2005年11月20日「セックス依存症だった私」 K子著 新潮社 1260円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

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 さて、「セックス依存症」なんてあるんですねぇ。あるかもしれませんな。
 アル中はアルコール依存症。ワーカホリックは仕事中毒。仕事依存症でしょ? で、ナル中ってのもある。これ、ナルシスト依存症ね。
 「私ってなんていい女なの」「オレって素敵だろ?」といった勘違い女、勘違い男がそう。まっ、人のことは言えません。

 だれでも多かれ少なかれあるんです。依存症ってのは。はまると、習慣化しちゃうもの。ということは、オレの落語好き、大衆演劇狂はたぶん、これも依存症?
 だよね。
 でも、その対象がなんなのか。どのくらいの濃さなのかで、常軌を逸する「ヤバイ関係」にもなるんです。
 
 著者の20数年の歴史は薬物、放埒なセックス、売春、詐欺、万引きといったものの連続で、良心の欠片すら感じられません。
 根底にあるのは「ウソ」。

 本書は語りになってます。文章にしているのは押川剛さんというジャーナリスト兼「本気塾」の主催者。本気塾というのは、薬物依存やDV、非行などの更正サポートをしてる団体です。
 で、この人のところに駆け込んできたのはいいんだけど、「止めます」「止めます」といいながら、実は男と旅行してる途中に寄っただけ。
 「事実を語る」と涙ながらに訴えたことが、実はウソ八百。ウソつきってのは、なにより自分を騙す名人なんですよ。
 K子の処女喪失は16歳。相手は5歳上のバイト仲間。これもK子のほうから仕掛けるわけ。

 高校生の時には援交漬けだもんね。250万円をオヤジとのつきあいで稼ぐわけさ。平気なの。なんとも思わないの。お金が欲しいんです。一挙両得なのね。
 そのうち、薬漬けでセックスする快感を覚えちゃう。こうなると、相手がだれでも良くなります。なぜなら、男はすでに道具なの。「おとなのおもちゃ」なんです。

 K子のプライド。それは自分が「いい女」と見られること。ただね、公式がずれてるんだよ。彼女にとっての「いい女」ってのは、「セックスしたくなるほどいい女」なわけ。だから、たくさんの男からやりたい女を目指して頑張ってたわけ。
 「いま考えれば、ただのヤリマンだった」だってさ。遅いんだよ、気づくのが。
 でも、ヤリマン時代に計算し尽くしてるわけ。
 つまり、「地位、名誉、金のセレブ系男」「支配できまくるダサイ系男」「仕事をするのに便利な長(社長、部長など)のついた男」というように、目的別男の活用法を編み出してます。けど、こんな女性はどんな世界にもいるからなぁ。

 彼氏なんか作らない。楽しみながら、お金を稼ぐ。恋愛は必要なし。感情的な充実感はすべてドラッグとセックスで叶えられる。
 歪んでる?
 そう、歪んでる。でも、結果は原因があるから。じゃ、K子がこうなった原因はどこにあるの? 本人も気づいてない。わからない。推測でしか言えない。心理学者なら、なんと言うだろうか。
 私は直感で母親との関係にあると思う。この母親、奔放なのね。勝手気まま。K子が援交しても止めないのさ。どことなく他人。自分が良ければそれでいい。母親への不信感がベースにあるんじゃないかな。
 で、その母親と自分を同化して見てる。「母親への復讐」が自分を裏切り続ける好意につながってるのかも・・・。
 「いいじゃん、楽しいんだから」というただそれだけかもしれないけどさ。

 しかし、明らかに不幸。まだ20代だけど結婚するつもりなのかなぁ。すべてをわかって受け容れてくれる男性が現れるのだろうか。それとも、やっぱりウソをついて生きていくのだろうか。たぶん、こっちのほうだろうね。すべて正直に生きるバカ正直がいいとはかぎらないしさ。
 心の隙間をどうやって埋めていくんだろう。やっぱり薬とセックスに依存するのかな。1人で解決するのは無理。本気塾に飛び込んできたのは賢明。ここまで来たら、懺悔して、もう一度復活すればいいんだよ。200円高。