2019年11月19日「YESTERDAY」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

♪ハリスンさんも死んだ ジョンさんも死んだ
 今度は私の番なんだ♪
 
 いや、これは「お吉物語」のセリフでした。トホホ・・・。

 全篇ビートルズのヒットナンバーなんで、団塊の世代あたりはご機嫌でしょうね。事実、その世代の観客が多かったみたい。

 監督は『トレインスポッティング』『普通じゃない』『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイルなんだけど、脚本のリチャード・カーティスが好きでして。『ノッテングヒルの恋人』に『ブリジット・ジョーンズの日記』つうか、いちばん好きな群像劇『ラブ・アクチュアリー』の監督・脚本でも知られてますよね。

 テイストがやっぱ似てる。当たり前だけど。



 ご存じ、「ビートルズ」のことを知らない世界に、ビートルズ好きの売れないミュージシャンが現れたら?つう話。

 そりゃ世界的にブレイクすんのわかってんだからね。決まってるっしょ。模範解答見て受験すんのと同じ。『バック・トゥ・ザ・・・』で未来の勝ち馬データ知ってて過去に戻って競馬で百戦百勝。超大金持ちになったつう話と同じ。

 大スターになっちゃう。けど、代償なんてものがありましてね、こんなインチキ・サクセス・ストーリーでさえも。

 主人公はどうすんの? まあ、このあたりの苦悩がテーマかな。どんなに成功してる人でもいいことばかりじゃないよ、ってね。

 でも「毒杯をあおってみないか。大スターになりたきゃ」と勧誘するエド・シーランのやり手女マネジャー。この女優なかなかっす。ケイト・マッキノンね。

 脚本のリチャード・カーティスと仕事がしたくて臆面もなくアタックしたとか。

 「リチャードは私が世界一好きな人になったわ! 本当に面白い人なの。彼の作品も面白いけど、深い心の傷や、ロマン主義、弥沙氏さや人としての喜び、世界との絆などを称える気持ちに深く根差しているから、彼の映画は公開時に人気なだけでなく、時が経っても傑作として残っているのだ、と思う」

 よくわかってるなー。大正解の評価ですよ。

 「アジア系が主役とは考えられなかったが、自然の流れでそうなったんだ」(リチャード・カーティス)
 
 「エド・シーランは多忙の中、俳優として出演してくれた。俳優と一緒のリハーサルもしてくれた」(同)

 けどさ、名曲ぞろいのビートルズで映画でどれを使うか? ま、これがいちばんの問題だったみたい。たしかにあれもないしこれもないし・・・ところで、ビートルスのナンバーっていくつあるかご存じ?

 タイトルにもなってる「♪YESTERDAY」はあり。これってポール・マッカートニーがあまりにも奇跡的な曲だったんで、だれか他人の曲を盗んだかあるいは夢かと思った、つう作品。たしかにねー。クレジットはお約束で「ジョン&ポール」になってるけどね。

 そういえば、エド・サリバンショーに初出演したとき、ポールだけアコースティックでこの歌、披露してたよね。

 でね、最後の最後、エンディングからエンド・ロールまで流れる曲ってなんだと思う? たぶん正答率は2割だろうね。観客は終わるまで立ち上がらなかったな。

 さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は 『パチンコ』(蛭子能収著・ 1,200円・角川書店) です。とてもいい本です。