2010年04月02日「PARIS」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

「1人で大丈夫?」
「また会えるさ」
「お出かけですか?」
「また会おう」

 タクシーに乗って病院に行かなくちゃ。でも、あいにくデモで道路は渋滞。迂回してまわる。
「デモなんていい迷惑ですよ」とタクシードライバー。
「これがパリ。だれもが不満だらけで文句を言うのが好き」
「デモのことですか?」
 道行く人を眺める。
「みな幸運に気づいていない。歩いて、恋して、走って、口論して、遅刻して、なんという幸せ。気軽にパリで生きられるなんて」



 ダンサーのピエールは心臓病で余命わずか、と告げられてしまう。姉のエリーゼはシングルマザー。心配して子供達を連れて同居し始める。
 ピエールは向かいに住む女子大生レティシアに関心があるみたい。教授もレティシアに匿名のラブメールを届ける毎日。これが実は、性に奔放な女でしてね。

「心臓移植しかないのか? 成功率は40%?」

 屋上からパリを眺める。ゆきかう人々を眺める。風景がちがって見える。

 群像劇というか集団劇。主人公はピエールなんだけど、パリに住む人々がすべて風景になっている。なにくわぬ顔してるけど、みな、いろんな事情を抱えて生きている。

 監督は『スパニッシュ・アパートメント』『猫が行方不明』などで知られるセドリック・クラピッシュ監督(スパニッシュ・・・』は以前紹介したよね?)
 こういう映画を作らせたらフランス人の監督は巧いねえ。だからフランス映画好きなのよ(イタリア映画も好きだけど)。
 Bunkamuraル・シネマ20周年記念上映作品第1弾だけのことはありますな。

 しっかし、この映画、私が好きな俳優ばかり登場してます。
 ピエール役は『スパニッシュ・・・』のロマン・デュリス。
 姉のエリーゼはジュリエット・ビノシュ(『ショコラ』ね)。
 教え子の女子大生に惚れちゃう教授はファブリス・ルキーニ(『親密すぎる打ち明け話』)。
 別れた元妻と市場で働く八百屋がアルベール・デュポンテル(『地上5センチの恋心』『モンテーニュ通りのカフェ』)。
 この八百屋に恋するモデルがオドレ・マルネ(『ぼくの大切な友達』)
 ・・・いままで「不良映画日記」で紹介した俳優&映画ばかりでっせ。

 だから、この映画、2倍好きなのよ。

 さて、今日の「中島孝志の 聴く!通勤快読」は『デフレは大好機』(長谷川慶太郎著・東洋経済新報社)です。詳細はこちらからどうぞ。