2018年07月10日米中追加関税問題の本丸。。。
いつものように、連載してる有料サイトの原稿を1日遅れでアップします。ほら、あちらは莫大な原稿料じゃないっすか。1日遅れでも役立つと思うよ。
先週金曜日、7月6日、チキンゲームの火蓋が切って落とされました。
予想通り、トランプは回避などどこ吹く風とばかり、中国が報復するなら、2000億ドル、3000億ドルの中国製品にも追加関税するぜいとばかり、さらにヒートアップしてます。
その言葉通り、トランプは5050億ドルまでは追加するつもりでしょう。
有識者たちの意見はといえば、「チキンゲームには生産性がない。どちらも損だ。賢明な指導者なら回避したはずだ」と教科書通りのコメントに終始しています。少しまともな識者は、「中間選挙までは続く。トランプを止められるのはアメリカの有権者だ」「中間選挙で民主党が有利に運べば、トランプも考えを変えざるを得ない」と発言しているようです。
どちらにしてもお門違い。木を見て森を見ていないことに変わりはありません。
たしかに、6月後半から市場は米中制裁関税問題に振り回されています。ダウも8日間下げ続け、日経平均株価も下げ続けました。ダウの推移を観察すると、いままで、米中制裁関税問題についてトランプがコメントするたびに大きく下げ続けてきました。
しかし、いざ関税応酬となるや、ダウもNK225も株価は跳ねています。
「悪材料出尽くし」ということかもしれませんが、私は、キャッシュポジションではなく、下げては買い下げては買いを繰り返しています。なぜなら反発すると踏んでいるからです。事実、先週末は大きく反発しました。実は、昨日から反発すると考えていたので、少し早すぎました。
繰り返しますが、トランプがマトにかけているのは中国企業ではありません。こんなものは債務超過で共産党政府が支えなければ破綻してしまう企業ばかりです。自殺なのか事故なのか不明ですが、世界のホテルを買収していた中国企業も破綻寸前ですし、ケータイ企業もしかり。
習近平と制裁解除を約束したトランプですが、議会が解除反対とわかっていて約束していたのですから、役者です。
トランプがマトにかけているのは、中国に工場を移転したアメリカ企業です。アメリカに戻ってくればレパトリ減税と法人税減税というアメが待っているけれども、そのまま中国にいる限り追加関税というムチでしばいてやる、というわけです。
さて、追加関税の応酬ですが、日本のメディアを見ている限り、「悪いこと」という評価しかないので驚いてしまいます。大本営発表など待たなくても、日本のメディアは単細胞の短視眼思考で側面しか見ていない。どうも大局観とか全体像を描く、いわゆる、グランドデザインを読み解くことは苦手のようです。とてもじゃありませんが投資には不向きではないか、と考えざるをえません。
米中相互に追加関税を掛け合うだけでなく、トランプはいちばん輸出の多いカナダやメキシコ、さらにはEU、そして日本にも関税をかける、と発言している通りにするはずです。
そうするとどうなりますか? 輸入材に関税をかける。価格に転嫁できないので輸入業者は生産性を上げたり、ボーナスを減らしたりするから利益が減る。それでも少しは価格に転嫁せざるをえないから高い製品を買わせられる消費者は困る。インフレも避けられない、というのが日本のメディアの理屈です。
夢にまで見たインフレ率2%を実現できるじゃありませんか。
日本以外の海外ではどうか? 関税をかけられてコストがアップすれば価格に転嫁します。高いモノが店頭に並べば買い控えが始まるかもしれませんが、必要なモノなら買います。
結果、輸入業者は販売量は減るかもしれませんが、価格が上昇して、売上は変わらない所か、上がるでしょう。利幅はもっと上がります。マクロに見ればGDPは確実に上昇します。
企業は売上も利益も上昇します。さらに法人税が減税になります。結果、利益剰余金は激増するはずです。この資金は設備投資にもまわるでしょうし、自社株買いにもまわるでしょうし(株価がさらに上昇します)、M&Aの原資にもなりますし、不動産投資にもまわるでしょうし、賃金アップにもまわるでしょう。
つまり、いいことばかりなのです。
日本も同じです。いままで日本企業はデフレ経済下で価格転嫁ができなかった。結果、GDPは増えない、伸びない。それがここにきて、人件費を大義名分に価格転嫁し始める企業が増えています。原油価格が高止まりしています。航空会社は価格転嫁しています。キャッシュをたくさんもっている上に、日本企業は価格転嫁も平気でするようになりました。
トランプのおかげで日銀があれこれいろんな政策で挑戦したインフレ率2%が実現できるかもしれません。
トランプの計画がこのまま進むとどうなるか?
