2008年06月18日「ガクラン放浪記」 弘兼憲史著 日本文華社 1030円 

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 稲田耕三さんの「高校放浪記」をマンガにしたヤツ。
 稲田さんちゅうのは、この前、紹介したと思うけど、私が小6か中1の時に読んでカルチャーショックを受けた人。サイマルから続々と出版された自伝なのね。

 喧嘩喧嘩で高校を6回くらい変わるんだよね。はちゃめちゃではあるけど、クールでね。そこにニヒリズムを感じたんだと思う。
 遅れてきた「東京流れ者」、高校生版「網走番外地」だったんだと思うな。

 止めてくれるな おっかさん 背中の銀杏が 泣いている
 男 東大 どこへいく

 まっ、そんな感じ?


いまでもこんな学生さんがいるだろうね。

 以前、このサイトでちょっと「高校放浪記」をご紹介したところ、私の記憶ミスがありましてね。そこをメールで指摘してくれた方がいるんですね。

 中島さん、岐阜じゃなくて三重だよ。で、その後、稲田さんは鳥取に行くんだよ。鳥取大学医学部にいた兄貴が引き取ったわけですね。
 で、地元で名門校と言われてた米子一高に合格するわけ。

 稲田さんというのは頭はいいの。けど、直情的で。基本的に単純なんだと思う。そんなところに自己嫌悪も感じながら、矛盾を無視できずにぶつかっていくタイプ・・・なんだろうな。

 日本全国探しまくって、自分が認める高校に編入しようと考えるわけだけど、結局、自ら塾を開くわけだよ。単行本の扉には塾の風景が写ってるけど、こんなの見たら、いまの塾経営者は羨ましくなるだろうね。
 少子化でなかなか生徒が集まらないいまは大変だよね。

 さて、課長嶋耕作、いえいえ、社長嶋耕作を描いてる弘兼憲史さんがこれを描いてるわけだけど、まだ彼が売れてない頃。昭和53年のことだもの。
 ふらりと入った書店でなぜか手にとって、やっぱショックを受けたんだってさ。で、すぐに著者に連絡して漫画化を頼んだらしいよ。
 私が古本屋で見つめたのは全5巻だけどね。よくまとまってる。

 ところで、稲田さん、その後、受験補勉強して医学部に合格。いま、お医者さんしてるらしい。ネットで調べると麻酔医とか内科医で稲田耕三という先生がヒットすんだけど、この人かなあ。

 いずれにしても、当初の夢を叶えたんだとしたらええことやね。250円高。