2013年05月07日実は知らせたくないこと。。。富士山が世界遺産にほぼ決定!

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

「・・・広田先生が、間もなく汽車の窓から富士山が見えるが、「あれは日本一の名物だ。あれより外に自慢するものは何もない。ところがその富士山は天然自然に昔からあったものなんだから仕方がない。我々がこしらえたものじゃない」と三四郎に言う。三四郎が驚いて、「日本もこれから段々発展するでしょう」と弁護すると、「亡びるね」。

 ご存じ、漱石の『三四郎』の一節ですね。拙著『世界経済が沈んでも・・・』の前書きにいきなり引用させていただきました。参考までに、6月末発刊の次回作の冒頭は映画『乱』でございます。ああ、そういうことねと、わかる人にはわかる。でしょ?

 う〜ん、富士山が世界遺産にようやく登録されそうですね。バカ野郎。日本といえば富士山だろが。今ごろどうして? だって、あんな汚いままで世界遺産にできるわけないやろ?
 こんな声があちこちから聞こえてきまして登録はしばしペンディング。で、アルピニストの野口さんとかが頑張って綺麗にしたんですよね。

 今回、つまらん連中にインタビューしてるけど、どうして野口さんに聞かないのかね? 彼のことだからノーコメントはありえないでしょう。

 お祝いに水を差すようであまり言いたくないんだけど、だからあえて言うんだけど。。。やっぱり言わなくちゃいかんだろね。流れに棹さしてこそメディアで少しは飯を食ってる義務だろ、というわけでね。

 あのね、噴火のこと。もち杞憂ですよ。つうか杞憂だといいんだけどさ。

 富士山の噴火は歴史に記録があるものだけで17回。大噴火は3回。平安初期の延暦19〜21年(800〜802年)、貞観6〜7年(864〜865年)、そして江戸の宝永4年(1707年)ですな。ユーラシア、北米、フィリピン海、太平洋の4枚プレートがせめぎあってる中心だから無理ないのよ。連動しちゃうわけ。

 で、宝永地震。東海、東南海、南海プレートが一気に刎ねたから大変。いまあちこちの研究団体が予測する巨大地震とパターンは同じなんよ。で、あのときの大津波は鎌倉の大仏さんの頭を落とし、49日後には宝永山(富士山南東斜面)を噴火させ、江戸に火山灰を積もらせたわけです。津波50メートル、時速1000キロメートル。人智を超えてるわけ。

 日本は地震国。こんなことは3.11のおかげでだれもがわかってる。けど。。。地震国とか津波国ということ以上に実は・・・噴火国なのよ。

 私はいつも噴火を意識してきました。熊本、鹿児島、博多を行ったり来たりしてた、ということも関係してるけどね。地震も怖いし津波も怖い。けどいちばん怖いのは噴火です。

 日本とカリフォルニアの一部以外なら、原発なんて山ほどつくってもええやん、と考えてます。地震もないし津波も噴火もないもん。環太平洋造山帯に属してないからね。そういうとこの原発が凶器になるのは戦争とテロです。地震、津波、噴火は天災。イギリス、ドイツ、フランスは大いに原発を導入すればいいの。

 さて、東海・東南海・南海地震と発生場所は同じです。いま懸念されてる西日本の巨大地震はその倍以上の規模になります。九州や沖縄まで同時発生します。
 3.11同様、太平洋の沖合でプレート境界が1度に壊れますからどこでも15〜20メートルの津波が押し寄せます。以前の仕事場なんて海抜はわずか4メートル。こりゃあかん。津波のスピードはポルシェより速いからね。う〜ん、30〜40年。遅くとも50年以内と研究者は分析してるけど、ちがうと思いますよ。3年以内。そう思ってます。でもそんなこと発表したらパニックになります。関東は不動産の投げ売り、その他の地域は暴騰します。3.11がそうでしたからね。

 日本でいちばん安全な地域はそんなとこじゃおまへん。私? もう手当てしてます。4LDK。ありとあらゆるリスクの中でいちばん安心なとこ。んなこといっても、確率ほどあてにならんものはありません。ま、北朝鮮からミサイルが飛んでこなけりゃ大丈夫でしょ。
 で、どこなん? んなもん、勉強会(原原と読書会、通勤快読)の会員にしか教えられまへんわな。

 参考までに、朝鮮半島は地震、津波、噴火なんてありません。豪雪も台風も頻繁にはありません。災害といえば飢饉と戦争。つまり人災だけ。で、これが多い。

 歴史上、記録のある地震と噴火の1〜2割は日本です。1000人以上もの犠牲者の地震は平均12年に1回も発生しています。

 さて、噴火がどれほど破壊的か。

 東京と神奈川全域、埼玉南部と千葉西部には東京降下軽石層と東京火砕流堆積物と呼ばれる地層があります。東京全域を20センチもの軽石と火砕流が覆ってるわけ。これらの軽石はどこから噴出してきたか? 知ってます?

