る」「これ以上金融恐慌を輸出させないため」に、アメリカ財務当局は米櫃からどんどん米をばらまくことですよ。

 「あるレベル以上の金融機関はぜ〜んぶ救済する」と宣言したらええねん。日米欧の国際ネットワークで地球版RTC(整理信託公社)を設立したらどや? もうそのくらいのことせんと収まりまへんでえ。
 で、欧米の金融機関のみを救出すればいい。日本はエンジェルですな。中国とロシアの金融機関? そこまでカバーする必要はおまへん。軍事に回してるマネーを使ったらよろしいがな。それが嫌なら勝手に倒産したらええねん。

 いまなら株価はボロ雑巾。嵐と津波が過ぎたら、株価上昇で元が取れるんとちゃうか。ベンチャー企業に投資するつもりでガンガンやったらどや。どうせ指くわえて見てても、ドカドカ資産は目減りして袋小路に追い込まれるだけでっせ。

 とにかくこの3冊の本を勉強してください。アメリカの近接未来を「予測」してたのが、この2年間、奈落の底に落ちていく経緯がリアルタイムに勉強できますよ。