2018年01月29日トランプ一般教書演説直前のポジションやいかに・・・。

カテゴリー中島孝志のとってもいい加減な市場観測日記」

 明日はいよいよトランプ大統領の「一般教書演説」がありますね。

 トランプは元もと10年で1兆円という公共事業予算を、ここにきて、1.7兆ドルに激増させると発言し出しています。
 真意は、どうせ議会で削られてしまうんだから、ならば最初に膨らませておこうか、という考えです。なんともトランプらしい発想です。

軍事費については、18年度は10%アップさせると選挙中から発言していましたが、なんと80兆円近くの大幅予算です。敵対する産軍複合体を取り込む意図が見え見えです。

 しかし、このおかげでダウが暴騰しているのです。

 世界でもダウと日経平均株価は算出方法が特殊なんです。時価総額で構成ウェートを算出する「加重平均」ではありません。見た目の株価を単純に平均した「単純平均」なんですね。ということは、時価総額が大きい銘柄よりも見た目の株価の大きい銘柄の構成ウェートが高くなる、ということです。

 しかも銘柄は伝統的というか「成熟企業」ばかりですから、世界をマーケットにビジネスを展開。結果、現地通貨建て売上がとても大きいため、為替換算すると自国通貨安のほうが業績が改善してしまうのです。

 ダウを構成する銘柄はわずか30社。「株価寄与度」の高い銘柄に買いが集中すると「ダウ暴騰」となり、売り込まれれば「ダウ暴落」となります。

この構造は日経平均株価も同じです。ユニクロがなぜか寄与度が高い。となれば、暖冬でフリースが売れなくなれば、なぜか日経平均株価は下落することになります。

 その点、「TOPIX」は「時価総額加重平均」です。市場で投じられている金額が大きな企業ほど影響力が大きくなります。トップ常連はトヨタやソニーあるいはメガバンク。米国S&P500、ドイツDAX、英国FTSE100も時価総額加重平均で算出されてます。

 さーーて、80兆円もの予算が付いた軍事産業の雄が2社ダウに採用されてます。しかも2社を合わせれば10%の影響度。
 17年はダウが年間70回も高値更新を続けましたが、そのうちの何回かは北朝鮮と中東有事のおかげと考えてもいいかも。

 今年もそうなります。

 明日の一般教書演説でどこまで突っ込んだ話をするか不明ですが、インフラ投資となれば必ず注目されるのはキャタピラー社です。日本メーカーも北米で大活躍しています。同じように株価も注目されるでしょう。



 サウジアラムコIPOを前に、このところ原油価格が急騰してます。円安だと目も当てられませんが、幸い円高。WTI原油先物のじり高を反映して原油関連株が注目されています。日本メーカーも当然、大きな恩恵にあずかります。この分野、日本にはいい会社が目白押しです。





 いい銘柄は安くありません。安かろう悪かろうは株式投資の原理原則です。去年マーケットを牽引した銘柄が今年も引き続き牽引するのです。
 ただし、中東リスク、北朝鮮リスク、原油リスク、そして中央銀行テーパリングリスク、さらにいえば、トランプリスクで「円高」に転換しつつあります。とりあえず、トレンドにしっかりシフトしながら、一方で、内需関連銘柄をしっかり手当てしておくことです。

 次回「中島孝志の銘柄研究会」のテーマは「いまいちばん注目すべき内需関連株」にします。講義より実績がいちばん説得力があります。ここが投資のいいところです。

 大きな下げ、大きな上げ。こういう「小さな暴落」をしっかりキャッチすることしかチャンスはありません。すでに「小さな暴落」をスケジューリング化しています。手に取るようにこの動きが見えますよ。

 そういう意味で、トランプという大統領は極めて投資家にはありがたい存在なのだ、と思います。


 さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「名前でよむ天皇の歴史 前編」(遠山美都男著・886円・朝日新聞出版社)です。