2006年07月30日「大いなる休暇」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 夏休みですねぇ。電車も少しは空いてますよね。
 今年もワイハとかに行くんですか? 芸能人じゃなくても、リラックスできますよね。
 私? 夏はいつも仕事をたんまり入れてます。で、冬眠すんの。


レイモン・プシャールは渋い俳優。リュシー・ロリエは雰囲気のある女優。

 さて、この映画。時間がのんびり過ぎていきます。
 スローライフ? だと思うでしょ? ところが、大変なのよ、水面下では。

 舞台はカナダのケベック州の小島。ここ、サントマリ・ラデルヌ島は人口100人ちょっとなんだよね。
 この8年間、漁が不振。だから、みな、生活保護を受けてんの。働かないでお金もらえるんだからラクチン? そうじゃないのね。役場で給付を受けるたびに誇りが失われていくんだってさ。
 だから、仕事が欲しい。とはいっても、こんな島に仕事なんかないんだよ。
 だって、前任の町長までが見切りをつけて警察官の仕事を見つけて街に夜逃げする始末だもの。

 で、考えたのが工場誘致。
 税金0という特別区みたいな方法で、プラスティック工場を引っ張ってこよう、と町長が考えんだよ。けどさ、それには条件が2つあんのね。1つは人口が200人以上であること。もう1つは、島に医者がいること。
 ここ、ずっと無医村なのね。命に関わるような事故があると、手術は肉屋がやるわけ。そんなレベル。医者なんか無理。

 街で検問に引っかかった若い整形外科医。免許証を取り出そうとすんだけど、ラリってて「薬」まで出しちゃうわけ。それを見つけた警察官が元町長。
 で、無事にこの医者が島にやってきます。けど、1カ月間だけ。

 「この1カ月の間に、島に惚れさせるんだ。島に住みたい、と思わせるだ」
 こうして、島を挙げての「騙し」がスタートします。

 まず電話を盗聴して、医者の気持ちを推し量る。ストロガノフが好物だと知ると、島で一軒のレストランに特別に作らせる。クリケットが好きだと知るや、ホッケーしか関心のない島民がこぞってクリケットをやり出す。
 アクアラングで潜ってまで、魚を釣り針につけてやる。道に紙幣を置いておく。
 「なんていい島なんだ」
 「ここには真実がある」
 
 町長は島民に相談します。
 今後、ずっと徹底して騙すか、演じるか? それとも、真実を言うか?
 選択したのは後者。

 島に来た時から気になる女性が・・・。
 「明日、お別れなんだ」
 「知ってる」
 「魚料理、食べにくる?」
 「昨日から1人者なんだよ」
 「知ってる」
 「聞いたの?」
 「ううん、あなた、ずっと盗聴されてたのよ」

 騙され、怒って、町長のところに押しかける。そこには工場の責任者たちが!
 さて、どうなることやら。

 フランスかイタリア映画? アメリカ映画では出せない佳品?
 そう、ケベックって、カナダとはいえフランス文化圏だもんね。いい役者、いい脚本を揃えてると、こんなにいい作品になるんだね。お勧め。

 参考までに、「中島さん、いい映画しか見ないんですか?」と質問されることがありますが、そんなことはありません。途中で出てしまう映画もたくさんあります。時間がもったいないもんね。
 たとえば、「メゾン・ド・ヒミコ」という映画とは相性がよくなかったようです。オダギリジョー、柴咲コウという個性的な役者を出してるのにね。少しもったいない感じがしましたね。
 ほかにもたくさんあります。

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