2012年12月18日「中島孝志の聴く!通勤快読」全公開!『世界経済が沈んでも日本は必ず繁栄する 日米主従同盟の終わり』

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 実は明日発売なんです。年内最後の私の本になります。友人の松藤民輔さんから帯推薦をもらいました。ぜひお読みください。立ち読みでもウェルカムです。ペコリ。

 いままでたくさんのエコノミスト、経済学者、投資家、アナリスト等々の本をプロデュースしてきました。「これだ!」という政治経済の決定版を出した、と自負しています。

□オスプレイ配備の本当の理由を政府は口が裂けても言えない
□ソニー・パナソニックは絶対サムスンに負けない
□円高絶望論・国債破綻論は嘘八百
□ホントはこんなに儲かっている日本の輸出企業
□わざと貿易赤字にしたがる理由
□TPPの狙いは農業ではなく金融と知的所有権
□アメリカの米産業は輸入に転じてる
□占領期からずっと続くアメリカの支配戦略
□日本の民主主義は仁徳天皇時代からずっと続いている

 アメリカ支配から脱して、いよいよ日本は本当の黄金期を迎えます。世にはびこる日本悲観論はすべてウソ。シンプルに見ると日本は世界最強国家であることがわかります。

 TPPにも尾をふる日米同盟の実態は「日米主従同盟」にほかなりません。世界が混乱期に入った今こそ日本の底力が浮き彫りになります。

(本来はここまでですが、今回はすべてオープンにします。もちろん、会員はいつものように音声でも楽しめます)


「亡びるね」・・・

 日露戦争に勝って、一等国になってもだめですね(略)。あれが日本一の名物だ。あれよりほかに自慢するものは何もない。ところがその富士山は天然自然に昔からあったものなんだからしかたがない。我々がこしらえたものじゃない」と言ってまたにやにや笑っている。三四郎は日露戦争以後こんな人間に出会うとは思いもよらなかった。どうも日本人じゃないような気がする。
「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、
「亡びるね」と言った。

ご存じの通り、夏目漱石の『三四郎』の有名なシーンです。熊本から上京する三四郎は車内で髭の男(広田先生)に出会って、さりげなくこんなことをいわれたわけです。郷里熊本でこんな発言をしたら殴られるほどの話。しかし三四郎は感動します。

「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より・・・」でちょっと切ったが、三四郎の顔を見ると耳を傾けている。
「日本より頭の中のほうが広いでしょう」と言った。「とらわれちゃだめだ。いくら日本のためを思ったって贔屓(ひいき)の引き倒しになるばかりだ」
 この言葉を聞いた時、三四郎は真実に熊本を出たような心持ちがした。同時に熊本にいた時の自分は非常に卑怯であったと悟った。

 天は弱点を突く名人です。近年、東と西で発生した未曾有の大災害にしても、どちらもわざわざ無能な首相のときに起きました。
 日本の首相はがコロコロ変わります。これでは大きな仕事はできない、とメディアは騒ぐけれども、このバカな2人が4年も5年も首相だったら目も当てられません。

 政治のいちばん大事なところは政治家が決めているわけではありません。財界でも官僚でもない。学者などではさらさらない。やっぱり国民が決めているわけです。

 満州事変の勃発(1931年9月18日)から大東亜戦争が終わる(1945年8月15日)までの14年間。いったいどれだけの首相交代があったかご存じでしょうか? なんと13人。つまり、いまと変わらないんです。

 この14年間は世紀末的にリーダー不在の時代でした。いまと同じように、マスメディアは大本営発表を垂れ流し、軍人という名の高級官僚がのさばって国民を騙し続けました。それでも賢明な国民は大政翼賛選挙でまともな政治家に投票したから与党は負けているんです。

「亡びるね」とこぼした広田先生のような判断をしていたわけですね。

 大本営発表しかないからデータなどありませんでした。データは嘘をつくから、こんなものにとらわれたらかえって判断をまちがえてしまいます。嘘ばかりつく新聞などあてにせず、国民は肌で感じて総合的な判断をくだしていたんです。

