2005年12月14日「年下の女友だち」 林真理子著 集英社 1365円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 人気ありますねぇ。林真理子さん。
 原作はたいていドラマ化されますもんね。けど、「anego」は面白くなかったなぁ。本のほうが100倍良かった。

 さて今回も、姉御が狂言廻しに使われてます。主人公はそれぞれ女友だちなのね。
 で、彼女たちの男問題をばっさばっさと解決というか、アドバイスしちゃう。それが鮮やかなわけよ。

 全部で8人出てきます。けど、こういう本によくあるんだけど、思い出せないのよ。どんなストーリーだったか。
 私、基本的に記憶力、そんなに悪くないんで、たいてい、この「通勤快読」でも思い出しながらささっと書いてるのね。けど、これだけはダメだった。完璧に思い出せない。
 なぜなんだろう?
 「たしかに面白いけど、覚えるほどのこたぁない」
 脳はそう判断したんでしょうね。うん、そうだ。
 
 この竹下エミ子という姉御のキャラですけど、売れっ子イラストレーターで、茶道をちょいと囓ってて、着物を着ることもあるけどあまり詳しくない・・・そんな表現してます。
 いちいち、着物についてはそんなに詳しくないって書くのもね。この著者、着物道楽で知られてるでしょ。なんか、意識しすぎじゃないかな。

 さて、七美は31歳。東北生まれの深窓のご令嬢、ホントに気だてのいい女性。幼児言葉が抜けなくて、いまだに男との縁がない。
 そんな七美に彼氏ができた。48歳のとんでもないデブ。×イチ。
 3年が過ぎた。周囲に気を持たせた挙げ句、この男と暮らしはじめるんだけど、七美はどんどん痩せてしまい、身体には湿疹、そして熱が出始めちゃう。
 「いい人らしくて結構ね」
 「籍を入れるだけにしました。こんな年ですから。いまさらウェディングドレスを着るわけにもいかないし・・・」
 痩せこけた七美には白いドレスは似合わない。とくに若さと魅力を失いつつある女性にはね。
 エミ子の秘書は40歳。
 「私には可哀想で見てられませんでした」
 「どうして、やっと結婚できるのよ」
 「わからないんですか。あの湿疹は七美さんの心の表われなんですよ。みなに羨ましがられる結婚をしたかった。だけど、この年になってあのおじさんと結婚するしかなかった。そんな思いが原因不明の病気になって出てきてるんですよ」
 そんなものかねぇ。結婚には相場ってものがあるのかねぇ。釣り合いとか。年相応とかさ。
 美女と野獣とか、醜女と美少年とか・・・そういうのが面白いんじゃないの?(まっ、そんなこと言ってても、上戸彩ちゃんがオヤジみたいのと結婚したら泣くけどね)。

 日花里は大金持ちの在日韓国人二世。父親はパチンコ屋や貸しビル業で財を成した男。
 子どもの頃からなに不自由なく育った。お金は使い放題。その使いっぶりが父親は嬉しかったほど。
 そんな日花里が演劇青年を好きになった。この男は俳優兼演出家。いままで劇団に所属していたものの、主宰者と対立して独立することを決めた。もちろん、スポンサーは日花里。お金はうなるほどあるからね。
 この男はDVなのね。日花里に対して、いつも暴力を奮うわけ。でも、それがどことなく懐かしい。なぜなら、父親もそうだったから(家庭をほっぽり出してヨン様を追いかける奥さんなんて、韓国では信じられないだろうね)。
 男の公演をエミ子も観にいったけど、最悪。脚本も俳優も最低。当然、失敗に終わります。
 けど、日花里にはまだまだお金があるから平気なの。

 こういう女性、いますね。どうしてもダメンズを好きになっちゃうの。
 「私がいないとあの人、生きていけないわ」なんて母性本能を総動員しちゃうの。ホントはこのお節介が男をダメにしてるんだけど、気がつかない。男はますます依存する。パラサイト、つまり、ヒモになっちゃうわけさ。
 男がだらしなくなるのは、女が甘やかすからだよ。もっと厳愛の情で臨まないとダメ。
 まっ、そんなこと言っても、私はそんな女、嫌いだよ。めちゃんこ優しい女性がいいに決まってんじゃん。他人のことなら、いくらでも言えるんだもん。
 こんな女性の話があと6話あります。150円高。