2020年03月14日宍戸錠さんの名演技が光る!名作「拳銃無頼帖 抜打ちの竜」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 新型コロナウイルスで大騒ぎですが、この1/18に大好きな宍戸錠さんが永眠されました。

 物心ついたとき、テレビ映画でいちばん印象に残った人が宍戸錠さん。
 主役とかベイビー(いい役・善玉)ではなく悪役。闇が深ければ深いほど光は輝きますが、映画の面白さはこの「コントラスト効果」で決まるわけでね。



 カッケーなー。ニヒルつうの、こういうの。断然「コルトのジョー」に一目惚れ。

 ニヒルとアヒルの違いもわからん小学生。こんな映画見てるクラスメートは1人もいないわけでね。
 でも、「モデルガン」にはガキどもは憧れるのか、休み時間になると「貸してくれ」「おれも!」なんて奪い合いになるほど。

 お年玉をかき集めて買ったのが「ワルサーPKK」。当時2800円。


授業中に間違ってぶっ放しちゃって、めちゃ怒られました。いま考えると先生驚いただろうねー。半端ないからね、音が。

 「コルトのジョー」にあやかって「コルト45」が欲しかった。もっと欲しかったのは「ルガー」。けど、小学生では引き金がひけません。非力で。その後、南部銃とかシュマイザーとかだんだん凝ってきます。いま、30丁くらいあるんじゃないかなー。もっとあるかも。

 ナイフもかなりあるんだけど。大昔、ナイフを5本ほどもって飛行機に乗ろうとしたら、警備員がすっ飛んできて取調室に連行されたことがありました。

 で、「抜打ちの竜」ですよ。裕次郎でも小林旭さんでもなく、赤木圭一郎さん! 若かったなー。21歳です。大船の歯医者さんの息子。栄光学園出身。俳優にならなければ医師とか歯医者になってたんだろね。撮影の合間に遊んでたゴーカートの事故で亡くなることもなかったんでしょうけど。




はじめて好きになった女優笹森礼子さん。トニーとジョーの相方なんすよ。浅丘ルリ子さんくりそでしょ。

 「チッチッチ」と舌打ちしながら、指で「それは違うぜ」とポーズ。これが「コルトのジョー」のしぐさ。こんな日本人どこ捜してもいませんよ。いまでもいないと思うけど。真似したなー。
 たまにいるね。指のポーズだけだけど。「コルトのジョー?」と聞いてもぽかんとしてますから知らないんだろうね。

 主役を食っちゃうわけじゃないけど、自然と二枚看板になっちゃった。「コルトのジョー」が出てこないと始まらない。登場すると「待ってました!」と声がかかる。

 最後には2人が対決して、結局、殺されるわけだけどね。わかっちゃいるけど「殺さんといてくれ」と願ったりしてね。
 製作サイドもそこらへんよくわかってて、トニーとジョーが果し合いをする周囲に「ホントの悪役たち」が隠れて2人を狙ってるわけよ。

 で、ピストルの音。

 驚くトニー。ジョーはトニーを撃っていない。トニーの背後にいる悪役を撃ってた。トニーはジョーを撃っちゃった。ここで2人はガンマンとして互角と観客は知るわけ。

 「ジョー! 立つんだ、ジョー」は『あしたのジョー』だわな。
 
 トニーは片っ端から悪役を撃ち殺して、倒れたジョーを抱くわけ。ジョーはといえば、ニヒルに笑いながら死んでいく・・・カッケーー!

 どちらが主役かわかんない。新しい形のヒーローですよ。悪役のほうが人気あんだから。つうか、ヒット作品は悪役人気でもつんです。

 小学生にもたまんないわけね。これを休み時間に何度も何度も演じてたわけですから、「またやってる。子供ね」と女子からバカにされてたでしょうね。

 授業中にぶっ放してからモデルガンは学内持ち込み禁止になりましたんで、あっという間にブームは終わりました。でもモデルガン仲間でアキバとか御徒町、上野、新宿のモデルガン屋さんめぐりとかしたなー。



 宍戸錠さんは日活ニューフェイスに合格。日芸出身。もともと色男ですけど、途中から豊頬手術して個性的な容貌になりましたよね。

 中高はテレビ映画でも拝見することがなくなりました。その後、再会するのは・・・。

 ご存じ『仁義なき戦い』です。千葉真一さん(若い頃を演じた)の名演技で知られる大友連合会組長大友勝利役。


「ワシらうまいもん食うての、マブいスケ抱く、そのために生まれてきとんじゃないの」


「おまえ、盃ゆうのをかろう考えとるんじゃないか。牛の糞にもダンダンがあるんで―! おまえとオレが五寸か!」

 松方弘樹演じる市岡組長のセリフがまたいいの。

 「大友さんよ。ケンカはいつでもできる。けど、わしらそう酒は一緒にのめん。まあ一杯」
 「市岡、ざけんなー。おれをだれやと思うとるんじゃ。こんなちいこいんでのめるか」とテーブルの料理も酒もぜんぶ横倒し。

 迫真の演技でしたね。
  
 どっち見ようかな。どちらもDVD持ってるんだよね。宍戸錠さん、サイコーの役者でしたよ。合掌。