2008年10月23日サイゼリヤを応援します!

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 ギャル曽根が大好きなイタリアン・ファミレス店で、ピザの生地から有害物質メラミンが検出されたとか。
 で、テレビ局のコメンテーターとかキャスター気取りのアナたちは鬼の首をとったかのように非難の嵐。

 でも、私、この社長、偉いと思う。これ、まったく不可抗力でしょ。

 中国で委託製造させてる工場に確認させたら「大丈夫!」。広東省佛山市当局が「メラミンの混入はない」という証明書まで発行。でも、東京理科大出身の社長らしく、念には念をとみずから検査させたところ、中国特有の組織的なウソがばれちゃった。即、厚労省に報告。

 これで「対応が後手後手に回った」と言われちゃ、ほかのファミレスや食い物屋、コンビニ、スーパーはどうなるのよ。調べてもないんじゃない?
「証明書があるんだから平気だよ」
「だけど、中国だよ。やっぱ日本でチェックしようよ」
 とはならないはず。だって、そんなことしたらコストがかかって大変だもの。万が一、検出されたら非難の的。株価暴落。株主総会は大荒れ・・・となれば、そもそも検査なんてしたくないわな。 

 にもかかわらず、株暴落を覚悟で堂々と記者会見に臨んだこの社長は偉いと思うね。ここの株は買いですよ。買わなくちゃ。
 ミスはしたけど、その後の対応は誠実だと思う。「該当期間に当たるピザを食したお客様全員に返金する」と告知してますね。社保庁と違ってレシートは不要だもんな。


逃げ回る経営者が目立つ中、久々に清々しい経営者を見たよ。

 昔、私、ある創業社長の経営哲学に魅せられて、茨城は土浦の本社まで出向いたことがあんのね。カスミストアーの神林照雄さんという人なんだけど。
 この人が商売の鉄則についてこんなことを言ってました。

 「商売は損得ではなく善悪ですること」

 たとえば、お客さんが店の駐車場で高級ワインを落として割ってしまった。この時、迷うことなく「新品と交換しますからご安心を」とお客様に言いなさいと教育してました。

 店を出たら関係ない。落としたのはお客の責任・・・ではないんです。お客さんが喜ぶことを考える。それは商売人としては損得ではなく善悪で考えることだ・・・というんですね。
 あまりにも素晴らしいんで、私、録音したテープを編集して幸之助さんに聞いてもらいましたよ。「この人は素晴らしいな」と感心してましたね。

 もう1つ。ダスキン創業者の鈴木清一さんは善悪ではなく損得で考えろ、と言ってました。
 神林さんと真逆か? いいえ、そんなことはありません。コインの裏表。本質は同じだと思いますよ。

 「善悪は人によって価値観が異なるから損得で考えなさい。あなたにとってこれは損だなというほうをいつも選ぶように・・・」
 
 なるほど、善悪は人によって評価が違います。人を殺すことは悪いことだけど、「聖戦」なら許されるという国もありますもんね。
 でも、損得の道あらば損の道を行く・・・というスタンスははっきりしてます。「あっ、こっちを行かなくちゃ」とすっきりわかります。

 サイゼリヤの社長。中国のインチキ証明書のおかげで後手に回りました。その後、自分で検査して正直に情報を公開しました。そして堂々とお詫びと返金処理でスタートラインに戻った、と思います。
 あとはこれからの精進ですよ。

 一見、損の道。けど、大局観に立てば大きな得の道。徳は得に通ずるんです。
 頑張れ、サイゼリヤ!