2008年02月19日「日本の10大新宗教」 島田裕巳著 幻冬舎 756円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 この著者、オウム事件でミソを付け、しばらくマスコミから干されてましたね。
 ようやくカムバック。「新宗教には、なぜ巨大なカネが集まるのか?」と帯にありますが、こういう視点はどこにも感じられませんでしたねぇ。
 まっ、売らんかなでこんなコピーを思いついたんでしょう。

 本書は新興宗教ガイド本レベルでか〜るく読めます。そこがいいのかも。

 新宗教というのは、一昔前の言葉で言えば、新興宗教のことですね。
 いったいどこが違うのか? 新興宗教よりも新しい、ということですかな。新興宗教の勃興は50〜60年代。日本の高度経済成長とともに生まれ、成長してきた宗教ですね。
 そりに対して、新宗教は研究者の間では70年代に定着しているんですけど、それ以降の宗教ということになります。
 けど、どちらも似たようなものですよね?

 新興宗教にせよ、新宗教にせよ、10個に絞り込むのはちと大変だったと思いますよ。
 著者が指摘するように阿含宗が入ってないものね。

 まず、天理教、大本、生長の家、立正佼成会、霊友会、天照皇大神宮教、璽宇、創価学会、世界救世教、神慈秀明会、真光系教団、PL教団、真如苑、そしてGLAです。

 な〜んだ、私、ほとんどの機関誌に登場してるじゃありませんか。
 大本は亀岡まで行きましたよ。いまの代表と合うためね。いろんな資料も拝見してきました。朝早くから信者さんがたくさん集まってましたね。
 農園でとれた米、漬け物で朝ご飯も頂いてきちゃいました。

 ここは昔から世界宗教のまとめ役みたいなところがあって、グローバルな活動を展開してますね。世界宗教者会議とかもやってますもんね。

 学生時代、愛読書が高橋和巳さんの『邪宗門』で。これにははまりました。行徳阿礼、行徳阿紀だったっけ? 何回も何回も何回も読んでは、クラスメートにも勧めてましたよ。
 あの小説のモデルですな。

 GLAは、代表の高橋信次さんの講話ビデオを数本持ってますね。不思議ですよねぇ。ご自分が亡くなる時間まで予言されてるんですから。
 高橋さんのバランス感覚は好きですねぇ。講話の中でお釈迦様と娘スジャータの逸話をよく話されてました。

「琵琶の弦は強く張ったら切れてしまう。緩く張ったら音が出ない。中庸がいいんだ。飲まず食わず寝ずで修行しても悟りは得られない。飽食で修行しても悟りは得られない。普通がいいんだ」と説くわけです。

 この方は経営者ですよね。最後まで経営者でした。宗教家としての活動は経営の合間にしてたようです。しかも10年足らずです。
 末法の世にさっと現れて、自分の使命を果たされて天に召された、ということでしょう。
 
 世の中にはいろんな宗教があり、いろんな特色を持ってるようですけど、あれが良くてこれが悪いということはなく、自分の体質とか相性がいいもの。それが「縁」なのだと思います。オウムに縁があった人もいるでしょうし、それによって犯罪に手を染めたり、結果として死刑判決を受けたり・・・これもすべて縁ですもんね。

 因果応報とはよくいったものです。200円高。