2006年12月03日「武士の一分」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 封切り当日、見参つかまつる!
 キムタク主演の時代劇映画ということで話題になってますね。営業的には正解なんだろうね。
 けどさ、やっぱ「キムタク」なんだよ。パイロットやろうが、検事やろうが、武士をやろうが、どこまでいってもキムタクは「キムタク」を演じてしまうわけ。役者ではなく、生まれついてのスターなんだな。


女性に見てもらいたいな。

 というわけで、この映画、キムタクの方向から見ると失敗します。
 これ、そもそも、映画としては女性向けなのよ。キムタク演じる新之丞の妻加代(壇れいさん)の方向から見ないと損なのよ。すると、「武士の一分」てなんなの? もっと大切なものがあんじゃないの?ってことに嫌でも気づいてしまうね。

 「武士の一分」ってなに?
 「男のプライド」ってこと?
 「人の道」ってことか?
 
 いずれも武士だけのものだからさ、私のような根っからの町人には関係ないけどね。

 武士はメンツだとか家名だとか、いろいろ守らなきゃいけないものがあるから辛いですな。下手すっと、それらに振り回されて一生が終わったりしてね。
 けど、それもつまらん人生だわな。一緒になって、妻も振り回されてしまう。いや、犠牲になってしまう。

 この加代さんにしたって、ひと言で表現すれば、愛する夫への「献身」だもの。

 ストーリーはとっても単純です。こうなる? うん、そうなる。やっぱり。

 藤沢周平原作だから、東北(庄内)の小藩が舞台です。
 で、三十石の下級武士三村新之丞。役目は毒味役(鬼役)なのよ。殿様の飯をチェックするという仕事だかんね。剣の達人、秀才の彼にはつまんねぇ毎日。

 けど、この仕事が彼の目を奪います。

 生活は一変。武士としての勤めも果たせなくなっちゃうし、藩の沙汰次第ではリストラもあるしね。
 さて、どうすんべぇ?
 「おめさん、なんとかしてけろ?」って、縁戚は加代さんにあれやこれやを押しつけます・・・。
 さて、どうなることやら?


「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」に続く山田洋次版藤沢映画。
 フィナーレってことは、これで最後?
 どれがいちばん面白いか?
 うーん。私、「蝉しぐれ」のファンだから。「隠し剣」はシナリオがものすごく良かったし、藤沢作品の持ち味がいちばん出ている作品だったし・・・。
 比較してなんになんの。映画は楽しく見たもん勝ちなんだよ。