2005年10月18日「プロの論理力」 荒井裕樹著 祥伝社 1365円
忘れない中に言っとくけど、今日18日は原理原則研究会(第5期)の第2回目の講義があります。メンバーの方はよろぴこ(会員制!)。
また、明日19日は大前研一さんが主催する「アタッカーズ・ビジネススクール」ってとこで講義します。夜7時からだって!テーマは「リーダーのための人を動かす表現力(会費5000円)」。少人数限定らしいから申込は迅速によろぴこね(ホントはもう定員をはるかにオーバーしてるらしいんだけど・・・)。
さて、著者は弁護士。大学4年の時に司法試験に合格・・・というと、普通、大手の弁護士事務所にもぐりこんで、そこでアソシエーツ、パートナーと階段を上り、リスクの少ない順調な人生を歩むのが定番。
だけど、この人、かなりビビッドに「生きてる」ってことを実感したいタイプらしく、「面白い!」という物差しを最優先にしてるみたい。
日本一の芸能プロダクションを起業するつもりだったのに就職が立ち消えになり、「保険」のつもりで司法試験を受験。1年目は失敗したものの、2年目に合格。
出遅れた就職活動の、これまた保険のつもりである弁護士事務所を訪れた時、人生の回路が切り替わります。
その事務所の代表弁護士がやろうとしていたことに共感したわけ。
なんと、最高裁の判例を覆す弁護活動ってわけ。最高裁の判例というと、これは法律そのものですよ。
で、どんな活動をしようとしてたかというと、これが交通事故被害の賠償金の大幅引き上げ。普通、賠償金というと、65歳までに生きた場合の収入など、「相場表」に基づいて自動的にはじき出される。
もちろん、普通の弁護士ならばこの料金表に従う。「色」を付ける金額でも引き出せたら、そこそこ優秀な弁護士というわけ。
ところが、ここの代表は最高裁の判例そのものがナンセンスであると主張し、徹底的に論理的に突いていくわけ。
結果、相場をはるかに上回る2億6548万円で勝訴。
訴訟というのは、最初から勝敗が決まっているケースが7割はあるという。だから、平均点の弁護士でも10回やれば7回は勝てるチャンスがあるのだ。たとえ負けたとしても、「相場」だから自分が非難されるわけではない。着手金は頂ける。
だが、残りの3割の訴訟は弁護士次第でどちらに転ぶかわからない。法律に従うだけが弁護士の仕事じゃない。やろうと思えば、最高裁の判例を覆すような創造的な仕事もできるんだ。
これは面白い!
この事務所が扱った案件はいろいろある。とくに有名なものでは、発明権(職務発明)の正当な評価(相対評価)をめぐってのものが多いようだ。
たとえば、青色発光ダイオードの中村修二さんの案件。日亜化学工業から8億4千万円勝ち取っている。日立製作所に対する職務発明の相対評価では史上最高額1億6千万円。味の素のパルスイートという人工甘味料の場合は1億5千万円の和解金獲得、という具合である。
パチスロメーカーのアルゼが国税庁から17億円の重加算課税処分を受けた件では、これの取り消し処分を認めさせた。
これらはすべて「3割の仕事」に入る。
中村修二さんのケースでは、彼は世紀の大発明に対して、もらったのは報奨金としてたったの2万円である。訴訟を起こした当初の請求額は20億円。それに対して、裁判所が認めた発明対価は実は600億円だったのである(一審は原告側は最終的に200億円を請求)。
二審では、かねてより行政よりの裁判長ということもあり、8億4千万円という和解金が掲示され、双方がこれを受けてこの裁判は終わった。そのうち、発明の対価として認定されたのはわずか6億円というのだから、なんと100分の1である。
だが、これ以降、発明者に対する待遇が大きく変わったのは事実。「中村事件」は発明者に対する認識を企業に改めさせる一大事件だったのである。
こういう裁判の時、企業側の理屈はたいていこんなものだ。
「特許や発明に対して、個々の社員がどれだけ貢献したのか一つ一つ評価することはほとんど不可能だ」
「われわれは社員を個人の能力に応じて評価することはできません」
つまり、どちらにしたところで、個人のブランドなどさらさら認めていない。これでは優秀な人材など集まるわけがない。
だが、たとえば、いままで営業利益率が3%しかなかったのに、ある商品の発明から突然、23%に跳ね上がったとしたら、これは20%分は「独占の利益(発明品によるもの)」と考えるのが論理的である。
で、発明者が受けるべき原資はたいていこの20%の「独占の利益」に関してであり、しかもこの5〜20%が通常なのだ。
