2007年01月14日「愛の流刑地」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

「あなたは死ぬほど人を愛したことがあるんですか!」
「愛しているなら殺してください」
「どうして殺してくれなかったんですか? 意気地無し」
「ください、ください。私をめちゃめちゃにしてください」
「私、あなたに作り替えられたみたい」
「私はやっぱり選ばれた殺人者だったんです」

 愛ルケ、封切り。即、観てきましたよ。
 実はあまり期待してなかったんですけどね。想像以上にいい映画にしあがってます。締切抱えてんだけど、また観ちゃおうっと(「地下鉄に乗って」は6回観たし、DVDも予約したし)。

 30〜50代の主婦に、「いま、いちばんやりたいことは?」ってアンケートを採ったら、ダントツに多かったのは「恋」だとか。たしかにねぇ。
 女は灰になるまで、とは言うけど、そのくらい燃えさせてくれるパートナーがいないと話になりませんわな。
 人生のパートナーも大切だけど、男として女としてエネルギーを沸上がらせてくれるパートナーって必要だと思いません?

 この映画、う〜ん、なんというか、他人事とは思えませんでしたね。途中で恥ずかしくなってきちゃったなぁ。似たような経験あんの? あるわけないけどさ、いいなぁ、豊川悦司。「わたしを本当に愛していたからこそ、わたしを選んだんです」かぁ。な〜るほどねぇ。

 映画の内容はネタバレしちゃうから内緒だよん。
 豊川悦司さん演じる村尾はかつてのベストセラー作家。寺島しのぶさん演じる冬香は人妻。愛の極みで、村尾は冬香の願いを聞き容れて首を締めて殺してしまう。

 で、裁判と2人の愛の交歓劇が糸を紡いでいくわけ。
 裁判という触媒を容れることで、より心の世界が膨らんでいくような気がしましたね。同時に、冬香の深層心理をみなで探ろうという仕掛けにもなってますな。

 これ、出会いから1年の物語。日本の四季のありがたさを感じる映画でもありました。
 雨の京都、夏の富山、おわら風の盆、雪の立山・・・新日本紀行か。

 こりゃ、やっぱり本格的な大人の愛の物語だよ。ドロドロの愛憎の水底に沈んでいく男女の破滅劇?
 不倫? たしかに。ダブル不倫。けど、真剣さ、一途さ、切実さではどうなんだろ? 安定した形式より不安定なほうがより刺激的ではありますな。

 豊川悦司さんと寺島しのぶさんの愛の交歓は綺麗でしたね。
 しかも生々しくてそそります。男がいちばん格好良くて女がいちばん綺麗なのは、この時かもしれないですな。
 R15指定ですけど、うぶな私には少々刺激が強すぎたようです。
 どういうわけか、「愛のコリーダ」がちらちら思い起こされてしまったなぁ。


平井堅さんの歌もいいよ。しっとりとカップルでどうぞ。