2006年05月10日「日本共産党」 筆坂秀世著 新潮社 714円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 著者は元参議院議員。日本共産党の政策委員長だった人。
 それがセクハラで訴えられて辞職。
 けど、これも真相は藪の中なのね。著者は党の指示する通り、議員辞職会見もせず、おかげで、結局、マスコミに攻撃される始末。
 で、党歴39年の著者が離党。

 今回、日本共産党という組織を外から見てまとめたのが本書。

 共産党って、まだ公安調査庁のマークの対象になってるのね。宮本顕治さんの時代に「暴力革命」から「民主連合政府」として平和革命を目指す政党へと変身したはずなんだけどさ。

 いろんな政党があんだけど、政党助成金を受け取ってないのは共産党だけなのよ。受け取ればいいのにさ。
 変に意固地というか、なんというか。

 学生時代に、某大学に遊びに行ったことがあんだけど、堂々と民青(共産党の下部組織、青年対象)の募集を正門入口でやってんの。男子学生2人、女子大生2人。で、空手部の学生とかが、「どう、だれか入った?」「ダメ。おまえ、入れよ」なんて和やかに話してるのね。
 (なんか、この大学、ノンポリの集まりなんだな)と感心してしまいました。
 この学生たちとちょっと話すると、もう好きなのね、共産党のことが。
 純なんだねぇ、こんな人たちに支えられてるんだなぁ。「若い根っこの会」みたいだな、と思っちゃいました。

 さてと、政党助成金もらってないのに、どうやってやってけるんだろう。自民党みたいに企業献金なんてないだろうしさ。
 すっと、わかりましたよ。

 党員は実収入の1%を党費として出してるわけ。これが11億円。2つ目は個人献金。これも11億円。3つ目がいちばん大きいんだけど、機関紙の「赤旗」の売上。これが251億円。
 その他の収入などを会わせると、300億円くらいになるわけね。

 すごい! けど、赤字!
 理由は、コストもかかんじゃん。売上より経費が大きければ赤字になるもんね。
 原因は?
 「赤旗」購読者が減ってるからよ。最盛期の半分じゃないかな。ということは、党員もその分減ってるだろうし、そうすっと、投票数も減るしかないよね。
 だから、ドカドカと議席を落としてきてるわけ。これは本腰入れて改革しないといけない。全国40万人の党員。3600人の地方議員いるんだぜい。 
 政党助成金を受け取らないのは勝手だけど、それっと、「武士は喰わねど・・・」ってやつに似てる。

 この意固地で、硬直化してて、官僚的な体質はどうにかならんかね。
 健全、高潔なのはわかるけど、著者の事件など、組織最優先の論理の帰結みたいな感じがしてならないね。あまりにも、「組織を守る」というイメージが強くなると、大衆は離れていくよ。