2012年11月16日「武士の一言」よりも「沈黙は金」だよ、やっぱり。。。

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 大昔、わたしも学生だったことがありまして。とくに大学時代は居合道をやっておりまして。構内を袴で闊歩しておりまして。そのために、いまだに袴をはいて歩いてる、と言われる通り、スーツを着てもジーンズをはいても歩き方でわかるようですな。

 で、山ほどあるサークルや同好会のなかでは珍しく部室がありましてね。つうか、血気盛んな頃で、軟弱なサークルを真剣を振り回して追い出してしまったわけですが。 

 その部室にはサッポロジャイアントの空瓶とともに、連絡ノートがありまして。そこによく「中島氏(うじ)、おぬしも武士なら二言はなかろう」なんて落書きがあるんですよ。そのたびに「わては根っからの町人でおま。二言どころか二枚舌でおます。ほな、さいなら」と回答しておりました。

 さて、野田さんが解散宣言をした党首討論。歌舞伎役者とでも勘違いしたんじゃないんかな、あの人。

「比例40議席削減をお約束いただきたい」
「議員みずから身を斬る思いで歳費削減をお約束いただきたい」
「定数是正をお約束いただきたい」

 こんな取引を提案しますかね。一国の首相が。憲政の常道からいっても、定数是正といった重要問題は政権与党と野党第1党だけで決められるアジェンダではありませんよ。
 この人、そうとう思い上がってますな。「ドジョウのように泥臭く」といいながら、正体は傲慢な男。しかも勘違いの傲慢。早い話がたんなる「バカ」です。

 権力志向を隠しながら、その正体は強烈な権力志向と見抜いた財務省が「操り人形」に抜擢しただけのことはあります。

「議員定数是正」は声高に訴えても、なぜか「天下りの根絶」と「わたり禁止」だけは絶対に口に出しませんね。なぜ? 恩人の財務省に弓引くことだからですね。高級官僚は大切にしなくちゃ。官僚のおかげで首相になれたんだもんね、この人は。

 アメリカかぶれのアホなMBAほど、「表現力」だとか「ディベート力」なんかに力点を置きますけど、男にとっていちばん大切なことは「雄弁」なんかじゃありませんな。

 ぎりぎりのぎりぎりでも、それでも絶対口に出さない「ひと言」を貝のように大切に守って、どこまで押し黙っていられるか。。。このやせ我慢でしょ。寅さんにいわせれば、「それを言っちゃおしまいよ」というひと言ですな。

 ドジョウにとっては「解散」のひと言? いえいえ、解散ではありません。「○○をしたら16日に解散してもいいです」という「○○」のことですよ。

 解散に「条件」をつけるなんて、憲政史上見たことがありません。選挙で自民党が勝つとだれが決めたんですか。民主党も自民党も第1党をとれず第3極が政権をとったら、比例40議席なんてレベルではなく、一挙に半分にするかもしれません。

「解散権は首相の専権事項」となぜ言われるのか? それはだれにも拘束されないからです。「取引」を提案するということは、「拘束されている」に等しいではありませんか。

 民主党の議員レベルが低いのは、代表からしてこういうおバカさんだからです。

 メンツにこだわる武士よりも町人の生き様。町人はメンツのために歌舞伎役者さながらに大向こう受けを狙うようなこすい言葉などしゃべりませんよ。冷徹に計算して、なにを口に出してはいけないか。そこらへんの知恵を持ってますな。

 土壇場で「地」が出てしまいましたな。ドジョウは船場で雑巾がけから修業せなあきまへんな。


 さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『幕の内弁当の美学』(栄久庵憲司著・朝日文庫)です。詳細はこちらからどうぞ。