2006年10月08日大阪曾根崎新地「瓢亭」 夕霧そば

カテゴリー中島孝志のB級グルメ探検隊」

 「B級グルメ」とは「格安の値段で超一級の味を提供する料理、すなわち、お買い得、お食べ得の料理」という意味です。
 高くて美味いのは当たり前。安くても、「こんなに美味いの? こんな値段で食べちゃっていいの?」と腰を抜かしてしまう店。それを紹介するのが本ホームページの使命です(ちょっとオーバーか)。

 先週からずっと大阪でんねん。もちろん、仕事でっせ。ほんま、楽しかったわ。
 さて、大阪ついたらまずは「はがくれ」でうどん。これ、定番。ただし今回はすごかった。30人も並んでた。けど、食べました。大阪はやっぱうどんか! いや、そうじゃない。さすが食い倒れの街、大阪。そばもうまいでんがな。

 曾根崎はお初天神横の「瓢亭」の夕霧そば、これ、いけまっせ。うまい。
 ふつう、私のような浜っこというか東男はそばというと、冷たいヤツ。けど、ここのは「ゆず」の風味が売りだから、温かいそばのほうが香りも楽しめるというわけね。
 「温かい」という意味はかけそばじゃないのね。湯にくくらせたら水にさらさずそのままざるに乗せてしまうのよ。すると、温かいでしょ。で、そば汁も温かいるさらに卵までついてる。これをずずずっとかっ込むわけ。
 うまい、もういっぱい!

風情のある店でんがな。飲んだ後についつい寄ってしまいそう。

香り立つゆずの香り!

曾根崎新地といったらお初天神。落語にもたくさん登場しますね。

お初天神といったら「曽根崎心中」やんけ。

 「夕霧そば」なんてちょっとネーミングもいいよね。源氏物語みたいでさ。けど、これ、「ゆずきりそば→ゆうきりそば→夕霧そば」と変化していったわけよ。大阪来たら、ぜひ食べなはれ。
店名:瓢亭
価格:800円から
場所:北区曾根崎(お初天神東横入る)

おまけ
 「曽根崎心中」って、ここ曽根崎で実際に起こった事件をもとに作られた近松門左衛門のヒット作なのね。
 大阪曽根崎の醤油屋。そこに勤める徳兵衛。天満屋の遊女お初。
 2人は恋仲なのよ。けど、店の主人は商売熱心な徳兵衛を姪と結婚させたいの。徳兵衛がなかなか承諾しないもんだから、徳兵衛の継母に大金を渡して話をつけちゃう。
 それを聞いた徳兵衛は、継母の家に出かけていってその金を取り戻すんだな。もらっといてさっさと離婚する、なんてことはしないの。

 けどさ、タイミングが悪いんだよ。たまたま出会った友人の九平次という男から懇願されるわけだ。
「金、貸して。アイフルからやいのやいの言われて困ってるんだ」
「上場会社でしょ、あなたのとこは」 
「上場だろうとなんだろうと、しょせん金貸しなんだよ!」
 おいこみが厳しいんだなんてね。徳兵衛さん、人がいいから貸しちゃう。もち、こいつは返さないよ。
 
「金を返せ。あれを主人に返さないと・・・」
「金なんか借りてまへん」
 開き直るどころか、「こいつ、徳兵衛は店の金を使い込んだ!」と町中に吹聴しちゃう。

 お初にも身請け話が持ち上がってた。落胆した徳兵衛は、お初が働く「天満屋(てんまや)」にやってくるんだよ。男なんて情けないから、最後は女に頼っちゃう。
 商人にとって一番大切な信用を失い、主人に合わせる顔もない。徳兵衛をかくまうお初。
 「生まれ変わったら一緒になろうね、グスン」なんて、昔、嘘泣きで有名な芸能人がほざいた台詞をここでも使ったのでしょうか。

 どうせ生きて結ばれることがないのなら、天国で夫婦になろうとお初は徳兵衛に迫ります。2人は店を抜け出して曽根崎の森に向かうわけだ。
 ご存じ、曽根崎心中の一節。♪ちょうど時間となりました。もっとじっくり、さっくりお話したいけれど、またの機会をおたの申しまぁぁぁすぅ♪
 なんで、最後は浪花節なんだ! まっ、そういうこと。