2007年12月03日「サダム・フセインは偉かった」 高山正之著 新潮社 1470円
いよいよ師走ですね。今年は毎月、師走みたいなもんでしたけど、なにはともあれ、今年もあとわずか。
クリスマス、忘年会、そして仕事納めと多忙な中、風邪には気をつけてくださいね。
さて、いろんな情報を取捨選択できる時代になりました。けど、いまだにこんなに大本営発表にコントロールされてきたのか・・・とつくづく猛省することしきり。
目から鱗が何枚も落ちましたよ。これ、週刊新潮の超辛口コラム「変見自在」をまとめたものです。
物事を偏向なく見るとこうなる、というモデルだなぁ。新聞を読んだり、テレビを見たとき、著者のような見方ができればいいなぁ〜。
これが辛口というならば、甘口はでたらめ、インチキ、誤謬としか言いようがないのでは? しかも、大新聞ほどそういう記事を書いて世論をミスリードする。
というと、中国、ロシア、韓国、北朝鮮に対する批判かと受け取られがちですが、そうじゃないの。なによりもアメリカを的にかけてますな。しかも、過去の歴史を正しくとらえてますから、ぐうの音も出ませんな。
たとえば、いま、ミャンマー(ビルマ)が非難されています。日本人ジャーナリスト長井さんを狙い打ちで殺した軍事政権ですな。アウンサン・スー・チーさんをほとんど軟禁状態にしてますよね。
けど、この国は北朝鮮のように拉致をしたり偽ドルを作ったわけじゃない。中国のようにチベットの文化を破壊してもいない。
にもかかわらず、英国を中心に非難囂々。
理由は、ビルマが英国を嫌い、それをいつも行動で示してきたからですよ。
旧英国領の植民地はたいてい英連邦に入るの。けど、ビルマだけは拒否。車の通行も英国とは逆、外語大の科目では英語のかわりに日本語があるほど。
なにより国連加盟後、「ビルマ国王」の玉座返還を求めるわけ。
19世紀末、英国は国王をインドに島流しにし、高さ5メートルの黄金の玉座を持ち出していたわけ。
で、国連は「奪った財宝の返還」を決議しるんだけど、埋め込まれていたルビー、サファイア党の宝石類はすべてくり抜かれていたのね。
ビルマ政府は、日本軍の進出で退却する英国軍による住民虐殺の調査も実行。すると、英国少尉から「日本軍に通報されないよう、女と子供27人を虐殺した」という証言が飛び出した。
スー・チーさんの父親は国父アウンサンですけど、暗殺されてます。
英国側の説明では、ウ・ソー元首相がアウンサンを妬んで暗殺したということになってますけど、こんなこと、ビルマ人はだれも信じてない。
だって、ウ・ソーは真珠湾攻撃の日、ホノルルにいたの。で、同じアジア人種が白人国家を叩きのめすのを見て感動。ハワイから帰国途中、リスボンの日本大使館に駆け込んで、日本との同盟を求めています。
翌日、この申し入れが日本に打電されるんですけど、とっくに暗号は解読済み。英国はウ・ソーの搭乗機がベイルートに寄航したとこで逮捕。ナイロビの刑務所で拘留されてしまうわけ。
ルーズベルトはチャーチルにすぐ処刑せよ、と手紙で促すんだけど、処刑したら暗号解読が日本側にばれちゃうからね。それで終戦まで拘留してたというわけね。
日本と組もうとしたアウンサンを英国は許さない。だから、ナイロビの死刑囚ウ・ソーは自分の命と引き替えに暗殺劇の片棒を活がされたというわけ。
英国の戦略は常に長期レンジで仕掛けること。これが特長です。諜報活動にしても、とんでもない息が長い。
暗殺されたアウンサンの娘を英国は引き取って育てます。ロンドン仕込みの娘は欧米びいき。すっかり洗脳してからビルマに送り返されてきます。
こういう仕掛けをさせたら英国は天下一品ですよ。そういえば、彼女の旦那は英国諜報員だもんね。
アメリカにしても、1893年、ハワイ女王をだまし討ちにして併合しようとします。これ、東郷平八郎に邪魔されるわけ。米戦艦ボストンがリリオカラニ女王の宮殿に砲口を向けて彼女を退位された直後、東郷は巡洋艦「浪速」「金剛」を戦艦にはさむように錨を下すわけ。
アメリカの横暴に武士が怒ったわけ。で、アメリカはハワイ併合を断念します。
この時の海軍次官がセオドア・ルーズベルト。彼は意趣返しで日系人の子弟を学校から閉め出し、土地所有禁止、市民権取得も拒否。アメリカの日系人移民にもことごとく妨害工作を指示します。
日本を強化したくないルーズベルトが日露戦争で日本側に有利になるような働きかけをするわけがない。小村寿太郎が非難されることになるポーツマス条約で賠償をほとんど獲得できなかったホントの理由はここにあるわけ。
小気味いいほど鮮明な文章。インド、イラン、フランスにも辛辣な意見をぶつけてます。もちろん、日本の政治家、外務省、マスコミへの辛辣な批判も。国益を損なってきた連中を名指しでめった切り。