設備投資の膨大な原資は金融機関が融資します。これを「信用創造」と言いますが、別名、「バブルづくり」です。トランプは世界を相手に関税合戦に打って出た狙いはバブル創造にあるのです。
中国に進出しているアメリカ企業の売上は25兆円をはるかに超えています。アメリカに戻ってこい、中国でつくるより儲かるぞ、それが嫌なら儲けられなくしてやるぞ、どちらか選べ、とトランプは言っているのです。
日本もトランプと同じコトをすればいいんです。中国相手に、ヨーロッパ相手に、もちろん、トランプ相手にです。
トランプは貿易赤字をなくし、財政赤字を改善するために追加関税を振り回しているわけではありません。狙いは、いままで愚かな大統領たちのおかげで、軍事的、技術的、経済的に、アメリカの富を中国に一方的に奪われ続けてきた「仕組み」を破壊することにあります。
かつて、愚かな大統領たちは中国をWTOに加盟させました。中国が豊かになれば民主化が達成され、共産党が自滅し、アメリカをはじめとした外資系が富をすべて奪う、という計画はあっさりと裏切られました。
中国は世界貿易のルールなど何一つ守らず、アメリカから先端技術を盗み、いまや、アメリカと競合するまでなりました。このままのさばらせておけば世界は中国に牛耳られてしまう。いま叩かなければ間に合わない、とトランプは危機感を覚えています。
トランプは中国の軍事的台頭を絶対に許しません。叩きつぶすつもりです。いわんや、中国の台頭を許したWTOに存在価値はない。これも合わせて潰してやるぜい、というのが本音でしょう。事実、そのうち、WTOも離脱するはずです。
さて、金価格がここに来てようやく反発し始めました。6月に北米で大量に金が売却されています。前回も書きましたが、中国がそっとドルに換えたのでしょう。
中国は人民元売りで安値誘導しています。アメリカの愛国者法では敵対国家として米国債をすべて没収できます。
「いざとなったら米国債を売るぞ!」と中国は脅かすでしょう、としたり顔で述べた経済評論家がいましたが、中国が米国債を売るという姿勢を見せただけで暴落しますが、安値で売ったら損するのは中国です。日本もヨーロッパも即、米国債を買うからです。
結果、ドル資産が消滅した中国が貿易を続けられるでしょうか。
人民元売りで自国通貨が下落するような国に未来はありません。
通貨が高い、強い国が覇権を握ります。ドルも円もそうです。
さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「声優 声の職人」(森川智之著・842円・岩波書店)です。
先週金曜日、7月6日、チキンゲームの火蓋が切って落とされました。
予想通り、トランプは回避などどこ吹く風とばかり、中国が報復するなら、2000億ドル、3000億ドルの中国製品にも追加関税するぜいとばかり、さらにヒートアップしてます。
その言葉通り、トランプは5050億ドルまでは追加するつもりでしょう。
有識者たちの意見はといえば、「チキンゲームには生産性がない。どちらも損だ。賢明な指導者なら回避したはずだ」と教科書通りのコメントに終始しています。少しまともな識者は、「中間選挙までは続く。トランプを止められるのはアメリカの有権者だ」「中間選挙で民主党が有利に運べば、トランプも考えを変えざるを得ない」と発言しているようです。
どちらにしてもお門違い。木を見て森を見ていないことに変わりはありません。
たしかに、6月後半から市場は米中制裁関税問題に振り回されています。ダウも8日間下げ続け、日経平均株価も下げ続けました。ダウの推移を観察すると、いままで、米中制裁関税問題についてトランプがコメントするたびに大きく下げ続けてきました。
しかし、いざ関税応酬となるや、ダウもNK225も株価は跳ねています。
「悪材料出尽くし」ということかもしれませんが、私は、キャッシュポジションではなく、下げては買い下げては買いを繰り返しています。なぜなら反発すると踏んでいるからです。事実、先週末は大きく反発しました。実は、昨日から反発すると考えていたので、少し早すぎました。
繰り返しますが、トランプがマトにかけているのは中国企業ではありません。こんなものは債務超過で共産党政府が支えなければ破綻してしまう企業ばかりです。自殺なのか事故なのか不明ですが、世界のホテルを買収していた中国企業も破綻寸前ですし、ケータイ企業もしかり。
習近平と制裁解除を約束したトランプですが、議会が解除反対とわかっていて約束していたのですから、役者です。
トランプがマトにかけているのは、中国に工場を移転したアメリカ企業です。アメリカに戻ってくればレパトリ減税と法人税減税というアメが待っているけれども、そのまま中国にいる限り追加関税というムチでしばいてやる、というわけです。
