2009年08月20日続・「松本清張サスペンス」

カテゴリー中島孝志のテレビっ子バンザイ!」

 3日前のブログでDVD「松本清張サスペンス」をご紹介。1度見たらよっぽどの作品でもない限り2度と見ない。で、いつもの通りアマゾンのユーズドショップに出したら、即、売れちゃった。

 さてと、3日前には紹介しなかったけど、「黒い福音」というドラマは最高傑作。もち原作もだけどさ。

 現実に起きた殺人事件がモチーフになってるのね。事件は昭和34年、世の中が祝賀ブームで湧いてる時に発生するわけ。杉並から武蔵野あたりにかけて善福寺川があんだけど、ここで27歳の女性の死体が発見された。

 被害者はBOAC英国海外航空会社)に勤務する国際線スッチー。いまだとCAちゅうの? で、着衣に乱れ無し。検案では溺死・自殺と判断。
 けど、若い検事と若い刑事のコンビは、こんな浅い川じゃ死ねないよと行政解剖に回すと・・・扼殺と判明。いきなり、刑事事件ですよ。

 O 型の精液が確認され、直前に情交に及んでることもわかった。とすれば、その男が犯人である可能性が大きいよね。
 警察は被害者の人間関係を徹底的に調査すると、1人の容疑者に辿り着くわけ。それは・・・世界中で活動してるカトリックの一派に属するベルギー人神父。

 状況証拠は真っ黒。自白をとるために追及しようにも逮捕状がとれない。
 昭和34年ですからね、一応、日本は独立してます。でも、米国の支援無しには再建できない国であったことは事実。だから米国政府との関係も濃い教会の神父を逮捕することなんてなかなかできなかったわけ。

 ようやく任意出頭で5度も取り調べたけど、一切口を割らない。血液型を調べられないよう、水やお茶、コーヒーにも口をつけない。ランチは自前のサンドイッチ。教会も捜査協力を拒否。それどころか容疑者に有利なアリバイをつくる始末。
 そうこうするうち、この神父は突然帰国。もちろん警察はなんの連絡も受けなかった。西洋坊主にずいぶんと舐められたもんですな。

 まったく日本の非力を思い知らされる事件ですな。担当刑事の無力感は大変なものだったと思うね。でも、国力の差を考えるとこれが現実かもしれません。

 いまの日本なら? どうだろ? はたして50年前と変わっているのかどうか。もし、警察上層部に、政治家に、政府に、「覚悟」があったら、あのときだって、逮捕状も取れたし起訴もできたかもしれない。
 「いまはその時期じゃない」と政府は臥薪嘗胆の気持ちだったのかもしれない。けど、そうであれば、腰の刀はいつ抜くのよ? 抜かず仕舞いのままじゃ、去勢された宦官になっちまうんでないかい?

 民主党、自民党、どちらが勝とうがええねん。「国益=国民の安全と利益」を守る政府であればええねん。拉致問題は許したらあかんねん。