2013年01月15日アベノミクスってどうなるの? 第2弾

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 今日は今年初の東京原原ですから、メンバーはご参集ください。テーマは「仕事力200%アップ。。。感動のマネジメントについて語ろう」です。たぶん。なもんで、よろしく。。。


 さて、安倍首相の緊急経済対策。なんでもありの政権らしく、次から次へと繰り出してきますね。知恵もやる気もなかった民主党政権から比べると隔世の感がありますな。

 で、今回は減税措置。すなわち、祖父母が孫に教育資金を一括贈与すっと一定額を非課税にしまっせ、という措置について一言。
 
 上限は2500万円。ねらいは1500兆円もの個人金融資産の6割強を占める高齢者、しかも30兆円はタンス預金。これをなんとか分捕ろう、もとい、消費へと引き出して景気浮揚につなげたい、ちゅうことですね。

 いままでは大学4年間の学費を祖父母が直接払い込んだら贈与税がかかる。お年玉もらったら、「2500万円までは無税でもらえるけんね、もっとくれんね」とじいちゃんばあちゃんにたかりましょう、というわけですね。

 仕組みとしては、祖父母が信託銀行に孫名義の口座をつくる。そこに教育資金を預ける。すると減税措置になる、というわけ。消費を促進し、金融機関の預金額も膨らむ。それで国債を買ってもらえれば言うこと無しちゅう流れですね。

 もちろん庶民には関係ありません。けど、たとえ祖父母が小金持ちであろうとも、「子どもの教育は親の義務。私らがしてきたように、自分の子どもは自分たちで育てなさい」という人が多いんじゃないかな。教育資金まで祖父母に面倒みてもらったら、親の威厳なんて吹っ飛んでしまいますもんね。

 ま、今回の措置も相続税の先取りですな。2500万円遺しても、その分、相続時に課税しちゃうよ。早く使わないと損だよという理屈でしょ。

 隙あれば国民からかすめとろうとする彼らが親切心で非課税措置を提案するわけなんてありません。。。と思っていたら、翌々日、「相続税の課税対象額を5000万円から3000万円に下げます」と発表。やっぱりなあ。

 飴と鞭ですな。鞭の前に飴を提案しとく。いまだに新聞やテレビはこの飴の部分しか報道しませんな。メディアがだれの味方かよくわかりますな。

 さて、ちょっと考えてみましょう。

 贈与税というのは元々、相続税の補完税ですね。死んでから課税されるか、生きてるうちに課税されるか。違いはそれだけ。いまや相続税の最高税率55%。つまり、身内よりも赤の他人の財務省の方が取り分が多い。ざけんなよ、ですわな。

 さて、この贈与税。孫と祖父母という関係ですね。親子間ではどうなってるのでしょう?

 親子関係ちゅうのは「扶養相互間」というんです、専門的には。生活費にしても教育費にしても課税されません。海外留学に500万円かかろうが非課税です。親子間は。

 また、親の甲斐性がないから生活費に困ったら可愛い孫がかわいそうだ、と祖父母が孫の親(祖父母から見ればわが子)に生活費を与える。これも「社会通念上、認められる範囲内」であれば非課税。

 もち、年間110万円以下(ホントは110万999円以下)ならだれへの贈与でも非課税。基礎控除額ぎりぎりですからね。

 けどね、ここでポイント。贈与は契約だということ。

 どういうことかというと、贈与する側とされる側がお互いに「了解」してないと成立しません。一方的に贈与してもあかんの。もらう側も了解してないと。

 ということは。。。鳩山兄弟はブリヂストン株の配当で毎年ン千万円もお母様から「子ども手当」をもらってました。首相の鳩山由紀夫さんはメディアから叩かれました。で、何年間もの贈与税を支払いました。
 これ、明らかに脱税ですから懲罰委員会にかけられ、逮捕され、刑務所入り確実の大問題ですよ。ホントは。

 どうして鳩山さんは贈与税なんか払ったのでしょうか? 払うから大問題になったんでしょ。正解は「まさか母親がそんなことしてくれてたなんて、いままでちいとも知りませんでした」で押し切れば良かったんです。贈与税は契約ですから、お互いに了解してなければ贈与関係は成立しません。母親の一方的な行為であると主張すればよかったわけね。

 さてさて、今回の孫への贈与ですけど、こんなものでどれだけ30兆円が動くのか。。。資産家はケチだから資産家になれたわけで、そんな人が孫のために虎の子を差し出しますかね。
「どうせ相続税で取られるくらいなら差し出すでしょう」と考えるのは甘いのでは。相続税。すなわち、自分が死ぬことなんてだれも考えてませんよ。

 相続財産を活かして増やしたなんて話ぱ聞いたことがありません。財産が仇になるか食いつぶして周囲の笑いものになるか。苦労人の祖父母はそれがわかってますよ。カネを遺せば争いのタネにもなる。ならば教育基金でもつくっておこう。相続税対策にもなるしのお、と考えます。

 どん底からスタートすることが、人生、いかに素晴らしいか。

 そういう観点で言えば、日本の政治家と財務省がいかに素晴らしいか。100兆円の米国債はどうせ紙切れになります。紙切れになれば創意工夫とチームワークで国民一丸となってまた働けばいいんです。

 2500万円非課税措置の本質は、相続税課税対象額を引き下げるための「アリバイ」ですな。つまり、それだけ広く取ろうという作戦なわけ。さすがにこういうずる賢いことを考えさせたらお役人というのは天下一ですな。

 それにしても、もう少しダイナミックな政策を発想できんのかね。


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