2006年08月25日「太陽がいっぱい」
カテゴリー中島孝志の不良映画日記」
「ご気分でも悪いので?」
浜辺でくつろぐトムはそうウェイトレスに聞かれる。
「いや、気分は最高だ」
「ほら、太陽がいっぱい」
「本当に最高だ・・・」
「こんなにいい気分はないよ」
あまりにも有名なラストシーンですね。
そう、名匠ルネ・クレマン監督作品・・・つうか、アラン・ドロンの出世作といったほうがいいかな。
ご存じ、「太陽がいっぱい」です。
久しぶりにDVD引っ張り出してみちゃいましたよ。
あの頃のぼくは・・・60年度の作品なんで、名画座で見るしかありませんでしたね。で、よく行きました、銀座の並木座。高校時代はみゆき座にはよく行ったね。
去年、みゆき座が閉館する時、毎日新聞からインタビューされたんですよね、この私。高校1年の時に「エマニエル夫人」(ヘラルド映画)をみゆき座に見に行ってるわけ。「」みゆき族」なんて言葉まであったのに、みゆき座と縁のある人はあまりいなかったようです。
だから、紙面には私のほかには70歳近い映画評論家の人しか登場してませんでした(この記事、毎日でも評判だったらしいよ)。
みゆき座にはアラン・ドロンの映画だと、「高校教師」も見に行きましたね。将来、映画に関する仕事をしようと思ってたくらい、映画好きだったんだよね。
さて、これ、フランス映画ではありません。イタリア・フランスの合作。というけど、ロケは全面的にイタリアです。
卑屈なアメリカ青年トムが肉感的で魅力たっぷりのマルジェと合ったのはナポリ。2回目の殺人を冒したのはローマ。真犯人になりすまして出かけたのはモンジベロ・・・。そして、海ね。イスキア島だ。
完璧なサスペンス映画。いかにもヨーロッパ映画らしく、心理描写がきちんと描かれてますね。
さてさて、アラン・ドロン演じるトム・リプリーはアメリカ人。貧しくて、卑屈で、定職もなくて、それでいて野心家で、上昇志向が異常に強くて・・・そんなトムの仕事は放蕩息子フィリップを連れ戻すこと。
大金持ちの父親から依頼されてナポリにやって来るわけだ。
ただ、サンフランシスコに連れて行くだけで5000ドルもらえる。一瞬帰るだけでいい、とフィリップに懇願するけれども、遊びに夢中の彼は聞かない。
そんな中、彼の恋人マルジュに一目惚れ(当たり前だよ、マリー・ラフォレだもん)。
フィリップとマルジュと3人で海へ繰り出した。ヨットの操縦をトムに命じ、フィリップはマルジュとすっかり戯れるんだけどさ、すき間から2人の行為はずっと覗き見られていたってわけさ。
金持ちでいい女をものにできて、上流社会でぬくぬくと生きている。それに引き替え、オレはどうだ?
あいつの下男か? それとも奴隷か?
「あいつに変わりたい!」
些細なことから諍いを起こして、マルジュはヨットを降ります。ヨットには2人きり。
ナイフでフィリップの胸を刺すんだよね。死体をシートでくるんで錨をつけ、ロープでぐるぐる巻きにして海へ捨てた。
フィリップのパスポートの写真を自分のとすり替え、OHPを用意してサインの練習を繰り返す。
まんまと、銀行で預金を引き出し、ヨットを売り払い、そしてタイプライターで父親あての遺書を書く。
「ぼくは自殺します。遺産はすべてマルジュへ」
完全犯罪成立!
フィリップの自殺で失意の1週間を送っているマルジェ。いまがチャンスだ。
「お別れに来たんだ。アメリカへ帰る」
「行かないで!」
これで女と金を手に入れた。順風満帆の人生だ。
水着のままバスに乗って海へ行く2人。買い手が決まり、ヨットが陸に引き上げられるところ。
マルジェはその確認に・・・ヨットのスクリューにはロープが巻きついている。そして、その先には・・・。
「ご気分でも悪いんですか?」
「いや、最高だよ」
「ほら、太陽がいっぱいだ」
「最高の気分さ。いちばん高い酒をくれ」
ニーノ・ロータの名曲がイタリアンでとってもいい彩りを添えてます。原作はバトリシア・ハイスミス。ヒッチコックの「見しらぬ乗客」で知られる人ですね。
この頃のアラン・ドロンはロミー・シュナイダー(この映画にもちょこっと出てる!)と婚約を破棄して、ナタリー・ドロンと結婚してます。ナタリー・ドロンといえば、「個人教授」かな。ルノー・ベルレーとの共演で、これまたフランス映画の傑作。もち、ビデオ持ってるよ(DVDは未発売でしょ)。
どうでもいいけどさ、早稲田のパジャママン、どうしてるかな?