これが感情レベルでなく、「真実」を積み重ねた理論構成で明快。キモは著者の愛国心。すべての日本人に読んでもらいたい1冊ですな。280円高。
クリスマス、忘年会、そして仕事納めと多忙な中、風邪には気をつけてくださいね。
さて、いろんな情報を取捨選択できる時代になりました。けど、いまだにこんなに大本営発表にコントロールされてきたのか・・・とつくづく猛省することしきり。
目から鱗が何枚も落ちましたよ。これ、週刊新潮の超辛口コラム「変見自在」をまとめたものです。
物事を偏向なく見るとこうなる、というモデルだなぁ。新聞を読んだり、テレビを見たとき、著者のような見方ができればいいなぁ〜。
これが辛口というならば、甘口はでたらめ、インチキ、誤謬としか言いようがないのでは? しかも、大新聞ほどそういう記事を書いて世論をミスリードする。
というと、中国、ロシア、韓国、北朝鮮に対する批判かと受け取られがちですが、そうじゃないの。なによりもアメリカを的にかけてますな。しかも、過去の歴史を正しくとらえてますから、ぐうの音も出ませんな。
たとえば、いま、ミャンマー(ビルマ)が非難されています。日本人ジャーナリスト長井さんを狙い打ちで殺した軍事政権ですな。アウンサン・スー・チーさんをほとんど軟禁状態にしてますよね。
けど、この国は北朝鮮のように拉致をしたり偽ドルを作ったわけじゃない。中国のようにチベットの文化を破壊してもいない。
にもかかわらず、英国を中心に非難囂々。
理由は、ビルマが英国を嫌い、それをいつも行動で示してきたからですよ。
旧英国領の植民地はたいてい英連邦に入るの。けど、ビルマだけは拒否。車の通行も英国とは逆、外語大の科目では英語のかわりに日本語があるほど。
なにより国連加盟後、「ビルマ国王」の玉座返還を求めるわけ。
19世紀末、英国は国王をインドに島流しにし、高さ5メートルの黄金の玉座を持ち出していたわけ。
で、国連は「奪った財宝の返還」を決議しるんだけど、埋め込まれていたルビー、サファイア党の宝石類はすべてくり抜かれていたのね。
ビルマ政府は、日本軍の進出で退却する英国軍による住民虐殺の調査も実行。すると、英国少尉から「日本軍に通報されないよう、女と子供27人を虐殺した」という証言が飛び出した。
スー・チーさんの父親は国父アウンサンですけど、暗殺されてます。
英国側の説明では、ウ・ソー元首相がアウンサンを妬んで暗殺したということになってますけど、こんなこと、ビルマ人はだれも信じてない。
だって、ウ・ソーは真珠湾攻撃の日、ホノルルにいたの。で、同じアジア人種が白人国家を叩きのめすのを見て感動。ハワイから帰国途中、リスボンの日本大使館に駆け込んで、日本との同盟を求めています。
翌日、この申し入れが日本に打電されるんですけど、とっくに暗号は解読済み。英国はウ・ソーの搭乗機がベイルートに寄航したとこで逮捕。ナイロビの刑務所で拘留されてしまうわけ。
ルーズベルトはチャーチルにすぐ処刑せよ、と手紙で促すんだけど、処刑したら暗号解読が日本側にばれちゃうからね。それで終戦まで拘留してたというわけね。
日本と組もうとしたアウンサンを英国は許さない。だから、ナイロビの死刑囚ウ・ソーは自分の命と引き替えに暗殺劇の片棒を活がされたというわけ。
英国の戦略は常に長期レンジで仕掛けること。これが特長です。諜報活動にしても、とんでもない息が長い。
暗殺されたアウンサンの娘を英国は引き取って育てます。ロンドン仕込みの娘は欧米びいき。すっかり洗脳してからビルマに送り返されてきます。
こういう仕掛けをさせたら英国は天下一品ですよ。そういえば、彼女の旦那は英国諜報員だもんね。
アメリカにしても、1893年、ハワイ女王をだまし討ちにして併合しようとします。これ、東郷平八郎に邪魔されるわけ。米戦艦ボストンがリリオカラニ女王の宮殿に砲口を向けて彼女を退位された直後、東郷は巡洋艦「浪速」「金剛」を戦艦にはさむように錨を下すわけ。
アメリカの横暴に武士が怒ったわけ。で、アメリカはハワイ併合を断念します。
この時の海軍次官がセオドア・ルーズベルト。彼は意趣返しで日系人の子弟を学校から閉め出し、土地所有禁止、市民権取得も拒否。アメリカの日系人移民にもことごとく妨害工作を指示します。
日本を強化したくないルーズベルトが日露戦争で日本側に有利になるような働きかけをするわけがない。小村寿太郎が非難されることになるポーツマス条約で賠償をほとんど獲得できなかったホントの理由はここにあるわけ。
小気味いいほど鮮明な文章。インド、イラン、フランスにも辛辣な意見をぶつけてます。もちろん、日本の政治家、外務省、マスコミへの辛辣な批判も。国益を損なってきた連中を名指しでめった切り。
これが感情レベルでなく、「真実」を積み重ねた理論構成で明快。キモは著者の愛国心。すべての日本人に読んでもらいたい1冊ですな。280円高。