2009年08月12日「太陽の帝国」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 「もう1つ英語を覚えたよ。原爆だ」

 終戦記念日というか敗戦記念日というか、ま、負けたわけですけど、たぶん、いろんな映画が放送されるでしょうね。野坂昭如さんの「火垂るの墓」とかもね。
 これ? 1987年度、スティーブン・スビルバーグの作品です。


時は1941年のクリスマス。場所は上海。

 当時、インターナショナル・セツルメント=租界というのがありまして、上海は外交特権で安全と平和が守られてた。
 繊維会社を手広く経営する両親の下、裕福に育ったジェイミー(クリスチャン・ベール)は上海で生まれ育ったために祖国英国を知らない。飛行機大好き少年。将来は零戦のパイロットになりたいと考えてるほどの零戦ファン。戦争も日本が勝つ、と公言するほどの日本贔屓。つうか、一風変わった子。

 ジムが覚えたばかりのライト信号で日本軍とやりとりしてると、いきなり攻撃されちゃう。日本軍の上海進攻の開始ですな。
 もちろん、市街は大混乱。逃げまどう人々が港に殺到。ジムの両親もシンガポールに逃れようとしたんだけど、あまりの混雑混乱に離ればなれになっちゃう。で、ジムは1人で生きていくことを決めます。

 飢えに苦しんでるとこを救ったのはベイシー(ジョン・マルコヴィッチ)という不良アメリカ人。結局、ジムのドジでベイシーも捕虜収容所に収容されちゃうんだけど。

 収容所で知り台った医師の「どんなことがあっても生き延びろ」という教えを忠実に守り、蛋白質がとれるゾウ虫まで食べる始末。ベイシーの使い走りもすれば、収容所を仕切る軍曹(伊武雅刀)に近づいて、少しでも食糧にありつこうとあれこれ知恵を絞ったり、神風特攻隊を志望する少年(片岡孝太郎)とも心を通わせたり、忙しい毎日。

 4年足らずの間に、「人生学校」なんて言葉を使うほど大人びてきた。今日生きることに必死という日々を送る中、両親の顔をすっかり忘れてしまう・・・。
 J・G・バラードの自伝をスティーヴン・スピルバーグが監督。ガッツ石松さんはすぐわかったけど、運転手役が座布団運びの山田君だったとは、ちいとも気づかんかったなあ。

 外国映画なんだけど、日本と英国、米国、中国については実に公平に描かれてると思う。