2008年07月04日「オーラの素顔」 豊田正義著 講談社 1890円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 この本、売ってないんですよね。アマゾンでもしばらく販売されてなくてプレミアが付いてたくらい。
 札幌の紀伊国屋で探してもない。一応、聞くだけ聞くかと店員さんにチェックすると、「2階のここに置いてます」。1冊だけありましたよ。
 ラッキー! ここの紀伊国屋はフロアがめちゃ広い。新刊も充実してる。けど、この本に関しては置く場所がちがいまんがな。1階の「話題の書」のとこでしょうが。
 まっ、どうでもいいけど。

 ところで、紀伊国屋で思い出したんですけど、いま、私の本が韓国でベストセラーになってるらしいです。「紀伊国屋と同規模の大型書店で上半期総合8位です。1位は『ザ・シークレット』。韓国では日本勢の奇跡と言われてます」と編集者からの連絡。
 1万部売れればベストセラーの韓国で、すでに5万部突破。前代未聞らしいですよ。これが日本なら嬉しいんだけどね。

 さて、オーラの素顔。もち、美輪明宏さんの本ね。自伝じゃないよ。美輪さんと美輪さん周辺をインタビューした本。

 美輪さん、シャンソン歌手なのね。変なオバサンじゃないよ。私もDVDもCDも持ってるけどさ。「ボン・ボワイヤージュ」がいちばん好きですな。これ、前に紹介したから聞けますよ。
 
 美輪さんが銀座の「銀巴里」で歌うようになったのは、1952年。きっかけは、早稲田の学生が宝塚OGの橘かほるさんのライブを企画。美輪さんに前座をしてもらおうと話をもってきたわけ。
 美輪さんの歌を聞いた橘かほるさんがびっくり。で、銀巴里への推薦状を書いてくれたのね。
 縁というのは面白いね。けど、縁をつかんだのは実力だわな。

 なにより、美輪さんが銀巴里で歌うためには、楽団のリーダー原孝太郎さんに認められなければならないわけ。

「君、いくつだい?」
「17です」
「へえ、17でシャンソンを歌うのかい! 橘さんに気に入られるなんてたいしたもんだ。ちょっと聞かせてもらおうか」

 17歳で銀巴里デビュー。

 銀巴里にはきら星のごとく、シャンソン歌手が集まってましたよね。
 橘かほるさんの少し先輩には越路吹雪さんとか深緑夏代さんとかがいましたね。いま、全国のシャンソニエで活躍してる歌手の多くは深緑さんの弟子じゃないかなあ。

 この前、その深緑さんがゲスト出演するコンサートに招待されたんだけど、これがドタキャン。突然、行けなくなっちゃった。ホントにザンネン!

 美輪さんは自作の「ヨイトマケの歌(これも本サイトで紹介したから聞けますよ)」が大ヒットして、テレビにラジオに引っ張りだこになるんだけど、同じく自作のシャンソン「不倫」という歌もいいですよ。
 ご本人はピアフの「愛する権利」が好きだったんじゃないかなあ。これ、ピアフが若い愛人との恋愛を揶揄されたとき、そんな偏見に歌で回答したといってもいい詩なんです。まっ、聞いてみてちょ。

 本書のポイントは後半です。霊の話のオンパレード。これだけで200ページもあんの。読者ここが読みたいんだろうね。これが面白いの。最高。
 内容? 読んだらわかります。300円高。