2009年07月07日TBS「官僚たちの夏」

カテゴリー中島孝志のテレビっ子バンザイ!」

 七夕さんですな。彦星と織り姫のランデブーはあるんでしょうか。
 梅雨の最中、ちと天気が気になりますけどねえ。

 さて、崖っぷちのTBSが乾坤一擲、力を注いだドラマ、拝見しました。


城山三郎原作「官僚たちの夏」。傑作ですな。

 主人公はミスター通産省と呼ばれた佐橋滋さん。役人時代に、三木武夫(当時、通産大臣。後に首相)とやり合って、「佐橋大臣・三木次官」と言われた人ですね。
 退官後、余暇開発センターとかなんとかの理事長になったっけ。「日本人は働き過ぎだ!」なんて、ご自分の反省もふまえて啓蒙活動をされていたのかもしれません。

 かつて、TBSはドラマが看板でした。ここ数年、あきませんな。ヒットと言えば、「華麗なる一族」ですか。そうそう、私、あのおばさん女優嫌いなんで、この局で視聴率とれてるあの番組はけっして見ませんからよくはわかりませんけどね。
 「白い巨塔」とか、こういうドラマ作ってれば間違いないのよ。

 えっ、特別企画だから予算がないって? いまや、全時間、特別企画のつもりで取り組まんとあきません。でないと、放送不況は乗り切れません。テレビ屋が本業で赤字ばかり出して、不動産と通販で儲けてどないするねん?

 さてと、このドラマ、よくできてます。白黒映像等もインポーズしたりして、なんか、「三丁目の夕日」みたいですな。アケボノ自動車が鈴木自動車に見えてきましたがな。

 それはそうと、「国民車構想」ですけど、こんなの原作にあったっけ?

 通産省を持ち上げるためにヒトラーのフォルクスヴァーゲン構想を無理矢理もってきたのかいな。通産省てのは、たしか、「欧米ですら自動車メーカーは2つか3つだ。いまの日本に4つもいらない」と言って、ホンダを認めなかったのは有名な話でしょ。

 元々、自動車メーカーは日本に10以上あったんですけど、通産省お得意の傾斜配分方式というヤツでぽろぽろと脱落してしまいました。
 日本は貧乏だからあちらこちらに予算を分散できない。で、成功確率の高いメーカーに優先的、重点的に、資金を傾斜配分するという方策ですね。

 そんな中、ホンダも川鉄も頑張った。1銭の助成金も受けずに自前で努力した。そして成功を勝ち取った。役人に邪魔されたことはあっても世話になったことはないはず。
 知らない人は十分楽しめるでしょうけど、実態を知る人はチャネルを換えちゃうんじゃないかな。

 私? あくまでもドラマとして楽しませてもらいますよ。