2011年12月24日「阪急電車 片道15分の奇跡」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 たしかに不条理だわなあ。

 いえね。ここに男が1人いて、女が2人いる。で、男はどちらかの女を選ばなくちゃいけない。同じくらい愛してるわけ。そういうとき、いったいどちらを選ぶか? AかBか? サイコロで選ぶか? まさか。

 たいていの男はこう考える。「オレがいないと生きていけない女はどっちだろう?」って。。。

 結局、ホントはどうかわからんけど、見た目、1人ではどうも生きられそうもないぞ、という手弱女が選ばれ、一方、芯が強くて自立できるように思われる女が排除される・・・と思う。

 これって、損だよねえ。

 損つうか理に合わない。どうして、そんな価値のない女が勝って、私が負けるのよ。逆でしょ? だから不条理だよね、というわけ。

 でも、男は「弱い方の味方であらねばならない」という、月光仮面やウルトラマン、仮面ライダーの時代から、いやもっと昔から続く普遍の価値観に洗脳されてますからね。

 ずるい女かどうか、つきあいが長いかどうか、約束を守るべきがどうか・・・な〜んて価値観を超えてるわけですね。

 なんで、こんな話をしたかというと、主人公の1人(中谷美紀さん)が、仕事もできず社内に友達もいない(披露宴の招待客のクラスメートも別に仲良くないのに呼ばれたのが不思議、とこぼしてた)、けどなにかとサポートしてやってた後輩のダメ女に3年間もつきあってた男を妊娠、結婚、と寝取られちゃった。このとき、そのバカ男が口を突いて出た言葉がこれ。

「おまえは平気だよな(=1人でも生きていけるよな)」


芦田愛菜ちゃんも出とるんだわあ。

 原作(有川浩さん)を読んだとき、これは映画化されるだろうと思った通り。
 けど、1つの映画の中に登場人物が1人ずつ登場して、それぞれがドラマを持っていて、次の登場人物と絡み合うというスタイルは、いったいなにが言いたいの、テーマはなに? となりやすいんですけど、そこは巧みにつくれてますな。

「この世界なかなかいいね。私が味わった人生の機微を話したい」

 登場人物は男女8人。共通項は「周囲から浮いてる」「仲間はずれ」とか「負け組」ってやつ? 人生にはぐれちゃってるんだよ。
 そうそう、阪急は阪急でも西宮〜宝塚間の片道わずか15分という阪急今津線が舞台ということ。

 むかし宝塚行ったなあ。某メガバンクが優良顧客300社を集めた1日セミナーを東西でやりましてね。西はここのホテルで開催したのよね。

 原作を読んでたんで観るだけ観るかと軽い気持ちだったけど、意外に(?)いい映画。お勧め。