2016年09月09日会議は踊る、されど進まず。。。

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 オペレッタの名作。

 ときは1814年。つうことは、ナポレオンとウェリントン公にプロイセンも絡んだ「ワーテルローの戦い」の前年ですな。

 ナポレオン失脚後、ヨーロッパをどうすんべえ、早い話が、領土のぶんどり合戦がウイーンで繰り広げられていたわけでね。あの連中、モスクワ密約でもヤルタ密約でもおわかりのとおり、根っからのガリガリ亡者っすから、100年前も200年前もまったく同じなのよ。

 もち、エゴばっか主張しとるから平行線になんのは当たり前。結果、会議は踊る、しかし進まず。

 悪いことに、フランス国王に即位したルイ18世が嫌われとりまして、民衆はナポレオン復活を熱望しとるわけで。

 そんなこんなで、1815年、エルバ島を脱出したナポレオンはパリに戻って復位。新憲法発布。批判勢力とも妥協。で、連合国に講和を提案すんだけど拒否されちゃう。

 で、戦争。

 以前お話したように、ここでロスチャイルドはイングランド銀行を飲み込むほどの財を稼ぎ出します(詳細は、英国EU離脱前後のブログを見てね)。

 さあて、ヨーロッパ各国の首脳たちがウィーンに集合します。

 手袋屋のクリステルは連中が到着するたびに、「ウィーンで最高の手袋は羊飼いの娘マークの当店で!」と広告付き花束を投げつけちゃう。
 で、それがたまたまロシア皇帝に命中すんだけど、爆弾騒ぎで逮捕されて鞭打ち刑に。寸前にロシア皇帝が現われて恩赦を求めてくれるわけ。

 居酒屋で「♪新しい酒の歌」を聴きながら2人は乾杯。チップ(金貨)にはなんとロシア皇帝の顔が・・・。もち、お忍びですよ。
 翌朝、皇帝は彼女を別荘へ招待。馬車に乗ったクリステルは手を振りながら歌うわけ。

 「♪唯一度だけ」

 会議の主催はメッテルニヒ。邪魔なロシア皇帝が出席できんよう仕掛けてるんだけど。逆に仕掛けられちゃう。
 
 さあ、今夜は慈善舞踏会だあ。その最中、メッテルニヒはファンファーレを鳴らします。
 「ロシア皇帝が慈善募金に有料のキスをなさいます」
 淑女たちが行列をつくるなか、皇帝の影武者が次々にキスの嵐。とうの皇帝は爆笑して眺めとるんだわ。

 あれれ、あれ。行列の中にクリステルを発見。その瞬間、慈善キスは取りやめ。で、クリステルと消えてしまいます。

 舞踏会は1人また1人といなくなり、最後はメッテルニヒのみ。
 「満場一致で議案は採決されましたあ!」
 で、1人で踊りはじめます。

 そこに「ナポレオン、エルバ島脱出!」という知らせが届きます。するってえと、あれほど空転してた会議が急遽妥結。首脳連中はそれぞれの思惑を抱えながら帰国の途に・・・。

 ラストは、「♪この世に生まれてただ1度、2度とかえらぬ」と悲しく歌うクリステルの姿・・・つうお話。

 こんな素敵な悲恋物語とくれば、やっぱ宝塚っしょ。そうなんす、1989年。あの株価最高値を付けた年。花組が上演しとりまんねん。


ロシア皇帝(アレクサンドル1世)は大浦みずきさん。

 宝塚をはじめて見たのはこの人の舞台から。札幌出身で地元財界人に誘われて日比谷に行ったのが最初。なんと私の前席は桜内義雄さん(衆院議長)。あの人、愛宝会会長だったもんなあ。
 クリステルにひびき美都さん、メッテルニヒは朝香じゅんさん。なんと、フランツつうメッテルニヒの秘書官を真矢みきさんが演じてたのよねえ。

 さてさてさて、会議がまたまた踊っちゃった。で、またまたまた進まず。

 いえね、中国杭州の世界遺産西湖で開かれた「G20」。ラオス・ビエンチャンで開かれた「アセアン首脳会議」でげすよ。とくに後者は政治問題がテーマでしたけど、「中国による南シナ海、勝手に軍事基地つくっちゃうんだかんね問題」に仲裁裁判所が下した判決にもノーコメ。

 ありえんでしょ。

 鼻薬に弱い連中相手と足下見られちゃったんだろうね。硬軟織り交ぜて根回ししたんでしょうな。ま、どの国も国益最優先のガリガリ亡者だもん。

 東シナ海? 南シナ海? なにそれ。こちとら関係ねぇし。ODAどんだけくれんの? それによっちゃ話に乗ってもいいし。こんなもんでしょ。 
 周囲の国は米中の綱引きを眺めてるだけ。ソロバンはじいてるのは当然ですよ。で、勝つほうに付く。小国だもん、しょうがないっす。でかい国同士の対立に巻き込まれたら大変だもんね。

 ま、あのオバマが習近平に「ノー」を言い続けたことくらいかな。日本にとって良かったのは。



 利害関係のあるのはフィリピンとベトナム。領海で珊瑚礁はつぶされるわ、人口島つう名の軍事基地をどかどか建設されるわ。レーダー基地やら防空ミサイルやらまで配備されるわ。

 おどれら、どこが悪いんじゃ! ここは元もと、わしのシマやでえ。ごちゃごちゃゆうとると、いてもたるど。どかんかい!

 なぜか大阪弁の習近平(こんなこと書いてるから、ブログが更新できなくなったりすんだけど、ま、いいか)。

 日本のすべきことはなにか?

 とりあえず韓国をきっちり引き入れること。金融危機になったら中国に助けてもらおっかな、と算段してたんでしょうけど、ようやく悟ったみたいね。で、慌てて日本にすり寄ってきたわけでね。

 ドルの奪い合いになってるいま、青天井で融通できるの日本だけなのよ。アジアではね。この現実の前に麻生さんにスワップ懇願。

 もち、安倍政権はただでは結ばないっしょ。

 あの像、ほかしておくんなはれ。THAAD配備もはよやってや。いや、わしらはどうでもええねん。けど、そうせな、あんたらが困ると思うてな。

 日本国民はここ数年の韓国の姿勢を見てますからね。そんなに簡単には許しませんよ。けど中国を孤立させるにはしょうがないわなあ。
 大統領が替わればコロッと態度を豹変するでしょうが、そんなことは毎度のこと。本心では期待してないと思うよ。だから、とりあえずなわけでね。

 そもそも会議が踊るのは「どんぐり」の集まりだからですよ。オバマのアメリカは、「普通の国に戻りたいっす」なんて、キャンディーズか都はるみさんみたいなこと言い出しちゃったもんなあ。

 やっぱ、日本はあの手この手で狡猾に動かなあかんよ。
 日本が得意なのは「ゲンナマ」っしょ。ゲンナマでアメリカを動かし、アメリカを盾にして中国に対抗する。で、経済協力でロシアを引き入れて中国と分断させる。ロシア接近は、オバマも優先順位の1位すなわち中国弱体化を狙ってのこと。ここに来てようやく気づいたようでアメリカも賛成してますわな。

 「金をかき集めてどいつもこいつも横っ面ぴしゃげちゃる!」(『仁義なき戦い・完結編』松村保(北大路欣也さん)の名セリフ)

 国際政治はやくざ社会と同じ。したたかにやらんとな。気まぐれなアメリカに過度に期待してもバカを見るだけ。二階に上げて梯子外すの得意だかんね、アメリカは。


 さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「戦争の社会学 はじめての軍事・戦争入門 後編」(橋爪大三郎著・光文社・886円)です。