浜辺でくつろぐトムはそうウェイトレスに聞かれる。
「いや、気分は最高だ」
「ほら、太陽がいっぱい」
「本当に最高だ・・・」
「こんなにいい気分はないよ」
あまりにも有名なラストシーンですね。
そう、名匠ルネ・クレマン監督作品・・・つうか、アラン・ドロンの出世作といったほうがいいかな。
ご存じ、「太陽がいっぱい」です。
久しぶりにDVD引っ張り出してみちゃいましたよ。
あの頃のぼくは・・・60年度の作品なんで、名画座で見るしかありませんでしたね。で、よく行きました、銀座の並木座。高校時代はみゆき座にはよく行ったね。
去年、みゆき座が閉館する時、毎日新聞からインタビューされたんですよね、この私。高校1年の時に「エマニエル夫人」(ヘラルド映画)をみゆき座に見に行ってるわけ。「」みゆき族」なんて言葉まであったのに、みゆき座と縁のある人はあまりいなかったようです。
だから、紙面には私のほかには70歳近い映画評論家の人しか登場してませんでした(この記事、毎日でも評判だったらしいよ)。
みゆき座にはアラン・ドロンの映画だと、「高校教師」も見に行きましたね。将来、映画に関する仕事をしようと思ってたくらい、映画好きだったんだよね。
さて、これ、フランス映画ではありません。イタリア・フランスの合作。というけど、ロケは全面的にイタリアです。
卑屈なアメリカ青年トムが肉感的で魅力たっぷりのマルジェと合ったのはナポリ。2回目の殺人を冒したのはローマ。真犯人になりすまして出かけたのはモンジベロ・・・。そして、海ね。イスキア島だ。
完璧なサスペンス映画。いかにもヨーロッパ映画らしく、心理描写がきちんと描かれてますね。
さてさて、アラン・ドロン演じるトム・リプリーはアメリカ人。貧しくて、卑屈で、定職もなくて、それでいて野心家で、上昇志向が異常に強くて・・・そんなトムの仕事は放蕩息子フィリップを連れ戻すこと。
大金持ちの父親から依頼されてナポリにやって来るわけだ。
ただ、サンフランシスコに連れて行くだけで5000ドルもらえる。一瞬帰るだけでいい、とフィリップに懇願するけれども、遊びに夢中の彼は聞かない。
そんな中、彼の恋人マルジュに一目惚れ(当たり前だよ、マリー・ラフォレだもん)。
フィリップとマルジュと3人で海へ繰り出した。ヨットの操縦をトムに命じ、フィリップはマルジュとすっかり戯れるんだけどさ、すき間から2人の行為はずっと覗き見られていたってわけさ。
金持ちでいい女をものにできて、上流社会でぬくぬくと生きている。それに引き替え、オレはどうだ?
あいつの下男か? それとも奴隷か?
「あいつに変わりたい!」
些細なことから諍いを起こして、マルジュはヨットを降ります。ヨットには2人きり。
ナイフでフィリップの胸を刺すんだよね。死体をシートでくるんで錨をつけ、ロープでぐるぐる巻きにして海へ捨てた。
フィリップのパスポートの写真を自分のとすり替え、OHPを用意してサインの練習を繰り返す。
まんまと、銀行で預金を引き出し、ヨットを売り払い、そしてタイプライターで父親あての遺書を書く。
「ぼくは自殺します。遺産はすべてマルジュへ」
完全犯罪成立!
フィリップの自殺で失意の1週間を送っているマルジェ。いまがチャンスだ。
「お別れに来たんだ。アメリカへ帰る」
「行かないで!」
これで女と金を手に入れた。順風満帆の人生だ。
水着のままバスに乗って海へ行く2人。買い手が決まり、ヨットが陸に引き上げられるところ。
マルジェはその確認に・・・ヨットのスクリューにはロープが巻きついている。そして、その先には・・・。
「ご気分でも悪いんですか?」
「いや、最高だよ」
「ほら、太陽がいっぱいだ」
「最高の気分さ。いちばん高い酒をくれ」
ニーノ・ロータの名曲がイタリアンでとってもいい彩りを添えてます。原作はバトリシア・ハイスミス。ヒッチコックの「見しらぬ乗客」で知られる人ですね。
この頃のアラン・ドロンはロミー・シュナイダー(この映画にもちょこっと出てる!)と婚約を破棄して、ナタリー・ドロンと結婚してます。ナタリー・ドロンといえば、「個人教授」かな。ルノー・ベルレーとの共演で、これまたフランス映画の傑作。もち、ビデオ持ってるよ(DVDは未発売でしょ)。
どうでもいいけどさ、早稲田のパジャママン、どうしてるかな?