2015年04月11日「あにき」「岸辺のアルバム」
カテゴリー中島孝志のテレビっ子バンザイ!」
いずれも77年度のテレビドラマ。「岸辺のアルバム」は高視聴率。国広富之さんのデビュー作。山田太一脚本は出色でしたね。
「あにき」は健さん初にして最後の連ドラ出演も視聴率はいまいち。傑作でしたけどね。
生涯205本の映画に出演されたそうですが、テレビドラマはこれだけ。脚本は倉本聰さん。
役者がいいっす。東映俳優が脇を固めてます。田中邦衛さん、小林稔侍さん、阿藤海さんの若いこと。ま、38年前すからね。
どうして見たかつうと、やっぱあの大原麗子さんが出演してたからっすよ。健さんの妹役。嫁には出したいけど、いざとなると嫌、つうパターン。
ああ、なんつういい女。儚げで、切なさで、守らなくちゃ、とついつい思わせちゃう。そう、母性本能の逆。
健さんは人形町の鳶の頭。妻にも先立たれた男やもめ。義理と人情の世界は相変わらず。町内会のいざこざはすべて健さんとこに回ってくる。で、損得勘定抜きで真摯に取り組んじゃう。で、損ばかり。
みなに頼りされる「あにき」。けど淋しい淋しい「あにき」。自分はだれにも頼れないんだもん。
大御所の島田正吾さんが師匠役なの。
健さん、足長おじさんなんだよ。世話になった人の忘れ形見のお嬢さんを物心ともに面倒みてやるんだけどさ。女は妻子ある大学の先生に夢中でね。「妻と別れる話がもちあがってる」つう男の常套句を信じてるわけ。んなもん、ウソに決まっとるがな。
で、なにかつうと健さんに無心すんの。健さん、全部承知なのよ。騙されてやるわけ。
お嬢の役は秋吉久美子さん。大原麗子さん、倍賞智恵子さんを向こうに回して、ほとんど秋吉久美子さんが主役。
ここまで献身する健さん。足長おじさん以上の感情が芽生えてたんでしょうな。
奔放な女。健さんと真逆。健さんは純情。何度裏切られても真心を尽くす。こういう小悪魔に惹かれるのが中年男のサガつうわけさ。
健さんが唯一相談できるのは幼なじみの小料理屋の女将。倍賞千恵子さんなんだけど、いなくなります。女は女なんだなあ。しょうもないダメ男に惚れちゃうわけさ。いい女ほどそうなのよ。
健さん、ますます孤独になるばかり。
なんとも切ないドラマでね。下町風情が漂ってきまんな。滝田ゆうさんの劇画の世界そのまんま。彼のナレーションだけでなく出演しとるかんね。
で、プロデューサーは「岸辺のアルバム」の大山勝美さん。
これ、傑作。いまなら驚かないけどね。お互いの夫婦関係は壊さない。どちらか一方がやめたいときはやめる。「浮気」の提案なわけ。いまならセフレつうやつかな。。。
御年80歳超とは思えない美貌です。皇潤がええんやろか。
なんたって38年前ですからね。「よろめきドラマ」もここまで来たかつう感じでした。
奥様役を八千草薫さんが演じてるわけ。相手役は竹脇無我さん。とってもいいのよね。
傍目には幸福そうな家族。けど、ひと皮むけば問題だらけ。繊維商社に勤務する父親は仕事一筋。けど不景気でね。東南アジアからホステスを輸入する女衒みたいなことでしのぐ有様。そこまでして守ってきた会社も倒産の危機。
長男は優しさが徒でフラフラしてて、結局、二浪確定。
英語好きの長女は大学で知り合った外人に犯されて妊娠。弟の担任に堕胎先を紹介してもらう始末。
「男を買った時だけが生きていた証だった」と死期が迫る中、打ち明けた知人に刺激を受けた妻は、電話で浮気を提案されて出かけちゃう。
バラバラの家族がまとまったのは水害。1974年9月1日、台風16号で多摩川堤防が決壊。民家19戸が流出した狛江水害をモチーフにしてます。
洪水でマイホームが呑み込まれる瞬間、ぎりぎりでなにを持ち出すか。。。
「忘れたか?」
「・・・」
「アルバムだよ」
けど、そこに写っているのは仮面だろ。もう家族はバラバラだろ。アルバムを抱えてどうすんの? 大切なのは生身の人間だろ。
すべてを失って気づく。捨てなければ得られない。人間なんてそんなものですよ。
どちらも77年放送。あの頃なにしてたんだろ。大学生だったかも。「あにき」は1度も見てない。「岸辺のアルバム」はすべて見てた。
八千草さんの役、岩下志麻さんとか岸恵子さんでもよかったなあ。そうそう「沿線地図」も良かった。あれは岸恵子さん。できたら「それぞれの秋」も見たい。DVD無し。販売せんかなあ。
