2007年10月16日「広告コピーってこう書くんだ!読本」 谷川雅計著 宣伝会議 1890円
著者はコピーライター。元々は博報堂勤務。で、独立し、東京ガスの「ガス・パッ・チョ!」とか、資生堂の「TSUBAKI 日本の女性は、美しい。」とか、新潮文庫の「Yonda?」、日本テレビの「日テレ営業中」等々のコピーで知られる人ね。
講演をそのまま本にしたから読みやすいのなんの。文字も大きいし、1ページ12行しかないから、たぶん、15分もあれば読破できると思う。
けど、山椒は小粒でピリリ。文章は易しく、内容は深い。読む人が読めば、かなりのリターンを期待できるんじゃないかな・・・。
広告を作る仕事とはなにか? 「他人の幸せのために他人のお金を使ってやる自分のクリエイティブ」と定義してます。となれば、クライアントの目的に適ってなけりゃいかんのよ。
で、本当の勝負はこのクライアント様からダメ出しされたときにどれだけ考えられるか? ここが大切なのね。
著者は謙虚な人で、失敗も成功同様、正直に語ってくれます。
たとえば、JR東海というクライアント。「凝ったアイデアはいらない。絵はがきのような京都のきれいな景色があればいい」という注文ね。
「でも、それじゃ広告にならない」と考えた。だから、そうではない提案をしつこく続けてた。ダメ出しされてるのに、「違うだろ?」と、たぶん相手が気づくまであの手この手で切り換えそうとしてたのかもしれませんな。
この時、コンペに勝ったのは電通(佐々木宏チーム・当時)なの。このコピー、聞いたことあるでしょ?
「そうだ 京都、行こう。」
たしかに、アイデアはない。シンプルな絵はがきそのもの。けど、最高の絵はがきを提案したものすごいアイデアですよね。
「ダメ出し=制約」ではありません。もしかすると、いや、きっと「ダメ出し=ヒント」なんだなぁ。ここに気づくかどうか。これはビジネスセンスとしても決定的だと私ゃ思うよ。
さてさて、コピーを書き始めたときって、「なんで自分がこんなに素晴らしいと思ってるコピーを他人はいいと評価しないのか!」という憤りが必ずあんの。これは自分の目線しかないから。
たとえば、昔、某化粧品会社のコピーにこんなのがあった。
「二毛作ジェル。」
これ、どう? たしかに、2つの用途を同時に叶えるジェルだ、という意味は伝わってきます。けどさ、「二毛作」って言葉、オシャレか? だっさーいわけよ。言葉の響きとしてね。
けど、こんな失敗はだれでも冒しやすい。
著者自身、ボトル缶タイプのビールのコピーに、
「いい大人の哺乳瓶です」
広告見た瞬間、なんて乳臭いんだ。こんなビール飲めねぇって叫んだ。いやはや正直です。
で、彼がつかんだ鉄則は「意味で書いて整理でチェックする」という方法。
実はこれ、私も実践してきたスクリーニング法なのね。ただ私の場合はダブルチェック。すなわち、「論理で考えて感性でチェックする」「直感で閃いてロジカルにチェックする」というもの。
どうしてかというと、私、右脳で閃く場合と左脳で追究したがる時があんの。だから、ダブルチェックしないとバランスがとれないのね。
きっと著者は論理脳が優位にある人なんでしょうな。
本書では、糸井重里さんや仲畑清志さんのコピーを紹介してます。
糸井さんはたくさんいい仕事してます。たとえば、「不思議、大好き。」とかね。
著者がコピーの学校に通ってたとき、「コンビニでこんなサービスやイベントをしてくれたらすごくいい、と思えるアイデアを考えよう」という課題が出されたのね。
「歌手のコンサートをやる」「コンビニがシアターになる」・・と、みな、真剣にアイデアを捻り出すわけ。
けど、この時、糸井さんがいい例として口にしたアイデアはこんなヤツ。
「カップラーメンに、その場でお湯を入れて作ってあげるサービスがあったらいいね」
いまじゃ当たり前の風景。著者はこの話を聞いてもつまんないと感じた。
けど、後日、いろいろ仕事してると気づくわけ。地味に見えても、世の中の人がホントに必要としていて、まだ存在しないものを見つけ出す。これはたんに奇をてらったものよりずっとすごいアイデアなんだ・・・。
糸井さんのコピーで有名なのが清水建設のCMね。
♪昼間のパパはちょっとちがう
昼間のパパは光ってる
広間のパパははいい汗かいてる
昼間のパパは男だぜ♪
「会社参観日」というタイトルのCM。な〜るほど。授業参観日があるなら、父親の仕事を見物する参観日があってもいいじゃないかってことでしょ。
たしか、これ、忌野清志郎さんの歌だったよね。目の付け所がシャープだよね。
感性と論理。センスだけではコピーって人には伝わらないと思う。やっぱ論理、構成等の、ある意味、論理的な仕掛けが必要なんだ。
そういえば、月末にこの本の版元である宣伝会議で私の特別講演会があんだよ。
よく考えたら、参加者は現役の広告マンやコピーライターなんだよね。本出したり、あちこちで教えてるプロ相手の講演をこのド素人がよく引き受けたよな。ある意味、まともな感性があったらできない所業だよね。ああ、自分が怖ろしい。280円高。
講演をそのまま本にしたから読みやすいのなんの。文字も大きいし、1ページ12行しかないから、たぶん、15分もあれば読破できると思う。
けど、山椒は小粒でピリリ。文章は易しく、内容は深い。読む人が読めば、かなりのリターンを期待できるんじゃないかな・・・。
広告を作る仕事とはなにか? 「他人の幸せのために他人のお金を使ってやる自分のクリエイティブ」と定義してます。となれば、クライアントの目的に適ってなけりゃいかんのよ。
で、本当の勝負はこのクライアント様からダメ出しされたときにどれだけ考えられるか? ここが大切なのね。
著者は謙虚な人で、失敗も成功同様、正直に語ってくれます。
たとえば、JR東海というクライアント。「凝ったアイデアはいらない。絵はがきのような京都のきれいな景色があればいい」という注文ね。
「でも、それじゃ広告にならない」と考えた。だから、そうではない提案をしつこく続けてた。ダメ出しされてるのに、「違うだろ?」と、たぶん相手が気づくまであの手この手で切り換えそうとしてたのかもしれませんな。
この時、コンペに勝ったのは電通(佐々木宏チーム・当時)なの。このコピー、聞いたことあるでしょ?