論理力でどれだけ説得力に磨きをかけるか、実践的な内容になってます。200円高。
また、明日19日は大前研一さんが主催する「アタッカーズ・ビジネススクール」ってとこで講義します。夜7時からだって!テーマは「リーダーのための人を動かす表現力(会費5000円)」。少人数限定らしいから申込は迅速によろぴこね(ホントはもう定員をはるかにオーバーしてるらしいんだけど・・・)。
さて、著者は弁護士。大学4年の時に司法試験に合格・・・というと、普通、大手の弁護士事務所にもぐりこんで、そこでアソシエーツ、パートナーと階段を上り、リスクの少ない順調な人生を歩むのが定番。
だけど、この人、かなりビビッドに「生きてる」ってことを実感したいタイプらしく、「面白い!」という物差しを最優先にしてるみたい。
日本一の芸能プロダクションを起業するつもりだったのに就職が立ち消えになり、「保険」のつもりで司法試験を受験。1年目は失敗したものの、2年目に合格。
出遅れた就職活動の、これまた保険のつもりである弁護士事務所を訪れた時、人生の回路が切り替わります。
その事務所の代表弁護士がやろうとしていたことに共感したわけ。
なんと、最高裁の判例を覆す弁護活動ってわけ。最高裁の判例というと、これは法律そのものですよ。
で、どんな活動をしようとしてたかというと、これが交通事故被害の賠償金の大幅引き上げ。普通、賠償金というと、65歳までに生きた場合の収入など、「相場表」に基づいて自動的にはじき出される。
もちろん、普通の弁護士ならばこの料金表に従う。「色」を付ける金額でも引き出せたら、そこそこ優秀な弁護士というわけ。
ところが、ここの代表は最高裁の判例そのものがナンセンスであると主張し、徹底的に論理的に突いていくわけ。
結果、相場をはるかに上回る2億6548万円で勝訴。
訴訟というのは、最初から勝敗が決まっているケースが7割はあるという。だから、平均点の弁護士でも10回やれば7回は勝てるチャンスがあるのだ。たとえ負けたとしても、「相場」だから自分が非難されるわけではない。着手金は頂ける。
だが、残りの3割の訴訟は弁護士次第でどちらに転ぶかわからない。法律に従うだけが弁護士の仕事じゃない。やろうと思えば、最高裁の判例を覆すような創造的な仕事もできるんだ。
これは面白い!
この事務所が扱った案件はいろいろある。とくに有名なものでは、発明権(職務発明)の正当な評価(相対評価)をめぐってのものが多いようだ。
たとえば、青色発光ダイオードの中村修二さんの案件。日亜化学工業から8億4千万円勝ち取っている。日立製作所に対する職務発明の相対評価では史上最高額1億6千万円。味の素のパルスイートという人工甘味料の場合は1億5千万円の和解金獲得、という具合である。
パチスロメーカーのアルゼが国税庁から17億円の重加算課税処分を受けた件では、これの取り消し処分を認めさせた。
これらはすべて「3割の仕事」に入る。
中村修二さんのケースでは、彼は世紀の大発明に対して、もらったのは報奨金としてたったの2万円である。訴訟を起こした当初の請求額は20億円。それに対して、裁判所が認めた発明対価は実は600億円だったのである(一審は原告側は最終的に200億円を請求)。
二審では、かねてより行政よりの裁判長ということもあり、8億4千万円という和解金が掲示され、双方がこれを受けてこの裁判は終わった。そのうち、発明の対価として認定されたのはわずか6億円というのだから、なんと100分の1である。
だが、これ以降、発明者に対する待遇が大きく変わったのは事実。「中村事件」は発明者に対する認識を企業に改めさせる一大事件だったのである。
こういう裁判の時、企業側の理屈はたいていこんなものだ。
「特許や発明に対して、個々の社員がどれだけ貢献したのか一つ一つ評価することはほとんど不可能だ」
「われわれは社員を個人の能力に応じて評価することはできません」
つまり、どちらにしたところで、個人のブランドなどさらさら認めていない。これでは優秀な人材など集まるわけがない。
だが、たとえば、いままで営業利益率が3%しかなかったのに、ある商品の発明から突然、23%に跳ね上がったとしたら、これは20%分は「独占の利益(発明品によるもの)」と考えるのが論理的である。
で、発明者が受けるべき原資はたいていこの20%の「独占の利益」に関してであり、しかもこの5〜20%が通常なのだ。
論理力でどれだけ説得力に磨きをかけるか、実践的な内容になってます。200円高。