2012年06月15日いよいよ来週です。
カテゴリー中島孝志の原理原則研究会」
来週19日は東京原理原則研究会があります。で、翌20日は大阪原原。
特別ゲストの登場です。25年来の仲で、一緒に屋久島や吉野熊野、西表島などに何回も行ってますな。
ゲストは大森亮尚さんです。テーマは「あなたの知らない世界 本当はこんなに怖い日本語」です。
東京原原メンバーもいまのところ7人ほど乱入するとのこと。いいことです。席をきっちり用意しときます。2次会は近場の焼鳥屋です。
大森先生のプロフィール:1947年神戸市生まれ。上智大学大学院博士課程修了。学生時代から民俗採集調査に全国をほっつき歩く。専攻は万葉集。日本民俗学をベースにした上代文学・芸能史の研究。霊魂信仰研究や怨霊研究を通じて日本人とは何かを問い続けている。武庫川女子大学、兵庫大学教授を経て、現在、古代民俗研究所代表。奈良明日香村伝承芸能保存会顧問。
「中島孝志の通勤快読」で以前『心霊づきあい』(加門七海著)という本を紹介したことがありますね。加門さんが対談相手に選んだのがこの大森先生。ちょっとその部分を紹介しとましょう。
「朝日新聞の書評欄で野口武彦さんが、『日本の怨霊』という私の最新刊を取り上げてくれました。『著者は怨霊の世界を覗くのではなく、魂の重心をあちら側に掛け、歴史の深みに眠る怨霊と交信する・・・』と。
以前、調査でパプアニューギニアに行きました。ジャングルの奥でひとりでリュックしょって村ごとに訪ねていくと、ある村の長老が、実はここに日本兵がいっぱい逃げてきたんだよ。彼らはマラリアにかかって痩せ衰えて、みんなそこで死んでいった。軍服もヘルメットも残っているけれど、誰も日本人は訪ねてこない。『本当にありがとうございました』とお礼を言いましたよ。
旧軍の飛行場跡があって、零戦の残骸、輸送船が赤茶けた姿で沈没したままになってる。日本はもうそんなこと忘れたっていうように繁栄して戦後を謳歌している。かつて、ここで何万人もの日本の若い兵士たちが国のために滅びたのに、誰も鎮魂も供養もしていない。
歴史の闇の中に葬り去られた人たちへの鎮魂と供養を、誰かがやっとかなきゃ。」
「その人の話をすると、よくないことが起きる。聞いた人が死んだり、あるいは語り手が死んだり。
大正時代の初めごろ、京橋の画博堂という書画骨董屋の二階で、怪談話がありました。見知らぬ年寄りが、どうしても自分に話をさせてくれ、というわけ。みな興味を持って聞いていたんですが、話が堂々巡りで進まなくなると、1人消え、2人消え、2階には誰もいなくなった。しばらくして、まだやってるのか、と上がってみたら、そのお爺さんが亡くなっていたんです。
その場には泉鏡花もいました。私の師匠の池田彌三郎先生のお父さんもいらっしゃった。」
「大学で最後の授業だからいいか、と思って喋った。午後から大阪で仕事関係の会議があって発表していたら、2人ほどの人が、私の方をチラチラやたらと見るわけ。休憩時間になったら男の人が来て、今日は大森さん、えらいものを持ってきたね。別の女の人が、私もさっきから気になって・・・と2人とも同じことをおっしゃる。
左肩に侍の生首がのってる、というわけです。総髪の侍がものすごい憤怒の表情でのっかっていて、うっかり私に逆らおうものなら、飛んできそうな勢いだったので、怖くてチラチラ見てしまった、というんです。
怨霊は、いまの日本に警告を発していると思うんです。今、日本がダメになりかけている。敬うとか畏れるという精神文化を取り戻すきっかけとして、怨霊は『出るよ』と言って出てきているんです。」
怨霊博士として有名ですけど、万葉集と古代史の専門家ですからね。いまなにげに使っている日本語の不思議な来歴をひもとくと、いかに日本文化と日本人が宇宙のなかで異質で、民族としての精神的レベルが高いか、がわかりますよ。
さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『古寺巡礼』(和辻哲郎著・岩波書店)です。詳細はこちらからどうぞ。