さて、追加関税の応酬ですが、日本のメディアを見ている限り、「悪いこと」という評価しかないので驚いてしまいます。大本営発表など待たなくても、日本のメディアは単細胞の短視眼思考で側面しか見ていない。どうも大局観とか全体像を描く、いわゆる、グランドデザインを読み解くことは苦手のようです。とてもじゃありませんが投資には不向きではないか、と考えざるをえません。
米中相互に追加関税を掛け合うだけでなく、トランプはいちばん輸出の多いカナダやメキシコ、さらにはEU、そして日本にも関税をかける、と発言している通りにするはずです。
そうするとどうなりますか? 輸入材に関税をかける。価格に転嫁できないので輸入業者は生産性を上げたり、ボーナスを減らしたりするから利益が減る。それでも少しは価格に転嫁せざるをえないから高い製品を買わせられる消費者は困る。インフレも避けられない、というのが日本のメディアの理屈です。
夢にまで見たインフレ率2%を実現できるじゃありませんか。
日本以外の海外ではどうか? 関税をかけられてコストがアップすれば価格に転嫁します。高いモノが店頭に並べば買い控えが始まるかもしれませんが、必要なモノなら買います。
結果、輸入業者は販売量は減るかもしれませんが、価格が上昇して、売上は変わらない所か、上がるでしょう。利幅はもっと上がります。マクロに見ればGDPは確実に上昇します。
企業は売上も利益も上昇します。さらに法人税が減税になります。結果、利益剰余金は激増するはずです。この資金は設備投資にもまわるでしょうし、自社株買いにもまわるでしょうし(株価がさらに上昇します)、M&Aの原資にもなりますし、不動産投資にもまわるでしょうし、賃金アップにもまわるでしょう。
つまり、いいことばかりなのです。
日本も同じです。いままで日本企業はデフレ経済下で価格転嫁ができなかった。結果、GDPは増えない、伸びない。それがここにきて、人件費を大義名分に価格転嫁し始める企業が増えています。原油価格が高止まりしています。航空会社は価格転嫁しています。キャッシュをたくさんもっている上に、日本企業は価格転嫁も平気でするようになりました。
トランプのおかげで日銀があれこれいろんな政策で挑戦したインフレ率2%が実現できるかもしれません。
トランプの計画がこのまま進むとどうなるか?
設備投資の膨大な原資は金融機関が融資します。これを「信用創造」と言いますが、別名、「バブルづくり」です。トランプは世界を相手に関税合戦に打って出た狙いはバブル創造にあるのです。
中国に進出しているアメリカ企業の売上は25兆円をはるかに超えています。アメリカに戻ってこい、中国でつくるより儲かるぞ、それが嫌なら儲けられなくしてやるぞ、どちらか選べ、とトランプは言っているのです。
日本もトランプと同じコトをすればいいんです。中国相手に、ヨーロッパ相手に、もちろん、トランプ相手にです。
トランプは貿易赤字をなくし、財政赤字を改善するために追加関税を振り回しているわけではありません。狙いは、いままで愚かな大統領たちのおかげで、軍事的、技術的、経済的に、アメリカの富を中国に一方的に奪われ続けてきた「仕組み」を破壊することにあります。
かつて、愚かな大統領たちは中国をWTOに加盟させました。中国が豊かになれば民主化が達成され、共産党が自滅し、アメリカをはじめとした外資系が富をすべて奪う、という計画はあっさりと裏切られました。
中国は世界貿易のルールなど何一つ守らず、アメリカから先端技術を盗み、いまや、アメリカと競合するまでなりました。このままのさばらせておけば世界は中国に牛耳られてしまう。いま叩かなければ間に合わない、とトランプは危機感を覚えています。
トランプは中国の軍事的台頭を絶対に許しません。叩きつぶすつもりです。いわんや、中国の台頭を許したWTOに存在価値はない。これも合わせて潰してやるぜい、というのが本音でしょう。事実、そのうち、WTOも離脱するはずです。
さて、金価格がここに来てようやく反発し始めました。6月に北米で大量に金が売却されています。前回も書きましたが、中国がそっとドルに換えたのでしょう。
中国は人民元売りで安値誘導しています。アメリカの愛国者法では敵対国家として米国債をすべて没収できます。
「いざとなったら米国債を売るぞ!」と中国は脅かすでしょう、としたり顔で述べた経済評論家がいましたが、中国が米国債を売るという姿勢を見せただけで暴落しますが、安値で売ったら損するのは中国です。日本もヨーロッパも即、米国債を買うからです。
結果、ドル資産が消滅した中国が貿易を続けられるでしょうか。
人民元売りで自国通貨が下落するような国に未来はありません。
通貨が高い、強い国が覇権を握ります。ドルも円もそうです。
さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「声優 声の職人」(森川智之著・842円・岩波書店)です。