「そうだ 京都、行こう。」
たしかに、アイデアはない。シンプルな絵はがきそのもの。けど、最高の絵はがきを提案したものすごいアイデアですよね。
「ダメ出し=制約」ではありません。もしかすると、いや、きっと「ダメ出し=ヒント」なんだなぁ。ここに気づくかどうか。これはビジネスセンスとしても決定的だと私ゃ思うよ。
さてさて、コピーを書き始めたときって、「なんで自分がこんなに素晴らしいと思ってるコピーを他人はいいと評価しないのか!」という憤りが必ずあんの。これは自分の目線しかないから。
たとえば、昔、某化粧品会社のコピーにこんなのがあった。
「二毛作ジェル。」
これ、どう? たしかに、2つの用途を同時に叶えるジェルだ、という意味は伝わってきます。けどさ、「二毛作」って言葉、オシャレか? だっさーいわけよ。言葉の響きとしてね。
けど、こんな失敗はだれでも冒しやすい。
著者自身、ボトル缶タイプのビールのコピーに、
「いい大人の哺乳瓶です」
広告見た瞬間、なんて乳臭いんだ。こんなビール飲めねぇって叫んだ。いやはや正直です。
で、彼がつかんだ鉄則は「意味で書いて整理でチェックする」という方法。
実はこれ、私も実践してきたスクリーニング法なのね。ただ私の場合はダブルチェック。すなわち、「論理で考えて感性でチェックする」「直感で閃いてロジカルにチェックする」というもの。
どうしてかというと、私、右脳で閃く場合と左脳で追究したがる時があんの。だから、ダブルチェックしないとバランスがとれないのね。
きっと著者は論理脳が優位にある人なんでしょうな。
本書では、糸井重里さんや仲畑清志さんのコピーを紹介してます。
糸井さんはたくさんいい仕事してます。たとえば、「不思議、大好き。」とかね。
著者がコピーの学校に通ってたとき、「コンビニでこんなサービスやイベントをしてくれたらすごくいい、と思えるアイデアを考えよう」という課題が出されたのね。
「歌手のコンサートをやる」「コンビニがシアターになる」・・と、みな、真剣にアイデアを捻り出すわけ。
けど、この時、糸井さんがいい例として口にしたアイデアはこんなヤツ。
「カップラーメンに、その場でお湯を入れて作ってあげるサービスがあったらいいね」
いまじゃ当たり前の風景。著者はこの話を聞いてもつまんないと感じた。
けど、後日、いろいろ仕事してると気づくわけ。地味に見えても、世の中の人がホントに必要としていて、まだ存在しないものを見つけ出す。これはたんに奇をてらったものよりずっとすごいアイデアなんだ・・・。
糸井さんのコピーで有名なのが清水建設のCMね。
♪昼間のパパはちょっとちがう
昼間のパパは光ってる
広間のパパははいい汗かいてる
昼間のパパは男だぜ♪
「会社参観日」というタイトルのCM。な〜るほど。授業参観日があるなら、父親の仕事を見物する参観日があってもいいじゃないかってことでしょ。
たしか、これ、忌野清志郎さんの歌だったよね。目の付け所がシャープだよね。
感性と論理。センスだけではコピーって人には伝わらないと思う。やっぱ論理、構成等の、ある意味、論理的な仕掛けが必要なんだ。
そういえば、月末にこの本の版元である宣伝会議で私の特別講演会があんだよ。
よく考えたら、参加者は現役の広告マンやコピーライターなんだよね。本出したり、あちこちで教えてるプロ相手の講演をこのド素人がよく引き受けたよな。ある意味、まともな感性があったらできない所業だよね。ああ、自分が怖ろしい。280円高。