特別ゲストの登場です。25年来の仲で、一緒に屋久島や吉野熊野、西表島などに何回も行ってますな。
ゲストは大森亮尚さんです。テーマは「あなたの知らない世界 本当はこんなに怖い日本語」です。
東京原原メンバーもいまのところ7人ほど乱入するとのこと。いいことです。席をきっちり用意しときます。2次会は近場の焼鳥屋です。
大森先生のプロフィール:1947年神戸市生まれ。上智大学大学院博士課程修了。学生時代から民俗採集調査に全国をほっつき歩く。専攻は万葉集。日本民俗学をベースにした上代文学・芸能史の研究。霊魂信仰研究や怨霊研究を通じて日本人とは何かを問い続けている。武庫川女子大学、兵庫大学教授を経て、現在、古代民俗研究所代表。奈良明日香村伝承芸能保存会顧問。
「中島孝志の通勤快読」で以前『心霊づきあい』(加門七海著)という本を紹介したことがありますね。加門さんが対談相手に選んだのがこの大森先生。ちょっとその部分を紹介しとましょう。
「朝日新聞の書評欄で野口武彦さんが、『日本の怨霊』という私の最新刊を取り上げてくれました。『著者は怨霊の世界を覗くのではなく、魂の重心をあちら側に掛け、歴史の深みに眠る怨霊と交信する・・・』と。
以前、調査でパプアニューギニアに行きました。ジャングルの奥でひとりでリュックしょって村ごとに訪ねていくと、ある村の長老が、実はここに日本兵がいっぱい逃げてきたんだよ。彼らはマラリアにかかって痩せ衰えて、みんなそこで死んでいった。軍服もヘルメットも残っているけれど、誰も日本人は訪ねてこない。『本当にありがとうございました』とお礼を言いましたよ。
旧軍の飛行場跡があって、零戦の残骸、輸送船が赤茶けた姿で沈没したままになってる。日本はもうそんなこと忘れたっていうように繁栄して戦後を謳歌している。かつて、ここで何万人もの日本の若い兵士たちが国のために滅びたのに、誰も鎮魂も供養もしていない。
歴史の闇の中に葬り去られた人たちへの鎮魂と供養を、誰かがやっとかなきゃ。」
「その人の話をすると、よくないことが起きる。聞いた人が死んだり、あるいは語り手が死んだり。
大正時代の初めごろ、京橋の画博堂という書画骨董屋の二階で、怪談話がありました。見知らぬ年寄りが、どうしても自分に話をさせてくれ、というわけ。みな興味を持って聞いていたんですが、話が堂々巡りで進まなくなると、1人消え、2人消え、2階には誰もいなくなった。しばらくして、まだやってるのか、と上がってみたら、そのお爺さんが亡くなっていたんです。
その場には泉鏡花もいました。私の師匠の池田彌三郎先生のお父さんもいらっしゃった。」
「大学で最後の授業だからいいか、と思って喋った。午後から大阪で仕事関係の会議があって発表していたら、2人ほどの人が、私の方をチラチラやたらと見るわけ。休憩時間になったら男の人が来て、今日は大森さん、えらいものを持ってきたね。別の女の人が、私もさっきから気になって・・・と2人とも同じことをおっしゃる。
左肩に侍の生首がのってる、というわけです。総髪の侍がものすごい憤怒の表情でのっかっていて、うっかり私に逆らおうものなら、飛んできそうな勢いだったので、怖くてチラチラ見てしまった、というんです。
怨霊は、いまの日本に警告を発していると思うんです。今、日本がダメになりかけている。敬うとか畏れるという精神文化を取り戻すきっかけとして、怨霊は『出るよ』と言って出てきているんです。」
怨霊博士として有名ですけど、万葉集と古代史の専門家ですからね。いまなにげに使っている日本語の不思議な来歴をひもとくと、いかに日本文化と日本人が宇宙のなかで異質で、民族としての精神的レベルが高いか、がわかりますよ。
さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『古寺巡礼』(和辻哲郎著・岩波書店)です。詳細はこちらからどうぞ。