2006年10月20日「ビルマの竪琴」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 ・・・ビルマの土はあかい。ビルマの岩もあかい。
 映画のラストメッセージはこれでしたね。 
 ところで、ビルマっていまミャンマーっていうのね。「ミャンマーのハープ」か・・・竪琴は民族楽器だものね。

 原作はドイツ文学者の竹山道雄さん。終戦直後に発表されたんだけど、元々は子供向けの小説。いったいどんな気持ちでこの小説を著したんでしょうか?
 反戦? 平和? それとも・・・。

 映画は市川崑監督が2回作ってます。最初は56年度の日活作品。水島上等兵役は安井昌二さん、隊長役は三国連太郎さん。85年は松竹作品で中井貴一さん、石坂浩二さんそれぞれ演じました。30年も経ってんだけど、北林谷江さんと浜村純さんはどちらにも出てんだよ。
 しかも、同じ役。笑っちゃう、いや、すごい!


白黒だけどこちらのほうが私は好きだな。

 映画の舞台は捕虜収容所ムドン。首都ヤンゴン(ラングーン)から10時間ほどいったところ。
 坊さんが楽器を奏でるのは破戒行為。遺骨収集や墓葬、墓参に執着しないのが上部仏教という批判があります。ビルマ文化についても無知だと。
 どれもこれも反論はしません。
 けど、故郷に帰りたくても帰れない水島の気持ちというか、水島の星巡り、運命、宿命が痛いほどわかるな。

 水島にしたって、兵隊姿を仏教徒にカムフラージュするために、袈裟を盗んじゃうわけでしょ。捕虜収容所まで飢えずにたどり着くには、袈裟姿がいちばんいいわけだからさ。

 けど、日本兵の夥しい死体を前にすると、目を塞いで離れようとしても結局は戻ってきて1人で埋葬するわけだよ。で、ムドンに着くまでにこんなことが何度も続く。
 俺だけが生かされてる。戦死した仲間を捨てては帰れない。戦友の鎮魂を前に、ビルマを離れられなくなってしまうんだよね。

 1人で戦争を背負った? 考えすぎ? そうかもしれません。けど、極限状態を体験した人間がどうなるか? 精神状態がどうなるか? たった1人で何日も戦友の魂と対話するうちに決断したんでしょ?
 事実、ビルマだけでなく、各地に水島のような日本人がいたそうです。

 戦争ってなんなんだろうね?

 この映画の特長は全編、音楽、とくにハープ、合唱が主演というとこかな。
 これは隊長が音楽学校出身で、部隊で合唱指導してたということが伏線になってます。
 映画の冒頭、いきなり♪更けゆく秋の夜 旅の空の♪からはじまって、もちろんテーマは♪ホーム・スイート・ホーム♪(埴生の宿)なんだけど。それに♪仰げば尊し♪なんてのがハープや合唱で演奏されたりね。
 イギリス軍の捕虜になるんだけど、「埴生の宿」ってイングランド民謡だしね。

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