そういえば、「幸福」という最高のドラマがありました。竹脇無我さん、岸恵子さん、中田喜子さん(「岸辺のアルバム」がドラマデビュー作)の出演。あれは良かった。DVD持ってるんだよね。よし、これから見よう。
「あにき」は健さん初にして最後の連ドラ出演も視聴率はいまいち。傑作でしたけどね。
生涯205本の映画に出演されたそうですが、テレビドラマはこれだけ。脚本は倉本聰さん。
役者がいいっす。東映俳優が脇を固めてます。田中邦衛さん、小林稔侍さん、阿藤海さんの若いこと。ま、38年前すからね。
どうして見たかつうと、やっぱあの大原麗子さんが出演してたからっすよ。健さんの妹役。嫁には出したいけど、いざとなると嫌、つうパターン。
ああ、なんつういい女。儚げで、切なさで、守らなくちゃ、とついつい思わせちゃう。そう、母性本能の逆。
健さんは人形町の鳶の頭。妻にも先立たれた男やもめ。義理と人情の世界は相変わらず。町内会のいざこざはすべて健さんとこに回ってくる。で、損得勘定抜きで真摯に取り組んじゃう。で、損ばかり。
みなに頼りされる「あにき」。けど淋しい淋しい「あにき」。自分はだれにも頼れないんだもん。
大御所の島田正吾さんが師匠役なの。
健さん、足長おじさんなんだよ。世話になった人の忘れ形見のお嬢さんを物心ともに面倒みてやるんだけどさ。女は妻子ある大学の先生に夢中でね。「妻と別れる話がもちあがってる」つう男の常套句を信じてるわけ。んなもん、ウソに決まっとるがな。
で、なにかつうと健さんに無心すんの。健さん、全部承知なのよ。騙されてやるわけ。
お嬢の役は秋吉久美子さん。大原麗子さん、倍賞智恵子さんを向こうに回して、ほとんど秋吉久美子さんが主役。
ここまで献身する健さん。足長おじさん以上の感情が芽生えてたんでしょうな。
奔放な女。健さんと真逆。健さんは純情。何度裏切られても真心を尽くす。こういう小悪魔に惹かれるのが中年男のサガつうわけさ。
健さんが唯一相談できるのは幼なじみの小料理屋の女将。倍賞千恵子さんなんだけど、いなくなります。女は女なんだなあ。しょうもないダメ男に惚れちゃうわけさ。いい女ほどそうなのよ。
健さん、ますます孤独になるばかり。
なんとも切ないドラマでね。下町風情が漂ってきまんな。滝田ゆうさんの劇画の世界そのまんま。彼のナレーションだけでなく出演しとるかんね。
で、プロデューサーは「岸辺のアルバム」の大山勝美さん。
これ、傑作。いまなら驚かないけどね。お互いの夫婦関係は壊さない。どちらか一方がやめたいときはやめる。「浮気」の提案なわけ。いまならセフレつうやつかな。。。
御年80歳超とは思えない美貌です。皇潤がええんやろか。
なんたって38年前ですからね。「よろめきドラマ」もここまで来たかつう感じでした。
奥様役を八千草薫さんが演じてるわけ。相手役は竹脇無我さん。とってもいいのよね。
傍目には幸福そうな家族。けど、ひと皮むけば問題だらけ。繊維商社に勤務する父親は仕事一筋。けど不景気でね。東南アジアからホステスを輸入する女衒みたいなことでしのぐ有様。そこまでして守ってきた会社も倒産の危機。
長男は優しさが徒でフラフラしてて、結局、二浪確定。
英語好きの長女は大学で知り合った外人に犯されて妊娠。弟の担任に堕胎先を紹介してもらう始末。
「男を買った時だけが生きていた証だった」と死期が迫る中、打ち明けた知人に刺激を受けた妻は、電話で浮気を提案されて出かけちゃう。
バラバラの家族がまとまったのは水害。1974年9月1日、台風16号で多摩川堤防が決壊。民家19戸が流出した狛江水害をモチーフにしてます。
洪水でマイホームが呑み込まれる瞬間、ぎりぎりでなにを持ち出すか。。。
「忘れたか?」
「・・・」
「アルバムだよ」
けど、そこに写っているのは仮面だろ。もう家族はバラバラだろ。アルバムを抱えてどうすんの? 大切なのは生身の人間だろ。
すべてを失って気づく。捨てなければ得られない。人間なんてそんなものですよ。
どちらも77年放送。あの頃なにしてたんだろ。大学生だったかも。「あにき」は1度も見てない。「岸辺のアルバム」はすべて見てた。
八千草さんの役、岩下志麻さんとか岸恵子さんでもよかったなあ。そうそう「沿線地図」も良かった。あれは岸恵子さん。できたら「それぞれの秋」も見たい。DVD無し。販売せんかなあ。
そういえば、「幸福」という最高のドラマがありました。竹脇無我さん、岸恵子さん、中田喜子さん(「岸辺のアルバム」がドラマデビュー作)の出演。あれは良かった。DVD持ってるんだよね。よし、これから見よう。