2018年11月18日「鈴木家の嘘」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 博多と出雲原原では紹介したんですけどね。一昨日の金曜日が封切りでして。

 実は翌昼から「銘柄研究会」がありまして、講義のためのパワポが85枚。こんだけ用意するにはそこそこ時間がかかるわけでして。しかもダウは日本時間の深夜。

 けど行っちゃうわけですよ。終わったのが深夜零時。ホント、バカですねえ。火曜は空いてるつうのに。待てないのよね。そういう性格。

 さて、人の脳ってのはとてもよくできてましてね。

 都合のいいように考えちゃう。でないと生きていけないから。
 都合の悪いことはねじ曲げちゃう。あるいは忘れちゃう。記憶の奥の奥に仕舞っちゃう。でないと生きられないから。

 『インテリジェンス読書術』(講談社)という本にトットちゃんのこと書いたことあるのよね。黒柳徹子さん、あるとき、写真探してたら、見知らぬ男の子と一緒に写ってる写真見つけたの。

 「これ、だーれ?」
 「弟。あなたたちとっても仲良かったじゃない」
 「・・・」

 記憶にないんです。幼くして亡くなった弟さん。仲良かったんだ。あまりにも哀しくて記憶から消しちゃったんだよね。

 「ボクのこと、しばらく忘れてていいよ。大丈夫になったら思い出せばいいから」
 たぶん、弟さんもそう言ってたと思うな。

 トットちゃん、それ、二十歳の時。それまでずっと忘れてた。哀しすぎて。

 人間の脳ってとてもよくできてます。



 さて、この映画。引きこもりの長男がある日突然自殺。第一発見者は母親。ショックで倒れちゃう。1か月以上ね。
 親族が集まった四十九日の日に目を覚ますわけ。

 「浩一は?」
 「お兄ちゃんは引きこもりをやめてアルゼンチンに行った」

 妹が突然、そう言ってしまうわけ。なにやってもダメな母親の弟が今度はアルゼンチンで養殖やり出した。で、叔父さんを手伝ってるということにしちゃう。



 この嘘、どうなりますやら? 彼を殺したのは自分だ、と家族それぞれが自分を責めます。妹は自殺家族の集まりに出かけていくし、みな、自分を責めるばかり。

 自殺てのはつくづく罪だと思う。家族を巻き添えにしちゃうからね。人間てのは不幸になるために生まれてきたわけじゃないんだけどね。

 菊地鶴次郎のように「ツルーーー」と叫ぶしかないんだわな。

 妹役の木竜麻生さん(きりゅう・まい)、演技とってもいいよー。