2006年01月11日「神様からひと言」 荻原浩著 光文社 720円  

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 なんか、こんなタッチの本、読んだことあったな・・・と思ったら、ありました。
 しかも2冊も。
 「メリーゴーランド」っつう、公務員が主人公の小説。赤字リゾートを復活させる話ね。で、もう1冊は「母恋旅烏」。
 まいったね、同じ著者だったとは途中まで気づきませんでした。
 「メリー・・・」はNHKでドラマ化されるみたい。ということは、少しは目利きだったというわけか? まっ、そういう風に理解しとこう。

 なんで、こんな本、買ったかというと、アマゾン書店で買うからなのよ。タイトルだけでバンバン買ってくでしょ。すると、こういうミスが起こるわけ。
 こんなタイトルだと、なんかありがたい本かと思っちゃうじゃない。精神世界の本とかさ。
 そしたら、なにこれ、ユーモア小説じゃないの。

 まいったなぁ・・・けど、面白かった。だけど、ユーモアのテイストが似てるのかな、途中で、「あれ? これ、どっかで」と気づくわけですよ。

 さて、「神様からひと言」っつうのは、大手広告代理店(たぶん電通)辞めた主人公が潜り込んだ中堅袋麺メーカーの社訓なのね。
 1階にある銅像の下に書かれてるわけ。
 「お客様の声は神様のひと言」だって。

 「これからはマーケティングだ、広告だ。わが社も垢抜けなくちゃ」ってんで、3代目が経歴だけど採用しちゃったんだよね。
 けど、この主人公。正義感が強いというか、おっちょこちょいで喧嘩っ早い。で、すぐに左遷。
 行先は「リストラ要員強制収容所」と呼ばれる「お客様相談室」。そこにはとんでもない個性的なメンバーばかり。魔の巣窟だったわけ。
 けど、辞めるつもりが、一癖も二癖もある連中って面白いじゃん。で、トラブル、クレームの嵐の中で頑張っちゃうわけさ。
 
 会社って、悪魔もいるけどたしかに神様もいるね。周囲にどう思われようと、「自分の神様」を信じるしかないのかもしれない。組織って、理不尽なこともたくさんあるけどね。
 不思議なことに、自分の会社じゃなければいつか出てかなくちゃいけないのに、「オレは中興の祖だぞ。永久欠番だ!」みたいにずっとのさばってる会長、相談役、名誉○○とかいるよね。あぁいうのダサイんだけど、本人はボケテルし、周囲は子分だからなんにも言えない。

 この点、外資はすっきりしてていいね。年齢に関係なく、「役に立つか立たないか」で判断する。ある意味、公平。原理原則がしっかりしてるわけさ。ロジカルな国だから。
 でも、アングロサクソンの世界は競争社会も厳しくて、足の引っ張り合いは日本企業とは比べものにならない。
 外資系企業の経営者をいくつも務めていた知人など、こう断言してる。「外資系企業の社長を何年かしてて人相のいい人はめったにいないよ。なにしろ、鉄砲の弾が前からじゃなく後ろからも飛んでくるからね」だとさ。仕事以外にストレスかかってるわけだ。
 多かれ少なかれ、どんな世界も人間関係が大変なんだよ。

 そんな時には、くだらないブログでも読んでバカ笑いしようよ。
 笑う門には福来たる、っていうじゃない。痛快! 200円高。