2012年04月23日ミャンマーに関する情報はインチキばかり。。。

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 この土曜日に、ドジョウ首相がミャンマーのテイン・セイン大統領を迎えて会談しましたね。
 結果、87年以降凍結していた円借款を25年ぶりに再開。債権約5000億円のうち3000億円の返済免除。さらに資源・ネルギー開発協力、ヤンゴン郊外の経済特区ティラワ開発計画などの覚書に署名したことは日本のマスメディアの報道の通りです。

 ま、当たり前ですな。1月にデカ耳地蔵があちらに行って港湾開発を約束したことをきちんと覚え書きにした、というわけです。

 新聞・テレビは手のひらを返して、しばらくミャンマーについて騒ぎ出しますよ。かつての中国やベトナム以上の投資とリターンが期待できますからね。

 実は、去年末、クリントン国務長官が電撃訪問したあたりからチケットもホテルも取れにくくなってます。これがさらに輪をかけます。ま、「鎖国」を解いたからね。当たり前のことですわな。  

 ところで、欧米のマスメディアがこの国に対してしてきたことをひと言で言えば、「弱いモノいじめ」でしょう。

 欧米報道機関の傀儡というか下部機関というか、日本のマスメディアも忠実に彼らの報道をなぞるだけ。欧米のメディアがスタンスを換えたんで慌てて追随しております。去年といまの記事を比べてみてください。笑えますから。

 ミャンマーは「軍事政権」というだけで非難されていますが、インフラすらほとんどないレベルの国では、まともな組織は軍隊だけですよ。ビジネスでも軍隊が相手だからきちんと約束を履行してもらえるわけです。

「国会議員の25%は軍人だ!」と日本のメディアは非難しますけど、中国やベトナムの選挙についてなにも言わないのはどうしてでしょう? イギリスの上院議員は選挙で選ばれているわけではありませんが、これについては非難しないのはどうしてでしょう?
 なによりも、軍人は政党に属してませんから、「党議拘束」というどこぞの国のアホな政党がよくやる縛りなどありませんから、是々非々で自由に意思表示をしています。しかも全員が同じ議決をするわけではありません。バラバラなんですね。このほうがまともではないんかね?

 アウン・サン・スー・チーはすべて正しく、軍事政権はすべて間違いである、と、いままで欧米メディアは報道してきました。政治、経済、金融などで締め上げて孤立させてきたわけです。ASEANはこの国が中国に取り込まれないように加盟を認め、サポートしてきましたが、加盟直後にタイのバーツ暴落。アジア危機を迎えるなど、ついてないったらありゃしない。

 アメリカの方針ががらりと変わったのは去年です。アメリカの命令で、アウン・サン・スー・チーもがらりと変わりました。相変わらず、アウン・サン・スー・チー=善、軍事政権=悪という図式でしか報道しないメディアばかりですが、そもそも、この「ミャンマーの田中真紀子さん」はいったいどういう人物なのでしょうか?

 父親は建国の英雄アウン・サン将軍です。だから、ミャンマー国民はこのわがまま娘の傍若無人の振る舞いをを許しているんです。

 アウン・サン将軍はミャンマー独立直前、1947年7月19日に32歳の若さで暗殺されました。表向きの犯人はいますが、もちろん、イギリスが背後にいたことを知らない人は国内ではいないでしょう。

 母親のキン・チーの手で厳しく育てられ、やがて駐インド大使として赴任する母親に伴われて15歳の彼女もインドに赴きます。以降、彼女はニュー・デリ―とオックスフォードで学生生活、ニューヨークでは国連の仕事、マイケル・アリスというイギリス情報部の男性と結婚。ブータンで新婚生活、ロンドンで出産と子育て。そして京都大学に留学。。。政治的野心どころか、どちらかというと政治嫌い。父親の生涯とミャンマー文学研究に専念していたのですが、88年4月、母親が脳卒中で倒れると同時にミャンマーに戻ります。

 このとき、反政府活動に担ぎ出されるわけですね。

 彼女の戦略は欧米や日本のメディアに働きかけて国際世論を味方につけること。政府批判を徹底すること。英米のサポートもあり、「軍事政権=悪、アウン・サン・スー・チー=善」という図式に合わないニュースは報道されず、意図的に歪められた報道ばかりが流れてきたわけです。

 外見はミャンマー人、中身はイギリス人。これがアウン・サン・スー・チー女史の実相ですね。

 さて、そんなことを伝えたいのではありません。日本とミャンマーの関係を物語る次の小説を少しお話したかったのです。すなわち、女流作家ジャーネージョー・ママレーの小説『血の絆』についてです。

 1973年に出版されてベストセラーになります。。。第二次世界大戦中、ミャンマーに進駐した日本兵吉田隆夫の娘由美が大学生に成長し、実は自分には父隆夫とミャンマー女性との間に生まれた異母弟がいることを知り、この異母弟に会いにミャンマーに出掛けていく、という美しくも哀しい姉弟の物語です。千野皓司監督が映画化しました。

 モデルはイェートゥン・ニイノという人ですね。日本兵・新野喜子雄(にいの・きしお)とミャンマー女性の間に生まれた日緬混血児です。いまや、真珠養殖の事業に成功している実業家ですよ。

 母親の手ひとつで育てられ立派に成長しましたが、この原作を書くや、日本のテレビ局で父親探しが始まります。で、父親が名乗り出るんですが、これが父親も母親もそしてこのご子息もみな立派な方。もっとすばらしい小説になったことでしょうね。

 どうなったのか。。。それは「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介しましょう。『ミャンマーの実像 日本大使が見た親日国』(山口洋一著・勁草書房)で、山口さんが話を聞いてるんですよ。詳細はこちらからどうぞ。