2010年06月09日「日本人へ リーダー篇」 塩野七生著 文藝春秋 892円 

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

「海の都の物語」「ローマ人の物語」で知られる作家、塩野七生さんのエッセーですね。
 週刊文春に連載された原稿をテーマ別に編集するでもなく、ただたんに並べただけ。で、この6月に出版された新刊が「国家、歴史篇」。5月に出版された本書が「リーダー篇」・・・ま、この著者、古代ローマがベースですから、どちらの内容も国家、歴史篇であり、リーダー篇になるに決まってますわな。ま、便宜上、分けただけのことでししょう。

 帯コピーに「なぜリスクをとるリーダーが出ないのか」とあります。つうことは、リスクをとるリーダーが出て欲しい、ということなんでしょうな。
 でもさ、リスクって、とらなければとらないほどいいんですけどね。ユリウス・カエサル=ジュリアス・シーザーとかハンニバル、アレクサンダーなんて英雄ばかり見てますと、「リスクを果敢にとるリーダー」に憧れ、これこそ男のロマン!と、見えるんでしょうな。

 はてさて、では、日本にリスクをとったリーダーがいたのか? 戦後の政界ではただ1人、田中角栄さんのみでしょう。
「拝啓 小泉純一郎様」というエッセーも書いてますけど、郵政民営化の小泉さん? ありゃ、アメリカから突きつけられた「年次要求書」を誠実に遂行しただけでしてね。アメリカの国益に反する独自の資源外交を展開し、結果、ロッキード事件で引っかけられたリーダー。リスクをとったのは角栄さんのみでしょう・・・続きはこちらからどうぞ。