2008年09月03日衷心よりご冥福をお祈りします。

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 アフガニスタンで拉致・殺害されたNGO「ペシャワール会」の伊藤和也さんのご遺体が日本に戻り、一昨日、「お別れの会」が執り行われました。
 親御さんとしては「無念」のひと言でしょう。

 この悲惨な出来事は、日本人にいろんな問題を提起したのではないでしょうか。
 たとえば、アフガンという国の想像を絶するほどの危険度。「ペシャワール会」代表の認識度。日本&日本人の貢献度。どこまでやれるのか、やってもいいのか。どうしても個人裁量に任される部分が大きすぎたように思えます。
 そのくせ、現地はジャングル以上に危ない。ランボー並の力量がなければ無理な地域なのかもしれません。

 さて、親は子どもがどんな志を持ってどんな人生を切り拓いていこうとしているのか、なかなかわからないものです。「もっと話し合えば」というかもしれないけど、そこが親子。かえって声には出しにくいものです。
 
 だから、いつも遠くから見守るしかありません。信頼するしかありません。「老婆心」ですね。
 
 和也さんがペシャワール会を志望した理由が公開されていますね。

 「私の現在の力量を判断すると、語学は、はっきりいってダメです。農業の分野に関しても、経験・知識ともに不足していることは否定できません。ただ私は、現地の人たちと一緒に成長していきたいと考えています。
 私が目指していること、アフガニスタンを本来あるべき緑豊かな国に、戻すことをお手伝いしたいということです。これは2年や3年で出来ることではありません。
 子どもたちが将来、食料のことで困ることのない環境に少しでも近づけることができるよう、力になれればと考えています。
 甘い考えかもしれないし、行ったとしても現地の厳しい環境に耐えられるのかどうかもわかりません。
 しかし、現地に行かなければ、何も始まらない。
 そう考えて、今回、日本人ワーカーを希望しました。」

 「和也が死に場所を見つけたことがうれしい。和也は幸せだった」と親御さんは声を掛けておられました。「『お帰り』という声を掛けたい」とお父上。「『お帰りなさい』と言いたい」とお母さん。

 「(アフガニスタンでの)事業がストップすると、和也が持っていた志が頓挫する。安全を第一にし、(和也のような事件が)二度と起きないように取り組んでほしい。中村代表には、和也を無事に連れ帰ってくれたことに感謝の言葉を述べたい」

 このご子息にしてこのご両親・・・ですね。

 死に場所? 志? 日本ではすっかり死語になった言葉とばかり思っていました。
 かつて、生き甲斐よりも死に甲斐を、生き場所よりも死に場所を、夢よりも悲願を、求める若者がこの日本にもたくさんいた時代がありましたっけ。

 学生時代、こんな歌ばかり放歌高吟していましたが、いまじゃだれも知らないでしょうね。

蒙古放浪歌
♪心猛くも 鬼神ならぬ
 人と生まれて 情けはあれど
 母を見捨てて 波こえてゆく
 友よ兄等と 何時また会わん

 波の彼方の 蒙古の砂漠
 男多恨の 身の捨てどころ
 胸に秘めたる 大願あれど
 生きて帰らん のぞみはもたん

 朝日夕日を 馬上に受けて
 続く砂漠の 一筋道を
 大和男児の 血潮を秘めて
 行くや若人 千里の旅路♪

 伊藤和也さんのご冥福を衷心よりお祈り申し上げます。