 消費税増税法案が通りました。増税分は社会保障の財源だ、と政府はCMまでつくって宣伝していますが、ほとんどは特殊法人の運営資金や公共事業投資などに充てられるに決まっています。

 金には色がないから国民は捕捉できません。増税すれば国債の格付けがキープできるというものでもなければ、そもそも、格付け自体があてになりません。

 マスメディアがオール増税賛成であることも不思議なことではありません。軽減税率も適用してもらえるから、自分たちは安泰。マニフェスト破りについても、財務省に睨まれたくないからでしょう。配下の国税Gメンを動かされたらたまらないもん。おかげでマニフェストの目玉の1つだった「歳入庁構想」も吹っ飛んでしまいました。

「米軍がいなければ中国が攻めてくる」「米軍がいなければ、尖閣諸島も竹島も北方領土と同じようになる」というけれどもはたしてそうか。
「福島第一発電所は収束しつつある」といって、大飯原発(3、4号機)を再稼働させたものの、福島ではいまもなお放射性物質は流れっぱなし。山から川、そして海を伝わって、近いうちに(2年以内)江戸前の魚は食べられなくなります。

「ドイツの原発はフランスに依存している」とよくいわれるが、ドイツの発電力構成は原発30パーセント。フランスからの輸入はその3パーセントにすぎません。つまり、ためにする報道ですね。

「ユーロ危機を招いた犯人はギリシャだ」といいますが、どこのだれが問題を掘り起こしたかを考えてみればいい。アメリカの投資銀行でしょ? ユーロが危機になればなるほどドルが有利になる。だから、今後もユーロ潰しは続くにちがいない。

「日本はギリシャ化しつつある」と増税論議の時にマスメディアは大騒ぎですが、借金以上に資産があることを忘れてもらっては困ります。日本は世界一の債権国ですよ。しかも日本は気まぐれな海外投資家になど依存していません。国債にしても5パーセントしかいない連中に売り浴びせられてもなにも困りません。すべて市場に出しても10日もあれば溶けて金利は元に戻ります。いままでだって何回も売り浴びせられてきましたが、そのつど返り討ちにしてきた歴史があります。

 円建て国債ですから、そもそも格付けはできないんです。ギリシャになることはありえません。

「とんでもないインフレになるのでは?」と御用エコノミストほどテレビで騒いでますが、平成に入ってから一貫して消費者物価指数はデフレ傾向です。余計なことさえしなければデフレはあと100年は続きます。日本がインフレになるときには欧米はハイパーインフレになっていますよ。

 データでも情報でも中途半端に知るくらいなら、はなから知らないほうがいいんです。そのほうが正解の近道です。

 よく知らないことほど自分の頭で考えようとします。他人の意見を素直に受け容れるのも「知識」がないおかげです。下手に知識があると「常識」にとらわれてしまいます。専門家と呼ばれる人ほどできない理由を見つけるのが巧い。知識は思考のベースになるけど、だからこそ、いったん捨てて、自分の頭だけで考える。とことん考える。考え抜いてみる。「考えること」と「調べること」「知識」は別物です。先入観も偏見もなくシンプルに考えてみることが大切なんです。

 日本人は世界でもまれに見るほど直感に秀でています。最後の1人になるまで降伏しない、と思われていたのに、戦後、アメリカが進駐してくるとさっさと宗旨替えをしました。
 遣隋使、遣唐使のはるか昔から続く遺伝子ですよ、これは。イギリス艦隊にアームストロング砲のパワーを見せつけられると、あっさり攘夷論を捨てて開国論者になった薩長の下級武士たちと同じです。

 彼らも「広田先生」のように自分の頭で考えたにちがいありません。

 わたしたちはみな、富士山を眺めていたあの頃の「三四郎」です。シンプルに考えれば、世界が見えてきます、日本という国が見えてくるはずです。