2015年03月03日イスラム・リテラシーがぜんぜんない!

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 メディアの連中はしょうがないっすねえ。ま、地頭がそれほど良くない上に不勉強だから、いっつも欧米マスコミの後追い。

 これはしょうがありません。けど、首相、大臣、そして補佐官あたりの不勉強は命取りになります。もちろん、この命は「国民の命」という意味っすね。

 ここ数ヶ月の安倍首相の発言を聞いてると、今後、邦人が拘束されても無事に解放されることは期待できんな。それどころか、日本がテロの標的になってしまった、と過去完了で表現すべき事態になっています。

 国会とか記者会見での発言ですから致命的ですわな。

 ピンと来た人はたくさんいると思いますが、あえての蛇足を。。。

 「イスラム国対策として人道的支援として2億ドル」つうことのコメントは以前書きました。
 最近は「テロリストには罪を償わせる」つう発言です。

 これ、ようやく逮捕された川崎の中1殺人事件にすら発言してないレベルです。

 なぜイスラム国相手には、いつも強気の発言をしてしまうのか? できるのか? 「イスラム国対策」「テロリスト」。。。おかしいと感じませんか?
 これ、あのブッシュ(愚息のほう)が「我々は十字軍だ」「本土が攻撃されたのはパールハーバー以来だ」に匹敵する不用意発言です。

 一瞬にして世界中に配信される怖さを認識してませんね。

 なにが言いたいか? 少しまどろっこしくなりますが少しガマンしてね。いつもわかりやすく書いてるつもりですが、さらにさらにわかりやすく書きます。

 「欧米のスタンダード」では、シリアはもちろん、サウジ、イラク、UAEなど、ありとあらゆるイスラム国家には正統性などありません。
 国民によって選ばれた元首など1人もいませんもの。領土にしたって決めたのはイギリスです(北アフリカはイタリア)。でなければ砂漠に直線の国境なんてありえませんよ。

 国境ができたのは1915、16、17年の協定(原原ではいずれお話しましょう)によってです。当事者無視。イギリス、フランス、イタリア、そしてロシアだけで決められたものです。

 もち、ねらいは原油と資源。埋蔵されてることはわかってましたからね。ヨルダンはフランス、レバノンはイギリス。ヨルダンつうよりジョルダンと発音した方がわかりやすいかも。

 イスラムの世界には主権も国民も領土も存在しません。なぜなら、主権は神アラーがもっています。で、元首は利権争いの結果、宗主国に代理人として認められただけのこと。神はもちろん、国民に負託されているわけでもありません。

 国民はたまたまそこにいた人間たち。砂漠を広く横断していたクルド人など、いまのトルコ、シリア、イラク、イラン等々をまたがってましたから、英仏に国家をつくってもらえなかったほどです。

 シリアのアサド政権にしても過激派の1グループに過ぎません。政府軍もイスラム国(元々は「イラク・シリアのイスラム国」というネーミングでした)もアルカイダも「同じ穴の過激派」です。
 欧米に都合のいい政権が「政府軍」と表現され、不都合なグループはひっくるめて「過激派」と表現されているにすぎません。

 日本のメディアはNYTがそう書いとるんじゃからええんじゃろう、つう判断でしょう。

 中東は戦国時代です。どちらが正しいかどうかなんてものさしはそもそもありません。中東の情勢は複雑怪奇、なんですね。「勝てば官軍、負ければ賊軍」なんです。

 「われこそは報道ジャーナリスト」「事実をこの目で見てきて世界に伝える」
 その意気は認めますが、しょせん戦国時代、その「ジャーナリスト」を現地でアテンドする連中(過激派)にしたって、イスラム国やアルカイダつう過激派と同じ。彼らから見れば敵の過激派。

 こんな構造の中で、「イスラム国対策」「テロリストには罪を」という発言は完全に欧米寄りであることは言うまでもありません。

 では、どうなるか? はい、日本はアメリカ、イギリス、フランスと同じ仲間。つまり、今後、この連中と同じように狙われてもおかしくない、ということです。

 イスラムに関してあまりにも情報のない日本政府は、この1月20日、人質事件が映像に流れてから、ようやくヨルダンに対策本部を設けました。

 イスラム国は最後の最後まで、後藤さんを死刑囚と交換して解放しようとしてました。でなければ、トルコとの国境地帯まで彼を連行するはずがありませんもの。いつ死刑囚が解放されるか、何人もの斥候兵が双眼鏡でチェックしていたほどです。

 ヨルダン政府はとっくにパイロットが焼き殺されてた情報を握っていながら、死刑囚交換と後藤さん解放の条件にしていました。なぜか? 国民に評判の悪い「国王」の支持率対策のためです。

 パイロットと後藤さん、湯川さんは同じ人質ではありません。パイロットは空爆で殺しまくった「軍人」です。後藤さん湯川さんは「民間人」です。イスラム国はなんの被害も受けていないはずです。

 結果は。。。皆殺しでした。

 「やっぱ自衛隊の出動しかないか」・・・自衛隊が出動してもなんの効果もありません。逆効果です。
 戦国時代に法律なんて通用しませんからね。そもそも相手は過激派でイスラムの法律(「シャリーア」といいます)なんてまったく守っちゃいません。

 ムスリム同士の戦い。自爆テロ。国益という利権のためのみの戦い。。こんなものは「クルアーン」でも「ハディス」でも認められちゃいません。

 つまり、いま、彼らかやってることは、相も変わらず「利権争い」なんです。宗主国イギリスやアメリカ、フランスが大好きな利権争いを過激派たちも金欲しさにやってるに過ぎないんです。

 イスラエルVSアラブ&イランVSアメリカVSユーロVSロシアの利権争いです。

 戦後、どこの国とも戦争をしてこなかった「実績」こそ「平和」の象徴です。日本が培ってきた信用を利権争いに夢中になってるバカな連中に唆されてパーにしてはいけません。

 利権の構図についてはあまりにもヤバイ内容なのでとてもとてもブログではムリっす。。。いずれ原原でしかと講義します。お楽しみに。


 今日のメルマガでご紹介する本は「円崩壊 1ドル=200円に!」(浅井隆著・第二海援隊・1,728円)です。