2007年04月29日都合のいい国ニッポン

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 安倍さんが訪米し、ブッシュが歓待する。で、共同声明なるものを発表する。
 「北朝鮮の核放棄について連携し、合意不履行ならば追加制裁もある」
 で、新聞は「日米、強固な同盟 再確認」をヘッドラインに打つ。
 さてさて、完璧なできレース。7月の参院選(もしかすっとダブル選挙)を睨んで、歴代総理がしてきたセレモニー(アメリカ詣で)が行われただけのことですな、たぶん。

 中身は、日本は拉致問題の解決参院選の「ウリ」にしたい。一方、アメリカは核放棄。それにバブル崩壊の解決、あるいソフトランディング。観客が注目しているから、舞台裏で協議し、そして合意にいたったということですかな・・・。

 アメリカが日本に期待してるのは「防衛力の強化」でしょ。台湾もフィリピンも、そして日本への覇権を考えたら中国一国に軍事力を突出させるわけにはいかない。
 核を所有した北朝鮮が中国離れしてくれるなら、これもウェルカムとすら考えているのでは?


バカを装っているとしたら本当はものすごい戦略家なんだろうね。

 佐藤優さんの近著「国家と神とマルクス」(太陽企画出版−−竹村健一さんがオーナーの出版社)を読むと、いかに、アメリカがその場主義でコロコロ変わるかがわかります。
 一貫しているのは自国の利益最優先、というがりがり亡者の哲学。
 本来、政治家は自国の利益についてがりがり亡者でなきゃいけないんだけど、アメリカは場合は政治家の私利私欲が国益を引っ張っていることかな。そういう意味では、北朝鮮とどこがちがうんだろう?
 
 著者の「日米開戦の真実−−大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く」(小学館)によれば、日本開国のために尽力したペリーはなかなかの人物。世界各国を航海する中、植民地支配がいかにむごいかを自分の目で見てきた。
 だから、日本を植民地化するのではなく、日本を通じて中国との関係をつけていく、という考えを持っていた。日本の弱みに付け込むという発想はなかった。

 ところが、19世紀末から、アメリカは変質していくんです。

 米西戦争で、アメリカはフィリピンを手に入れます。無敵艦隊スペインがはじめて負けた戦争だよね。
 「植民地って美味しいなぁ。よし、これを中国にも拡大していこう」
 太平洋を征服したら、中国、シベリアも・・・。

 日本は日露戦争でポーツマス条約を結びます。この時、裏で桂太郎首相がアメリカの鉄道王ハリマンに満鉄を売る契約をしてるのね。
 小村寿太郎の烈火の怒りで反故にはなったものの、アメリカは虎視眈々と世界の利権独り占めを画策してきました。

 アメリカは典型的なダブルスタンダードの国。
 たとえば、ジュネーブ条約では、米英間では主力艦10:10、日米で6:10。日本に対しては中国の門戸開放を求めるくせに、アメリカ本国のみならず中南米への進出もダメ。いわゆる、モンロー主義ね。
 「国際連盟を作れ作れ」とけしかけるくせに、アメリカは議会の反対を理由に参加しない。参加しないけれども、国連を使って干渉だけはしつこく展開する。
 ベトナム戦争しかり、イラク戦争しかり・・・ワシントンの住人だけはちがう民族なのね。

 アメリカの権威暴落に相反して、眠れる獅子ロシアが息を吹き返してきましたね。経済面、政治面、そして軍事面でも、「大国」としてのポジショニングをとりはじめているようです。
 「公式の場ではドルという単位を使わないように」とプーチンが釘を刺すほど。
 冷戦の復活? 相変わらず日本は翻弄される? それとも、これをチャンスにアメリカ、ロシア、中国との交渉を局面局面で有利に進める? 21世紀は経済や軍事力よりも「外交力=グローバルデザイン力」が問われる時代になりそうですな。