2016年10月18日「人間の値打ち」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 値打ちなんてのは、「棺を蓋いて事定まる」つうからね。死んでからあれこれ出てきて、株価が決まるんでしょう。

 国政に都政に売文業にと精力旺盛な政治家がいました。一貫して傲慢な性格は変わらず、けど、内実は実弟とその弟がつくった俳優集団のおかげで、ご本人のみならず親子累々にいたるまで一切合切お世話になっているような皆様方ですが、引退後、カウントダウンが始まるとさしもの傲慢さも影を潜め、「忘れた」「覚えてない」・・・認知症をきどったままあの世にもっていくつもりなのでしょうか。

 まさに「人間の値打ち」は死を間近にする頃に評価定まる、ということなのかもしれません。



 監督は名匠パオロ・ビルツィ。出演はファブリッツィオ・ベンティボリオにヴァレリア・ブルーニ・テデスキ。ヴァレリアはサルコジの元妻のお姉さんですよ。う〜ん、大人のいい女。エマ・トンプソンとクリスティン・スコット・トーマスつう女優が大好きなんすけど、まさにどんぴしゃでんねん。

 100分しかないけど、濃ゆい濃ゆいストーリー展開。削りに削ったんちゃうかなあ。

 ファンドの儲け話に一枚噛みたくて娘の交際相手が超金持ちのファンドマネジャーと知って、全財産を投資した不動産屋。

 イタリアつうのはイギリス以上の階級社会っすから、超大金持ちの妻はマンションに建て替えられる劇場を残そうといろいろ動き出すわけ。

 けど、株価暴落。まさにイタリア。

 夢に裏切られ、男に裏切られ、金に裏切られ、家族に裏切られ、超金持ちには超金持ちの悩みがあり、庶民には庶民の悩みがあり、貧困層には貧困層の悩みがあり・・・「ひき逃げ」をきっかけにそれぞれの不満とエゴが素っ裸になります。

 愛は金で買える。人の命も金で買える。人生も金で買える。分別のある大人は何でも金で解決しようとします。けど、そんな大人たちの狡猾さに計画をつぶされる若者たち。。。う〜ん、したたか。

 それにしても、熟女の妖艶さを満喫できる映画ですな。


 さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「名画で読み解く ハプスブルグ家12の物語」(中野京子著・光文社・1,058円)です。