 神奈川県に丹沢山系がありますね。ここは厚さ13センチの白色火山灰層です。いままでこれは富士山が噴火したときに降ってきたと考えられてきたわけ。けど直近の研究でそれが違うことが判明しました。

 じゃ、どこから降ってきたのよ?

 実は。。。富士山ではなく箱根火山の噴火によるものなの。60000年前の噴火ですよ。掘るとその頃に堆積した軽石が東京で20センチ、横浜40センチ、鎌倉50センチ、平塚1メートル、小田原では4メートルもの厚さになってます。これらの軽石は噴煙から降り注がれたものです。その量は5立方キロメートル。いかに巨大噴火であったか・・・。

 ところが、丹沢山系の火山灰は富士山噴火によるものではありません。
 では、なにか? 鹿児島と宮崎にまたがる「姶良カルデラ」が起源なの。29000年前に1000キロメートルも離れた地域から飛んできて堆積(入戸火砕流)したものです。この火山帯、いまなお現役です。九州はリスクが高いんです。

 台風の犠牲者は毎年10人単位。地震となると1000人、10000人単位です。けどね、噴火となるとどうか?

「雲仙普賢岳の火砕流では43人だったから台風くらいだろう」と考えたら大間違い。火砕流で犠牲になった方々はほとんどが外国人研究者やカメラマン、消防団員。一般住民は1人もいません。つまり、近づかなければ100%防げたの。
 それに普賢岳の火砕流はわずか0.5立方キロメートルでした。もし阿蘇カルデラが噴火したらどうなるか? 少なくとも九州全域は壊滅必至です。北海道を含む日本列島全体が15センチ超の火山灰で覆われてしまいます。

 火山灰の重みで架線は切れて電力は停止。ダムや水源は火山灰の硫酸や塩酸で飲料できなくなります。この段階でライフラインはストップします。
 消防と自衛隊の車は道路そのものが使い物にならなくなります。太陽光は遮断されます。日中でも暗闇になります。植物の光合成がなくなりますから酸欠になります。車はエンスト、人間は呼吸困難。地表にいたら、もち火砕流の直撃。地下街、地下シェルターに逃げ込まなければなりません。しかしそんな用意をだれがしているのでしょうか。

 この火砕流が原発を直撃したらどうなるか? 簡単な話です。フクシマどころのレベルではありません。核爆発が連続して起こります。日本沈没ならぬ日本埋没となります。

 もう日本人のほとんどが忘れています。どんなにトラブっても3.11だと。冗談じゃありまん。あれは奇跡的に軽微だったんです。

 ところで、3.11までメディアを賑わせていたのはなにか覚えてますか?
 新燃岳の噴火でしたよね。2000年以降、日本列島は地震の活動期が盛んになってますが、地震活動が活発になるという意味は、噴火活動が活発になるということです。もし噴火したら、フクシマから関東に、関東から関西、九州に避難するレベルではすみません。アメリカやヨーロッパ、オーストラリアといった大陸をまたにかけた民族の大移動があります。

「まさか、わたしたちの世代にそんなことが起こるものか!」と考える方はそれでもいいでしょう。しかし東日本大震災のマグニチュード9.0をだれが予測できました? あの大津波をだれが予想できました?

 ついでに、以下は雑学です。

 宝永大地震の49日後 富士山が大爆発を起こしました。宝永山はこのときの噴火でできたものです。このとき、幕府は1度きりですが、100石当たり2両。全国で2400万石、合計48万両の賦課金を徴収しました。

 幕府の天才財務官僚、荻原重秀。天才でありながら誠実。彼がすべてを差配しました。

 それに嫉妬したのが新井白石というバカな男でしてね。顔を見ればわかる通り「つまらん男」です。独占欲と自己顕示欲ばかりが強くて、人の揚げ足取りばかりする。将軍にもあることないこと告げ口して重秀を失脚させます。自分の本で何度も攻撃する念の入れよう。将軍も将軍、幕府も幕府。こんなつまらん男の横車を容れるわけです。
 重秀は謀殺。一族も不幸な死に方をしております。どんなに頭が良かろうと、どんなに金持ちだろうと、つまらん人物とはつきあうべからず、でございます。

 さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『父を国会から追放してください』(チャイナ・ローズ著・グッドタイム出版)です。詳細はこちらからどうぞ。